
皆さんは「岩下の新生姜」で有名な岩下食品について、どんなイメージを抱いているだろうか。筆者の中では、岩下食品は「生姜界のAmazon」とも呼べる存在である。
「独特な視点の持ち主だな」と思われるかもしれないが、ライターの端くれとして同社を観測している身からすれば、むしろ自然な分析である。ペンライトや芳香剤、巾着袋に焼きそばなど、同社の「岩下の新生姜」グッズのラインナップはあまりに多岐に渡る。
そしてこのたび誕生した新「新生姜」グッズは、万年筆のインクである。これを取り上げねばライターの端くれが廃るであろう。
今回の商品化は、コラボ先である文房具会社・石丸文行堂の公式Twitterのツイートがきっかけだったという。アカウントの担当者がテレワーク中のおやつ代わりに岩下の新生姜を食べていた折、「この色and香りのインク作ったら斬新すぎる…!?」とつぶやいたのだ。
そのツイートが巡り巡って、岩下食品の社長の目に留まったらしい。個人的には「独特なおやつのテレワーカーだな」と思ってしまったが、さておき些細なアイデアから始まった企画は、文具ライターの武田健氏の助力もあって、2021年3月26日についに商品の形となった。
岩下食品や石丸文行堂のオンラインショップにて税込2640円で購入することができ、加えて岩下食品のショップにおいては万年筆を初めて使うという人向けに、万年筆付きのスターターキットが税込4180円で売られている(2021年3月31日現在、インク・キットともに初回入荷分完売の状態)。
まさしくスターターであった筆者は、飛びつくようにそのキットを購入した。岩下食品に万年筆デビューを後押しされる人生があるとは思いもしなかった。
注文から数日後に実物が届いたので、まずはインクから確認してみる。まるで「岩下の新生姜」から抽出された濃縮エキスのような見た目だが、これはインクである。
と、そうは言ってもフタを開けた途端に爽やかで香ばしい匂いが漂ってきて、認知を揺さぶられる。発端となったアイデアそのままに、「新生姜」のピンク色と芳香を兼ね備えているから驚きだ。
キットの中にはインクと万年筆のほかに、コンバーターと呼ばれる部品も入っていた。急に見慣れない装置が出てきて脈拍が上がってしまったが、どうやらよく見るとインクを吸い出すためのものらしい。
もっとよく見ると万年筆とコンバーターはPILOT(パイロット)社製で、それらには万年筆の説明書や、コンバーターの使い方に関する動画のQRコードが付属していた。一安心である。さすがスターターキットだ。
動画によれば、万年筆にインクを充填する方法は以下の通り。最初に万年筆の軸を外し……
そこに例のコンバーターを取りつけたのち……
コンバーターのつまみを左に回すと内部のピストンが下りるので、その状態でインクにペン先を浸し、今度はつまみを右に回してインクを吸入する。慣れたら非常に簡単だ。
あとはペン先についた余計なインクを柔らかい布でぬぐい、これにて準備完了。さっそく紙に試し書きしてみる。
書けた。いや、書けるのは当たり前なのだが、初めてなのでそれだけで感慨が湧いてくる。そして、優しく上品な色味に心動かされる。元が生姜の色とは思えないほどの紙への馴染み具合だ。逆にこのインクが生姜になったのが「岩下の新生姜」だったかという気さえしてくる。
それもひとえにクオリティの高さゆえだろう。まだ筆者は力加減も濃淡の出し方もおぼつかないが、このインクが丁寧に作られ、使い手を喜ばせようと仕上げられたことは伝わってくる。
さらにもう1つ、他のインクと比べて圧倒的に異なると初心者にもわかるのが、書いている最中でさえ「新生姜」のかぐわしい香りが漂ってくる点である。
時おり自分が何をやっているのか、書いているのか食べているのか、楽しいのか美味しいのか判断できなくなってくるが、そんな意識の混濁もまた一興。このインクならではの五感刺激型エンターテイメントと言えよう。
万年筆デビューをこのインクとともに果たせてよかった。ぜひとも皆さんにも手に取ってもらいたいグッズだ。……が、上に記したように初回入荷分は完売済み。次回入荷は4月上旬予定とのことなので、各ショップを随時チェックしてほしい。
さて、次に生み出される「新生姜」グッズは一体いかなるものであろうか。画期的なインクで新たな1ページを綴った岩下食品が、再び筆者を驚かせてくれる日を待ちたい。
参考リンク:岩下食品「岩下の新生姜 万年筆インク」、岩下食品オンラインショップ、石丸文行堂オンラインショップ
執筆:西本大紀
Photo:Rocketnews24.
西本大紀











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