昨年1月3日のこと。いつも飲んでいるピルをうっかり紛失した私は、正月でも営業している婦人科クリニックをネットで探した。病院を訪れると、そこには階段まで続く長〜い行列。ほとんどの女性がピルを求めて来院していることは明らかだった。

私は持病の影響でピルを服用しているため、仮に飲まなかったとしても多少苦しむだけで済む。しかし女子たちの中には不測の事態とか、倒れるレベルの生理痛とか色々抱えている者もいるのだ。病院が閉まっていた年末年始、彼女たちがどんな気持ちで過ごしたかを考えると……「何だかなぁ」って感じ。

・『ミレーナ』とは

ちなみに私が諸外国を旅した経験上、日本ほどピルが高価で入手困難な国は珍しい気がする。昨年 ”日本でも薬局で緊急避妊薬を販売へ” との報道がなされたが、具体的な時期や詳細は決まっていないのが現状だ。法改正をアテにしている場合ではない。

……ってことで婦人科へ行き、ずっと気になっていた『ミレーナ』を装着してもらうことにした。『ミレーナ』とは子宮内に装着する子宮内システム(IUS)で、黄体ホルモンの1つである『レボノルゲストレル』が子宮内で持続的に放出されるというもの。ちょっと難しいよね!

ミレーナには高い避妊効果があるため、欧米などでは避妊具としてメジャーらしい。幸い私は避妊に悩む状況ではないのだが、重要なのはミレーナのもう1つの特徴…… “生理を軽減させる可能性が高い” という点である。

私は持病の関係で ”ほっといたら1回の生理が半月続く” という体質だ。それじゃ困るから仕方なくピルを飲んでいるのだが、ピルにはほとんど害がないと理解しつつも「なるべくなら薬は飲みたくない」のが人情というもの。

ここからは私が医者に聞いた話であるため、くれぐれも参考程度に……とお断りしたうえで話を進めさせていただく。ミレーナの効果には個人差があるらしく、医者の話ぶりからは「絶対に良くなると断言するわけにはいかない」という雰囲気が伝わってきた。

それでも精一杯言葉を選び、医者が伝えてくれたミレーナの効果は「装着した人の約8割が生理痛・出血量ともに軽減する」「うち約2割の人は生理そのものがなくなる」というもの……な、何だと…………?



あの憎らしい生理がなくなるかもしれないって!?!?


・可能性に賭けたい

これはもちろん、生涯を通して生理が終了するという話ではない。ミレーナを装着している間は上記の効果が期待できるということであり、やめたくなったら病院でいつでも取り外しできるのだ(最長で5年以内)。私が悩んでいるのは『出血量・生理期間』に関してだが、生理痛が軽減するかも、というのも嬉しい。

かつて生理痛で気を失い救急搬送された友人を見たことがあり、彼女の苦しみを思えば「生理痛がつらい」などと軽はずみには言えないと思っている。とはいえ地味に毎月苦しめられている生理痛、なくなるに越したことはない。

細胞や性病の有無について検査し、問題なければ後日ミレーナ装着という流れである。料金は病院によって異なるようだが、私が受診した院では通常6万円(自己診療)。ただし私の場合は疾患があるということで保険が適用され、診察料と合わせて2万円弱ですんだ。詳しくはミレーナを扱う病院を受診してみてほしい


・ちょっと痛かった

さてミレーナの装着のタイミングは “生理中でなければいけない” そうだ。例の開脚椅子に横たわると、医師から「ちょっと痛みますよ」と告げられる。覚悟していたが……想像より痛かった。

おそらく痛みレベルで言うと ”画鋲を踏んだ程度” なのだろう。しかし私は子宮内の様子を想像すると怖くて「ゥグェェェェ……」となってしまうタチであり、実際に施術中は「ゥグェェェェ……」と叫んでいた気がする。ものの5分ほどで装着完了。

「効果が安定するまで3カ月くらいかかる」「ミレーナの位置がズレる場合があるから、様子がおかしければすぐに来て」と念を押され、痛み止めをもらってこの日は帰宅した。施術による出血があるかどうかは分からない。なぜなら生理中だから。今後一体どうなってしまうのか……?


・1カ月経過

そこからの1カ月は散々だった。まず装着日から続いていた出血は5日間ほどで終了……と見せかけて、2〜3日後に再び出血が始まったのである。コレは施術の影響か、それとも不正出血か、はたまた生理なのか? 判別のしようがない。

唯一よかったのは “生理2〜3日目に訪れるはずの凄まじい大量出血がなかった” という点だが、この段階では偶然かどうか微妙なところ。ミレーナ装着後1カ月間のうち25日くらいは出血していた計算になるため、結局は何も判別のしようがないのだった。


・2カ月経過

まさか私は “効果を得られない少数派” だったのだろうか……? 不安な気持ちで迎えた1カ月後の検診。「本当に大丈夫なのか」と詰め寄る私を諭すように、担当医師はこう教えてくれた。


医師「装着1カ月目はほぼ100%血が出続けるものなので、安心してもらって大丈夫ですよ。生理か不正出血か分からないくらい血が出続けるのが普通です。恐らく2カ月目は少しおさまるでしょう。3カ月目になっても出血が続く人もいますが、割合としては10%にも満たない程度です。亀沢さんはまさに、一般的な経過を辿っている感じですね」


なるほど、そういうモノなのか……。検査も特に異常はなく、「3カ月おきに検診に来てください」と告げられた。ホッとした気持ちで過ごした2カ月目は、確かに1カ月目よりは出血量が減少。しかしオリモノ程度の微妙な出血がトータル2週間ほど続き、やや不安は残る感じだ。


・3カ月経過


そしてミレーナ装着から3カ月半が経過した現在!



ついに生理が消滅…………というレベルには、残念ながら至っていない。


しかし不正出血がなくなったほか、やはり生理時の出血量が劇的に減った。『超巨大・夜用スーパーナプキン』でもたまにシーツを汚すほどだったのが、今や就寝時でも『普通の昼用』で事足りるのだ。これは経済的にも助かる!

生理痛に関しても無くなったわけではないが、今のところ以前よりだいぶ楽になったようだ。残念ながら生理消滅とはいかなかったものの、個人的には今回「ミレーナを装着してヨカッタ」と感じている次第である。


・明らかに個人差がある! しかし……

以上のことからミレーナ装着を検討するかどうかは、各自の状況によって判断するべきと言えるだろう。


・避妊が目的の場合 → 装着をガチで検討するべき
・生理痛または出血量を減らしたい場合 → 改善される可能性が高い
・生理不順 → 医師と相談してください
・妊娠したい場合 → 装着してはいけない


ただしミレーナの避妊効果は100%ではなく、妊娠確率は500人に1人の割合とのこと。また先に述べたように生理の軽減を保証するものではないし、比較的新しいシステムであるため、副作用などに関する報告も少ないのが現状だ。

よって生理に関する悩みを抱えていない人は、何も急いで装着する必要はない。そのあたりは医師と相談のもと、各自でくれぐれも慎重に判断して頂きたい。この記事はあくまでも私個人の体験談であり、ミレーナ装着をむやみに推奨するものではなく、生理に悩む女子の参考になればと思って執筆したものだ。そこんとこヨロシクネ!

Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.