
みんな、今年の十五夜はお月見をエンジョイできたかな? 中には色々あって平成最後の中秋の名月を逃してしまった人もいるかもしれない……。実は筆者も見逃してしまった一人。うかつにもソシャゲに熱中していて月を見忘れたのだ。
このままでは気持ちよく平成を終えることなどできない。と、ここで十五夜の記事の最後で「栗名月」についてふれたのを思い出して欲しい。そう、まだお月見チャンスはあったのだ。今度こそ本当に平成最後の名月。絶対に逃さないために秘策を講じたぞ!
・10月21日が今年の十三夜
国立天文台によると、2018年10月21日こそが今年の十三夜、つまりは旧暦の9月13日に該当するそうだ。この日の月は、中秋の名月としてよく知られる十五夜の次に美しいとされ、「栗名月」や「豆名月」とも呼ばれる。
月の動きをチェックしてみると、月の出は15時27分でまだ日がある時間帯だ。その後21時11分に南中し、22日の午前3時2分に沈むと出ている。つまり、日が暮れてから空を見れば、月は確実に昇っているはずである。
ちなみに名前に栗やら豆がついているのは、まさに栗や豆をお供えしていたからだとか。それにしても、栗名月とはなんだか甘くて美味しそうだ。中秋の名月は逃してしまったが、栗名月は確実にモノにしたい。
・2日前から挑む
実はこの記事を書いているのは19日で、まだ2日も猶予がある。しかし、前回も似たような感じで、肝心の当日にうっかり忘れるという失態をおかしてしまった。今回は本当に後がないので、絶対に栗名月を逃さないよう禁断の手段に出ることに。
ということでやってきたのは西武池袋本店。全国でもトップクラスの規模をほこる百貨店だ。平日の昼前ということもあり、店内はさすがに空いていた。繰り返すが、今年の栗名月は平成最後……どんな手を使ってでも絶対に逃してはならない。
・19日から21日の期間限定
2日も猶予があるにもかかわらず、焦燥感から自然と早歩きになってしまいながら、いつに無く真剣な面持ちで筆者が向かったのは……
「とらや」
公式サイトによると、創業は驚愕の西暦1500年代。約5世紀という半端ない歴史を持つ老舗中の老舗。日本で過ごしていればどこかで名前を聞いたことがあるであろう、あの「とらや」である。
突然だが、ラテン語で月はLunaという。このLuna由来の英単語にLunaticというものがあるのだが、これは頭がヤバいことになったヤツを意味する単語。これをふまえた上で断っておくが、筆者は月を求めるがあまりLunaticになってしまったわけではない。
栗名月は「とらや」でモノにできるのだ!
何を隠そう「とらや」の『栗名月』は、宇宙の方の栗名月の2日前から当日までの3日間限定で販売されるお菓子。関東のほとんどの店舗と、京都、そして中部地方の御殿場店でのみ取り扱われるレアな一品。お値段は1つ税込584円。
西武池袋本店の店舗で聞いたところ、1日におよそ60〜70個ほど仕入れるそうだが、昼過ぎにはだいたい売り切れてしまうという。仕入れる個数自体はおそらく店舗によって違うと思われるが、興味のある方は競争率の参考にして欲しい。
・造りはシンプルだが、味は一級品
さっそく2つに割ってみると、全体が餡子状のもので構成されていることがわかった。白餡っぽい外側の中心部に見なれた小豆色の餡が詰っている。なお、この時点で信じがたいほどに芳醇な栗の香りがする。
内部構造を商品ページの説明と照らし合わせてみると、どうやら白餡っぽい部分は、裏ごしした栗と白餡を混ぜたもののようだ。そして中心部は「御膳餡」、つまりはこし餡ということだ。
食べてみると……何ということだ、餡が口の中で溶けていく。また、口の中でなんだか柚子みたいな良い香りがする。この香りが栗と餡子の甘みを清涼感のあるものにしている。
この柚子みたいな香りは一体なんだ? 原材料にはガチで「砂糖、栗、白小豆、小豆」としか書かれていない。と、ここで筆者はあることに気づいた。食べ終わって栗の香りは消えたのに、まだ柚子っぽい香りがする。
・香りの出どころはまさかのアレ
香りの出どころは、全く意識せずに使っていたあの竹みたいなモノでできた和菓子用のナイフ。恥ずかしながら和菓子の知識がほぼゼロな筆者は、購入時の店員さんとのやり取りではじめて知ったが、黒文字と呼ばれる道具からだ。
まてよ……クロモジ? 学生時代に聞いた覚えのある名前にまさかと思いググってみると、この黒文字、よく香料の製造に使われるクロモジという分類に属する木から作られていた。近縁の多くが海外でもアロマオイルやらに使われるイイ匂いのする連中だ。
「とらや」のことである。きっとこの黒文字の香りもあわせての仕上がりなのだろう。これはもはや和菓子の宇宙。何を言っているのかわからないと思うが、筆者もわからない。芸術レベルでウマい。この『栗名月』マジで半端ない名月だ。
・大気圏外の栗名月も要チェックや!
ということで平成最後の栗名月、筆者は一足先に堪能させてもらったが、これは最高にお勧めの一品だ。なお「とらや」同様に十三夜直前の数日だったり、十三夜の当日限定で『栗名月』という名の和菓子を販売するメーカーは他にもみかけた。
そういえばすっかり忘れていたが、10月21日には大気圏外にあるほうの栗名月もぜひウォッチングしよう! 気象庁によれば、幸いにも天気は全国的に晴れ模様。平成最後の名月だし「とらや」の『栗名月』とセットだとより思い出に残ること間違いなしだ。
参照元:とらや、国立天文台、暦計算質、気象庁、黒文字
Report:江川資具
Photo:RocketNews24.
▼もう一つ感動したのは、この部分が!
▼ここの部分に!
▼ふたを閉じるとはまって!
▼勝手に開かない!
江川資具









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