
世界3大珍味の1つであるトリュフの話をしよう。庶民にはなかなか手が届かない高級食材でもあり、かく言う筆者も未実食だ。食べられない悔しさゆえに、「どうせ実物はショボ~い味に違いない」と勝手に思い込み、「すっぱいブドウ」ならぬ「ショボ~いトリュフ」理論で心の平静を保っている。
だが、陰気理論武装の日々にも終わりがやってきた。なんと渋谷のとあるお店では、リゾットに好きなだけトリュフをトッピングできるらしい。しかも2000円というお手頃価格。本当にそんな豪気なメニューがあるのか? そして正気なのか? そんなの限界まで振りかけるけどいいのか?
・ほかのどこでも味わえない料理
何はともあれ行ってみなければ始まらない、というより、行きたすぎて歯ぎしり気味だったのでさっそく渋谷に向かった。
リゾットにトリュフを振りかけ放題の「無限トリュフリゾット」なるメニューを実施しているのは、イタリアンレストラン「Goccia(ゴッチャ)」。渋谷駅から7分ほど歩いて、人通りもやや少なくなってきた頃に看板を発見した。
入店し、メニューを見る。鮮魚のカルパッチョ(1200円)やアスパラガスと燻製モッツァレラのグラタン(1000円)といった料理名の横に、無限トリュフのチーズリゾット(2000円)の文字が堂々と記されていた。
すごい……本当にやってる……! 気前が良すぎて怖いが、秒速で注文した。
どうやらお店の人が目の前でトリュフを削り、リゾットに振りかけてくれるらしい。こちらがストップと言うまで削り続けるとのことだが……
大抵のお客さんは、良きところでストップをかけるのだろう。しかしトリュフ食べたさが高じている筆者は、全霊をかけてだんまりを決め込む所存だ。果たして降りかかるトリュフの量はどれほどになるのか。お店側はミュート戦法を想定しているのか。見物(みもの)である。
注文してからしばらく経ったところで、まずは何もかかっていない状態のチーズリゾットが登場。黄金色の輝きが猛烈に食欲をそそってくる。ここからさらに3大珍味の1つが加わるというのだから末恐ろしい。
テーブルに置かれたスライサー、その上に用意されたトリュフに期待をあおられる。今にもスライスされようとしているトリュフを目に焼きつけ、心の引き出しにしまっておく。こんなものをしまう日が来るとは夢にも思わなかった。
店員さんがスライサーを手に取り、まもなくスライスタイムが始まった。スピーディーにトリュフが削り落とされていく。どんなリゾットが出来上がるのか。
みるみるうちに降り積もるトリュフ。目の前の光景のやんごとなさに呼吸が荒くなってきた。それでもお口チャックを貫き通す。
次第にトリュフの層が形成されていく。生きているといろいろなことがあるものだ。
いったん店員さんがスライスする手を止め、「まだ行きますか……?」と尋ねてくる。この時点ですでにトリュフの量が半端じゃない。しかしストップはかけたくなかった。この先にある光景を見てみたい一心で、私は「やっちゃってください」と頷きを返す。
店員さんは嫌な顔1つせず、新たにもう1個トリュフを持ってきて、再び削り始めてくれた。
半端じゃない量のトリュフの上に、さらに降りかかるトリュフ。規格外のデラックス感にだんだん笑うしかなくなってくる。なんなら店員さんも笑っていたように思う。
人は大量の珍味を前にすると、笑うしかなくなるらしい。「これ以上削ると料理のバランスが損なわれる」というギリギリのラインで、スライスは終了となった。
そして出来上がったリゾットは……
贅(ぜい)……!!
頭の中を「贅」の1文字で支配してくるような、そんなリゾットだった。おびただしいトリュフによって、リゾットの黄金色がほとんど覆われている。期待に応えて余りあるゴージャス具合だ。これぞ極上の贅沢。
何より特筆すべきは、座席の周辺まで包み込むようなすさまじいかぐわしさである。キノコの香気を浴びるような初めての体験にうっとりしてしまう。2000円の料理なのだが、国賓(こくひん)級のおもてなしを受けているようにしか思えない。こんな現場に立ち会えて幸せだ。
わさわさと盛られたトリュフをごっそりスプーンですくうと、この世に不可能なんてないんじゃないかという気分になる。よりいっそう芳醇な香りが立ち昇るなか、パクリとトリュフを初実食。しかし口の中に広がる味は意外なほど大人しかった。
なんということだ。このトリュフという食材、香りづけとしてのポジションに究極に特化している。これが3大珍味の1つ……!
それならばと思い、トリュフとチーズリゾットを一緒にいただく。その瞬間、優しくも濃厚なチーズの味わいとたっぷりのトリュフの香り高さが合わさり、ほかのどこでも味わえないような美味しさが舌に染み渡った。
ともすればしつこくなりそうな取り合わせなのに、上品になめらかに、こちらを深く魅了してくる。トリュフ単体では大人しいが、ほかの料理と共演するやいなやこの威力。「ショボ~い味に違いない」というかつての思い込みを、予想だにしない形で上回ってきた。
トリュフすごい。チーズリゾットもたまらない味だ。そしてひたすらにそれらの調和が美しい。この料理からは抜け出せない……!
・貴重なトリュフ体験が楽しめるお店
そんなわけで、あれだけあったトリュフもあっという間に胃の中に収めてしまった。ふんだんにトッピングされたトリュフと寛大な店員さんのおかげで、個人的には最高の初体験となった。限界まで振りかけてもらってよかったという思いである。
皆さんにもぜひこの至極の逸品を味わってみてほしい。なお、トリュフを入荷できる限りの期間限定のメニューであるため、訪れる際にはお早めに。少ない量のトッピングでもきっと美味しいはずなので、好みで調節しつつ、貴重なトリュフ体験を楽しもう。
・今回紹介した店舗の情報
店名 Goccia(ゴッチャ)
住所 東京都渋谷区松濤1-28-7
営業時間 17:00~26:00
定休日 不定休
Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.
西本大紀















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