ペンライト芳香剤ポテトチップス巾着袋。一見無関係に見えるこれらの品々には、実は「ある要素」が共通している。読者の皆さんはおわかりだろうか。賢明な方であれば気付くかもしれない。そう、これらは全て「岩下の新生姜」の派生商品である。

賢明な方というより賢明な「新生姜」マニアの方しかわからなかったかもしれないが、ともあれ、その「新生姜」で有名な岩下食品は、これまで多様な「新生姜商品」を展開してきた。そして今回、2020年6月29日に新たにラインナップに加わったのが、サンヨー食品とのコラボで開発されたカップ麺「岩下の新生姜味 塩焼そば(税抜193円)」だ。


この新商品を紹介する前に、あえて非難を恐れずに書いておきたいことがある。「木っ端ライターが何を偉そうに」と言われるかもしれない。しかしどうしても主張せずにはいられない。「岩下の新生姜焼きそば」、出るのが遅くないだろうか?

そもそも焼きそばと言えば紅生姜がトッピングされることの多い料理であり、その点から「新生姜」との相性の良さは自然と連想できるように思う。岩下食品が派生商品を考える上で、もっと早期に焼きそばという開拓地に着目してもおかしくなかったはずだ。

だが実際の展開は前述の通り、ペンライト、芳香剤、ポテト、巾着などを経た末の焼きそばである。壮大かつ独特な回り道と言わざるを得ない。

とはいえ、見方を変えれば満を持しての登場だ。グチグチと書いたものの、正直すこぶる惹かれている。ただでさえ魅力的なのに、余計にこちらの心を揺さぶってくるのが、この新商品に先んじて6月1日に発売された、「焼きそば専用 岩下の新生姜(税抜128円)」の存在だ。

壮大かつ独特な回り道から一転、狡猾なまでの販売戦略である。「一緒に食べろ」と耳元で囁かれているようにしか感じない。というわけで、前置きが長くなったが両商品を合わせてレビューしていきたい。

まずは「岩下の新生姜味 塩焼そば」を単体で食べてみる。作り方は普通のカップ焼きそばとあまり変わらない。フタを開けて熱湯を注いで3分待ち、湯切りをしてから調味油と粉末ソースを投入、あとは混ぜれば完成だ。

注目すべきはこの粉末ソースで、「岩下の新生姜」に使用している生姜から作った粉末が配合されているという。

振りかけて匂いをかぐと、まさしく「新生姜」の爽やかな香りが鼻をくすぐる。

続いて麺と混ぜ合わせていくと、薄いピンク色が浮かび上がり始めた。高まる「新生姜」ムードにつられ、箸を差し入れる。

口に含んだ瞬間、深く感嘆の息を吐きたくなった。やはりと言うべきか、こうなることは決まりきっていたと言うべきか、絶妙に美味しい

ベースは塩焼きそばながら、そこに「新生姜」らしいさっぱりとした風味が加わり、舌から鼻、鼻から頭へ吹き抜けるような爽やかさが生まれている。塩と油の味わいをきちんと残したまま、優しい酸味のある独自の清涼感を獲得しているのが素晴らしい。

塩焼きそばを食べたい人、「新生姜」の派生商品を食べたい人、どちらも満足させてくれる見事な仕上がりだ。間違いなくカップ焼きそばの新境地である。麺をすするごとに、その確信が強まっていく。

しかし、まだ進化の余地は残されている。この商品単体だと不完全というわけでは決してないが、よりいっそう輝かせる手があるなら試さない理由はない。

さらなる期待感とともに、「焼きそば専用 岩下の新生姜」を開封し、手に取った。普通の「新生姜」とは異なり、焼きそばに合うように細くスライスされた生姜群が中に詰まっている。

それらを麺に乗せると、「こんなものハズレのわけがない」と思えるビジュアルが誕生した。勝利する未来しか見えない。脳内で「新生姜」色の旗がはためいている。

もはや結果は言うまでもないが、それでも書いておかねばなるまい。「焼きそば専用新生姜」と一緒に食べる「新生姜焼きそば」は、うなるほど美味しかった

紅生姜よりマイルドな酸っぱさをしており、辛さも抑えめなので、たっぷり乗せても全くうっとうしくない。むしろシャキシャキとした食感とみずみずしさが「新生姜焼きそば」を高みへと連れ去る。これは本当にクセになる。いくらでも食べていられる。

ここで改めて主張したい。もっと早くこの焼きそばを出してほしかった。「焼きそば専用新生姜」もそうだ。もっと早く出会っていたなら、人生に彩りが増していただろうに。良い意味で文句しか出ない。

しかし、過ぎたことにこだわっていても仕方ない。今はせめて、1人でも多くの読者の方にこれらの商品を味わってもらおう。興味の湧いた方にはぜひ手に取っていただきたい。全国のスーパーなどの店頭に加え、岩下食品のオンラインショップでも購入が可能だ。

今回は焼きそばだったが、次は一体どんな衝撃で心を揺さぶってくれるのか。頬を「新生姜」色に染めて、興奮しながら待ちたい。

参照元:岩下食品 ニュースリリースオンラインショップ
Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.