何かと問題を抱えている東京・築地市場の豊洲移転。2018年10月11日に豊洲市場は開場を予定している。それに先駆けて、築地市場は10月6日を最後に閉場を予定しており、市場関係者は普段の業務をこなしながら、移転の準備に追われている状況だ。

5日昼前に現地を訪れると、築地との別れを惜しむ観光客でごった返しており、6日に閉店を迎える牛丼の吉野家1号店の前には長蛇の列が。同日13時をもって、1号店は閉店することになる

・どこも長蛇の列

5日の10時30分頃に市場を訪ねると、平日にもかかわらず場内・場外ともに多くの観光客が、飲食店に長蛇の列を作っている。とくに、寿司店の前はどこも行列。普段から人気のお店は、店前に並ぶ人の数が倍以上に膨れ上がっているように見える。この場所で味わう食事との別れを惜しんでいるようだ。


多くの観光客が、市場関係者の業務をいくぶん妨げているようで、場内はやや殺気立っている印象を受ける。お店によっては、引っ越し準備がスムーズに進んでおらず、嘆くような声を聞くことも少なくない。


・1号店閉店へ

そんななか、来場者の関心を引いていたのが吉野家1号店である。店前には長い列ができると共に、「最後尾はこちらです」の札を持つスタッフの姿が。


列の最後尾に並ぶと、さすが「はやい・やすい・うまい」を掲げるだけあって、客の回転はスムーズだ。おおむね10~15分程度で入店し、オーダーをするとすぐにアタマの大盛り(480円)・ねぎだく・つゆだくの牛丼が出てきた。


・特殊なオーダー

実は、数ある吉野家のなかでもここでしかできない注文方法がある。それは「ねぎ “だけ”」だ。出汁の旨味を存分に吸った玉ねぎだけを盛ってもらえる特別なオーダーなのだが、今日のように忙しいなかで、そんな注文をすればきっと負担になると思い、せめてとの思いからねぎだくでお願いした。

ちなみにこのほかにも、「つめしろ」(冷たいご飯)や「肉下」(ご飯の下に肉)なども、ここでしかできないオーダーだった。どこかのお店で、この特殊なオーダーを引き継いでくれると良いのだが。


・哲学は継承される

90年もの歴史を刻み、築地市場で働く人たちの胃袋を支えてきた1号店はなくなってしまう。しかしここで培った哲学とノウハウは、他の多くの店で引き継がれていくことだろう。あす6日13時をもって閉店。本当にお疲れ様でした!

・今回訪問した店舗の情報

店名 吉野家 築地1号店
住所 東京都中央区築地5-2-1 築地市場 1号館
営業時間 5:00~13:00(2018年10月6日をもって閉店)

参照元:東京都中央卸売市場
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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