今年もファミレス&カフェチェーン各社で かき氷 を展開する季節がやってきた。フローズンドリンクまで含めると、氷菓を提供するチェーン店は結構な数に上る。

その実態は「毎年メニューを刷新する」ガチ勢から、定番商品をひっそりと守り続ける「いちごミルク一択」勢までさまざまだ。

そこで、各社の かき氷 を勝手にジャッジするのがこの企画。初回は誰もが認める “かき氷界の雄” コメダ珈琲店である。


・コメダ珈琲店のかき氷

コメダ珈琲店といえば、毎年世間を騒がせる「かき氷デカすぎ問題」の張本人。メニュー写真よりも遥かに大きい料理が届く「逆写真詐欺」で糾弾されるのも恒例となっている。

しかも かき氷 に関しては、毎年メニューを刷新し、趣向を凝らした新商品が登場するという本気っぷり。


今年は新フレーバー3種と、定番2種の計5種を販売。新商品はコメダ特製キャラメルオーレ、アロエマスカット、3種のフルーツミックス、定番商品は宇治抹茶、いちごだ。

それぞれレギュラーサイズとミニサイズがあるほか、ソフトクリーム、練乳、小倉あんのトッピングが可能。好きな組み合わせにしていいのだが、メニュー写真を見ても「レギュラーサイズ+ソフト+練乳」がデフォルトと呼べるだろう。


・定番メニュー「いちご」

まずは定番、「いちご+ソフト+練乳」(店舗別価格:770円~830円)を食してみる。

もっともシンプルかつ基本のメニューで、その店の試金石といえる。フィギュアスケートならショートプログラム、吹奏楽コンクールなら課題曲といったところだ。

どんぶりで提供される圧倒的ボリュームは健在。ソフトクリーム部分だけでも、観光地で食べたら「ずいぶん気前がいいな!」と思う高さがある。

どうやって食べるのかと一瞬ひるむが大丈夫。氷はふわっふわなので、スプーンで軽く押すだけで簡単に小さくできる。

ガリガリと音を立ててかじる氷ではなく、舌で押しつぶすだけでシュワッと溶ける雪氷。深部までシロップが染み込んでいるので水っぽさがなく、最後までジュースのような濃度で食べられる。

たっぷりの練乳と、底には湖のごとく水面を輝かせるシロップ。夏祭りの かき氷 のように、内側の真っ白な氷を見て絶望する……ということには決してならない。とにかくケチケチしない「大盤振る舞い」がコメダのきっぷのよさ。

舌ばかり赤くなる大量生産の廉価なシロップとは違い、上品で自然な甘みだ。飽きたり気持ち悪くなったりする気配はまったくない。

それよりも身体の冷えとの戦いになる。また食べるスピードが追いつかず、どんどん溶けてしまうという一面もある。筆者の場合、今回の商品でギリ食べきれるくらい。「ミニサイズ」または「ソフトなし」ならラクに食べきれる分量だ。

どうしても新メニューに注目が集まるため陰に隠れがちだが、場所が変われば主役に化けるポテンシャルがある。かなり美味しい。


・新商品「コメダ特製キャラメルオーレ氷」

2品目は各社の創意工夫を見たいので、今年の新メニュー「コメダ特製キャラメルオーレ+ソフト+練乳」(店舗別価格:880円~940円)にした。

念のため注記しておくが、前回とは別の日だ。もし連続して食べたらたぶん凍死する。

平安時代から食べられているという かき氷 だが、チョコソースやピスタチオなど、こってり系はいかにも現代的。

金の器に山のように盛られたボリュームは言うまでもなし。そして味は……

昔懐かしい銭湯で飲んだビンのコーヒー牛乳! あるいは「強い子のミロ」ことネスレ・ミロ!!


優しくまろやかな甘さで、急速に童心に帰る。本当はキャラメルオーレなのだが、ここはあえて「ミルクコーヒー」と呼びたい。ママの味がする……!

そしてソフトクリームとの相性が抜群にいい。混じり合う部分はアフォガートのようである。コーヒーフロートのシャリシャリの部分みたいで美味しい。

前述の「いちご」の場合は、ソフトクリームはあってもなくても、お好みでどうぞという印象だが、キャラメルオーレにはソフト必須。飲み物のような感覚になるためか、意外にも「甘すぎて食べきれない」という事態にはならなかった。

ただし、寒さに震え上がることになるのは覚悟した方がいい。


・コメダ珈琲店まとめ

定番の「いちご」は、安定の美味しさ。フルーツらしいさっぱりした甘さと、たっぷり練乳のマリアージュ。世が世なら主役級である。どこを食べても甘すぎず、かつ薄すぎず、最後まで美味しいというのは実はかなりの研究力に支えられているだろう。

「コメダ特製キャラメルオーレ」も美味しいが、フローズンドリンクとの差別化が難しいことや、900円前後の価格が少々ネックになりそう。

しかしどちらも、テーブルに届いた瞬間「わぁ」と声を上げて写真を撮りたくなるボリュームや、容器の底までシロップでいっぱいという気前のよさに、王者の貫禄があった。

なお、かき氷の提供はすでにスタートしているところが多いはずだが、「店舗により販売時期が異なります。販売状況につきましては、直接店舗にお問合せください」とのこと。

終了時期もまちまちだと思われるので最寄りの店舗をチェックして欲しい。


参考リンク:コメダ珈琲店
執筆:冨樫さや
Photo:@Press、RocketNews24.