今年も晴天のもとガリガリ君をかじりたくなる季節が近づいてきた。

ガリガリ君といえば「子どもが遊びながら片手で食べられる “赤城しぐれ” ができないか?」というコンセプトから、簡単には棒が抜け落ちないガッチガチなアイスキャンディー・コーティングが特徴。

そんなガリガリ君の存在意義をなくしてしまう、「元のかき氷に戻りやがれ!」とでもいわんばかりのクッキングトイが復刻。さっそく削ってみたら、新境地に達してしまった。


・「おかしなカキ氷 ガリガリ君」(税込990円)

発売はタカラトミーアーツ。元は10年前に発売された商品で、累計50万個を販売する大ヒットシリーズだという。筆者は初体験。

このたび定番「ソーダ色」と新色「みかん色」、そしてガリガリ君の誕生40周年を記念して「クリアカラー」(5月に発売予定)をリリース。

本体は500mlのペットボトルほどのサイズ。すべてのパーツが分解でき、洗いやすいのは好印象。水洗いしたら準備完了だ!


・レッツかき氷

それではかき氷を作っていこう。袋から出したガリガリ君を、筒状の本体にセット。「ガリガリ君」「ガリガリ君リッチ」「大人なガリガリ君」専用で、ほかのアイスは使えない。

ストッパーになる部品には、ガリガリ君のスティックがジャストフィットで固定できるようになっている。まさにガリガリ君のためだけの独自設計なのだ。応用力、低っ!

あとはペッパーミルの容量で、左右にグリグリひねる。容赦なく粉々になっていくガリガリ君! かつてガリガリ君がこの世界に存在していた証は、部屋にただようソーダの残り香しかない……。

ちょうどアイスにだけカッターが当たる絶妙な構造になっており、最後にスティックがポロリと出てくる。ガリガリ君1本で、小鉢にさらっと1杯。山盛りにしたければ2~3本は必要。

埼玉県深谷市の小学生(公式設定)ガリガリ君から生まれたとは思えない、美しいグレイシャー・ブルー! アラスカなどの氷河につけられた色名で、太陽の加減で光り輝くような透明のブルーをいう。

家庭用の冷凍庫では保冷力がちょっと弱いのと、いじっているうちに溶けてくるのとで、だいぶジューシーな質感になる。それがまた旨い! 冷たさに邪魔されず、味がはっきりわかるし、フローズンドリンクのようなシャリシャリ食感がたまらない!!

これはあり。むしろ美味しい。筆者が上司なら「ガリガリ君、きみ明日から来なくていいよ」といいたくなるところである。「そのかき氷、なにから作ったと思ってるんだコラ」と返されそうだが。


・いろいろな味を試してみる

せっかくなので、いろいろなフレーバーで試してみよう。急きょ開催、ガリガリ君祭りだ!


まずはコーラ味。鍋底で焦げた天かすのような微妙なビジュアルの物体が生まれたが、元が美味しいから味はお墨つき。

駄菓子のようなケミカルでジャンクな味! 旨い!!


ひらめいた。レモンスカッシュ味と混ぜたら、レモンコークになるのでは?


普段は決してできない、2種類のあいがけ。見た目はイマイチだが、想像どおりレモンのさわやかな酸味と、コーラのコクがぴったりマッチして美味しい。

さらにひらめいて、レモンスカッシュ味に練乳をかけたら、まんま夏祭りのレモン氷! まさにかき氷になるべく生まれてきたフレーバーだ。もうガリガリ君に戻らなくてよろしい!

ここまではかなり順調だ。元の味つけのポテンシャルが高く、液体になっても十分に美味しいことが要因。すごいな、ガリガリ君!

最後にジンジャーエール味。

醤油をかけた大根おろしのような見た目になり、あまり食欲をそそる感じではないが、それはコーラ味も同じ。肝心なのは味だ。

むっ、これは……


う~む。ショウガが強すぎる……!


溶けたアイスが急に何倍も甘く感じるのは、低温だと甘味を感じにくい味覚の特性のため。

前述のとおり、口に入れる頃にはガリガリ君ならぬシャリシャリ君で、溶け気味になる。その分、味が濃く感じられて美味しいのだが、ジンジャーエールの場合はショウガの風味が鼻につく。

普段から生ジンジャーエールやショウガ茶が得意な人ならいいかもしれないが、筆者にはちょっとキツい。


すべての味をカバーする練乳をかけてみてはどうだろう。


いや、惜しい、まだショウガが勝っている!


それならかき氷シロップはどうだろうか。かき氷のために開発されたものだし、世の中には「甘辛い」という味もある。


うわぁ、すごいビジュアルになった……。ピリリとしたショウガの辛みと、シロップの強烈な甘さがカオスを生み出しドツボである。無理。オススメしない。


・ランキング1位は…

かき氷にジョブチェンジしてもっとも美味しかったのは、「コーラ味+レモンスカッシュ味」。次点が「レモンスカッシュ味+練乳」だった。

意外にも「ソーダ味+練乳」もいける。そしてジンジャーエール味は煮ても焼いても……という結論。今回は入手できなかったのだが、リッチなフレーバーの「大人なガリガリ君」でもやってみたい。

筆者は普段、歯がキーンとするのがイヤなので、ガリッと噛まずにしゃぶりながらガリガリ君を食べる。そんな人でもかき氷にすればゆっくり食べられるし、硬すぎず小さな子どもでも大丈夫。

氷もシロップも用意せずに、思い立ったらすぐにかき氷を作れるぞ。1家に1台あったらめちゃくちゃ楽しいから、ぜひ試してみてくれ!

ところで、一気にこんなにガリガリ君を食べることなんてないので、期待するのは運だめしの当たり棒……

全部ハズレ! 人生そう上手くはいかない。


参考リンク:株式会社タカラトミーアーツ「おかしなかき氷 ガリガリ君
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.