今やプラモデルといえば、着色済みパーツはもちろん、細かい部分はステッカー完備、カチッとはめこむだけで固定されるスナップフィットと、その「作りやすさ」に驚くことしばしばだ。

しかし少し前までのプラモデルづくりは自分で接着剤を選び、塗装し、加工するのが主流だったと思う。面倒だったけど懐かしいなぁ、な~んて思っていたら、20年以上前に作った「風物詩シリーズ」がまだ現役バリバリで販売されているじゃないか!

販売元の河合商会はすでにないが、鉄道模型のマイクロエース社から再販されているのだとか。たしか当時は完成後に種をまくと本物の草が生えてきて田畑を再現できるなんて製品もあった。よし、久しぶりに作ってみよう!


・「風物詩シリーズ」

この「風物詩シリーズ」、その名のとおり昔ながらの日本の風景を再現したシリーズだ。「茶みせ」「すし屋」といった店舗タイプもあれば、「屋台そば」「石焼いも」のような屋台タイプのものもある。今回は「おでん」の屋台にしたぞ。大昔に実際に作ったことがあるからだ。

袋からパーツを出してみると……


見事に茶色! 屋台も食べ物も看板もすべて塗り分けされておらず茶色しかない!! 


幸いなことにパース数はそう多くない。つまり接着箇所が多くないということなので、案外さくさく作れるかもしれないが、油断せずにいこう。

手はじめに縁台(脚のついた横長の腰かけ)を作ろうとしたが、「ここに貼りつけてね」なんていうガイドはない。自分で位置や角度を考えて接着する。この突き放し感……!

そしてバリもいっぱいある。ちまちまと削る。


リアリティを出すため印刷された紙を使うところもあるけれど、もちろんシールなんかじゃないぞ。自分で切り出し、自分で接着剤を使って貼るのだ。「はぁん、デカール? 甘ったれんな!」といわれているようだ。

食器なんかは、そのままではさすがに味気ないから着色する。一応説明書に色指定(一部)はあるけれども、すべての色が手元にあるわけではないので、時には混色しながら塗っていく。

混色すると「後で同じ色を再現できない」なんて不便もあって、デジタル着色に慣れているとなかなかつらいものがある。硬派な作業だ。

車輪も塗るぞ。時代設定がいつ頃かわからないけど、さすがにゴムタイヤはあるだろう。面倒くさがりなので、マスキングテープは使わずに感覚で塗る。集中、集中。

屋台はもとの「茶色」でもおかしくないけれど……ここまできたら、やっぱり塗ろう。


屋根は上手く経年劣化感を出して塗れる気がしないので、スミ入れだけする。薄めたブラックを流したあと、ティッシュで拭き取る。

おでんの具は……はて困った。丸く平べったいものはたぶん「がんもどき」だと思うんだけど……

あとがさっぱりわからない。伊達巻きのように見えるが、おでんに入れる? (※一部地域では入れるらしい)


とりえあず「練り物」にありそうな色を塗ってみたのだが、とても食べ物には見えなくなった……! 何にでも見えるように、と汎用性をもたせると、かえって何にも似なくなる、という好例だな。

1つくらいは「こんにゃく」が欲しいと思ってグレーに塗ったものもあるけれど、絶対こんにゃくの形ではない。もう筆者にもワカラナイヨ。

ようやく出来上がった小物を接着する段階にきた。着色のプロセスが入ると本当に大変だ。塗って、乾かして、筆を洗って、また次の色を塗って……ととにかく時間がかかる。2度塗り、3度塗りが必要なこともあるし。

小物の配置の作業は楽しい。苦労がむくわれる。おでんの具を鍋に入れ、徳利(とっくり)や箸立てを接着していく。

屋根をかぶせて屋台部分が完成!

……だったのだけれど問題発生。看板が邪魔になって中まで入らない! 手順は間違っていないし、パーツの向きも正しいと思う。なのになぜ!?

無理矢理入れたら、1度接着したところが壊れました。涙。


続いて台座にジオラマパウダーをまいて地面を作っていく。柳の木は最初から出来上がっているので、台座に接着するだけ……と思いきや、致命的なミスに気づく!

食材だと思ってグレーに塗って「こんにゃく」としたパーツ、実は柳を固定する土台だったー!! もう鍋に入れて煮ちまったよ!!

消しゴムで柳を囲み、ジオラマパウダーをまいてごまかすこととした。紙粘土でもよかったかもしれない。


・完成した姿がこちら

とにもかくにも川べりにたたずむおでんの屋台が完成した。別に川べりとは書いていないが、柳があるからなんとなく水辺かなって。


細部の処理や着色など粗いところもあるけれど、筆者の技量ではこれが限界だ。


・大変だったけど……

最近筆者が組み立てたプラモデルといえば「実物大カップヌードル」だが、作りやすさは雲泥の差だ。あちらはもちろん着色済み、細かいところはシールで緻密に再現されるし、誤った場所にはパーツが入っていかないようになっているので間違えようもない。

「風物詩シリーズ」は着色もイチからだし、接着の場所や角度は自分次第だから、間違っているところもたくさんあると思う。パーツの精度という面でも、手を入れないと使えないところが多かった。けれどその分、オリジナリティのある作品になって愛着もひとしお。まさか樹木の土台がおでん鍋に入っている作品は世に2つとないだろう。

ラインナップはまだまだたくさん。ざっと挙げただけでも「駄菓子屋」「そば屋」「茶みせ」「だんごや」「船宿」「うなぎ屋」「石焼いも」「屋台そば」「金魚屋」などなど。模型店や通販サイトで簡単に手に入るから、ぜひ挑戦してみて欲しい!


Report:冨樫さや
Photo:RocketNews24.

▼上から見た姿。

▼苦労して塗り分けた車輪

▼店主側から見たところ。

▼未使用の茶碗が入っている食器棚

▼樹木の土台が入ったおでん鍋

▼箱には図鑑のように解説があって参考になる