『とっとりGO』と題したポケモンGOのイベントが開催され、9万人近くが鳥取砂丘を訪れたのは2017年11月のこと。「砂丘」と「サンド」のシックリきすぎる組み合わせも相まって「鳥取砂丘はポケモンGOのメッカ」とイメージしている人は今でも多いのではないだろうか。

8月4日のコミュニティ・デイを実家のある鳥取で迎えることになってしまった私は大いに焦った。復帰したての自分がエラそうにポケモンの記事を書ける理由は、都内の恵まれた環境でプレイできているからに他ならない。クソッ……このままじゃ東京の奴らに負けちゃうよ……!

今年の殺人的な暑さは皆さんご存知の通りである。1本の木すら生えぬ灼熱の砂漠……もとい砂丘で3時間を過ごすのは正直メッチャ嫌だ。というか危険だ。けど仕方ない。日本で一番人口の少ない鳥取県人が東京のトレーナーとマトモにやり合うためにはこうするしかないのだから。

・と、いうわけで砂丘にやって来た

イベント開始の16時前に訪れた鳥取砂丘はそこそこに観光客で賑わっている。帽子、サングラス、冷却シートにペットボトル3本を携えて準備は万全だ。覚悟を決めて車のドアを開けた瞬間、灼熱の太陽と激しい熱風が……


……こない!


あれ? それどころかむしろ潮風が心地良いような?

この日は雨の予報もなく、家を出発した段階では間違いなく東京と同様の真夏日だったはず。たまたま夕方から気候が変わったのか、それとも砂丘って意外とこういう感じなのだろうか? そういえば地元だけど、砂丘なんてほぼ来たことがないので全然分からないや……。

ともかく思いのほか相当過ごしやすかった真夏の鳥取砂丘。記事の展開としては若干盛り上がりに欠けるが、プレイするうえでは嬉しい誤算といえよう。16時のスタートに合わせて砂地に足を踏み入れると……うわあ〜! なんだかヒンヤリして気持ちいい〜!


・鳥取砂丘ってこんな感じ

砂丘内は短い一定距離ごとにポケストップがどこまでも続き、補給しながら歩くのに最適……なようにアプリ上では見える。

しかし、実際のところ道のりは傾斜が多くてそう簡単に進めない。砂なので怪我の危険こそ少ないものの、隣のポケストップとの間が崖なんてこともザラだ。ポケストップが続く方向は一般観光客の進行方向と異なるため、進んだ先で出会う人はトレーナーの可能性が高いぞ。

……それにしてもイベント開始を疑うほどポケモンの絶対数が少ない。ラルトスは登場しだしたが「東京の普通の街中(平日)」くらいのポケモン数だ。こ、これはヤバイ……と思って顔を上げると同じく「ヤベエな」という顔をした中年男性と目が合った。

苦し紛れに誰かが使ったとおぼしきルアーモジュールがいくつか吹雪いていたが、ポケモンも使用した人物も見当たらない。どこまで進めどポケモンの増える気配はなく、暑さによるものとは違う汗が流れ出てくる……。


ここから一番近い「ポケモンがそれなりにいそうなポイント」の鳥取駅までは車で約20分。痛すぎるロスだがそれでも移動したほうが良いという決断をした私は、一目散に砂山を駆け登り駐車場へ猛ダッシュ! すると……

ん? 駐車場周辺が悪くなさそうな感じかも……?


・豊かさに慣れすぎていたのかな

ポケモンがそこそこいたのは砂丘へ続く階段を下ってすぐの休憩所周辺と、道路を挟んで向かいの「砂丘会館」のみ。1周するのに1分もかからぬごく狭い範囲である。しかし全てのポケモンを捕獲しながら1周する頃に新しいポケモンがわくという、ちょうどナイスな距離だ。

砂丘ですれ違ったトレーナーの面々もそれに気づいたとみえ、続々と周回をはじめた。ほとんどが関西方面からの観光客。やはり私と同様「砂丘ってもっとポケモンがいると思っていた」という会話が聞こえてくる。

かなり狭い範囲をそこそこの人数でグルグル周回していると、だんだん周囲の目が気になりだした。1人そしてまた1人と休憩所の椅子に腰を下ろす……砂丘会館側の半分は捨ててここでポケモンがわくのを待つ作戦である。

ただでさえ心地よい風吹く砂丘の屋根付き休憩所は、ポケモンGOをプレイする環境としては限りなく天国に近い。トイレも自販機も水道も喫煙所も完備されていてまさに文句なし。蚊などもいないし、このままここに1泊したいくらいだ。


序盤で1時間ほどロスしたことだし、どのみち都会のガチ勢と勝負するのは厳しい。ならば今回は無理せずここに座り、風を感じながらプレイしようではないか。色違いは4つ取れればなんとかなると思うし、出なければガチの方が譲ってくれるだろう。


仏のように穏やかな気持ちでお茶を飲みながら、2時間座って過ごした結果……


ラルトス136匹ゲット! うち色違い7匹!


目を血走らせ、鼻息を荒げ、舌打ちしながら日比谷公園を駆けずり回った先月のコミュニティ・デイの成果は色違い11匹。これが仮にバイトだとすると、どちらの「割がいい」かは一目瞭然だろう。

新宿、日比谷、秋葉原……1ミリでも効率がいいのはどこか? 今や東京はポケモン聖地のインフレ状態だ。他人より多くポケモンをゲットするためならどんな苦労も厭わぬ暮らし……私もまたそこに戻るワケだが、頑張りすぎないプレイスタイルもたまにはいいものである。砂丘に吹く風がそう教えてくれた気がした。

・ところでサンドは今……

イベント終了の19時はちょうど沈む夕日に人々が見入っている頃。鳥取砂丘はポケモンだけを目当てに行くにはいささか物足りないものの、「ついでに観光」くらいの気持ちならイベントでもそれなりに戦える場所である……というのが今回の調査結果だ。

ちなみに砂丘で3時間プレイして、サンドの登場はまさかのゼロ回! 大量発生とまでいかないのは仕方ないにせよ、昔あれだけアピールしたのだからちょっとくらい出てほしかった……。

Report:亀沢郁奈
ScreenShot:ポケモンGO (iOS)
Photo:RocketNews24.

▼サンドはいないけどサンドグッズは空港などで売られている

▼サンドカレー

▼サンドらっきょう

▼こういうポケストップが延々と続く。ポケストップを回すイベントがあれば最適かも?

▼実物はこんな感じ

▼なぞの足跡