未成年の自殺に関するニュースが定期的に流れるようになったのはいつごろからだろうか。いじめや家族の問題など、報道では色々な捜査結果が提示されるが、どんな理由であれまともな精神であれば悲しい気持ちになるものだろう。

しかし、世の中には率先して子供たちを自殺させようと考える人間が存在する。日本ではあまり報道されないが、数年前から海外ではその手の「子供を自殺に導くゲーム」が広まっているのだ。いつ日本で確認されるとも限らないので、注意喚起の目的で紹介しようと思う。

・SNSを利用したSuicide Challenge(自殺チャレンジ)

「子供を自殺に導くゲーム」として最も猛威を振るったのは、ロシアが発祥の「Blue Whale Challenge」というもの。ロシアで生まれ、ヨーロッパ全土、アメリカ、南米、そして中国や韓国にも広まっている。

仕組みとして、まず子供たちはゲームマスターからSNSを通じて出される簡単な指令(チャレンジ)をゲーム感覚でこなしていくことを求められる。こなした証拠をSNSにアップロードすることでゲームは進んでいき、指令の内容は次第に過激化していく。

この「チャレンジ」は50日という長期にわたって継続し、その過程で子供たちの感覚は次第に麻痺していく。そして最終的には「自殺しろ」という指令すらもあっさり聞き入れてしまうというものだ。

「そんなので本当に自殺する?」と思うかもしれないが侮るなかれ。AFP通信によると、発祥の地ロシアでは少なくとも130人の子供の自殺に関与していることが明らかになったそうだ。

・オリジナルの首謀者は逮捕されたが

最初にこの「Blue Whale」を作ったと目される青年は既に逮捕されている。しかし、確立された自殺に導くテクニックや理論は悪意を持つ者たちによって拡散され「ポストBlue Whale」とでもいえるようなものが世界中に存在しているのが現状だ。

しかし、各国のメディアによる周知や、教育機関での注意喚起などが効を奏したのか、最近ではあまり「Blue Whale系ゲーム」による自殺者の報はかつてほど聞かなくなった。知っていれば「これBlue Whaleじゃん」という感じで避けられるのだ。

・「Momo Challenge」という新型が流行の兆し

そんな中、2018年8月初頭から子供たちに人気のゲーム「マインクラフト」上で、新しい「自殺チャレンジ」系のゲームが生まれたことがThe Indian ExpressやThe Sunといった海外メディアで報じられ始めた。

新しいゲームの名は「Momo Challenge」だ。その手法は、子供たちが無自覚に公開してしまっていた自分の個人情報を収集し「お前のことは何でも知っている」と脅迫。そこから時間をかけて自殺に追い込むスタイルな様子。どうも大人目線だと「そんなので死ぬ?」と感じてしまう。

しかし、海外メディアFox Newsによると、現在アルゼンチン警察がブエノスアイレス近郊の12歳の少女が自殺した事件に「Momo Challenge」が関与しているとみて捜査を進めているとのことだ。

・まず知っていることが重要

ここからは筆者(江川)個人の見解だが、この「Momo Challenge」も背後にいる者はどこかの捜査機関によって遠からず逮捕されるだろう。一般の目に触れるネットの世界は、実の所全く匿名ではない。

本当に危惧すべきなのは、「Blue Whale」や「Momo Challenge」そのものではなく「SNSを利用したやり取りだけで子供を自殺に追い込む方法がある」ということだろう。海外ではこの手の「自殺チャレンジゲーム」自体が、上述のとおり大々的に報道されて広く知られている。

とりあえず知っていれば、自ら距離をおくことや、身近に被害者が出た場合手遅れになる前に気づける可能性が全く違ってくる迷惑メールフィッシング詐欺などと同じようなものだ。

・子供のネット上の活動により注意を

中韓露など、日本の周囲にあるほぼ全ての国で「自殺チャレンジ」による被害者が確認されている。いつ日本でも誰かによって同様のものが作成され、被害者が確認されてもおかしくはないと思う。

手法はどんどん多様化していくかもしれないが、10歳から14歳といった多感な年頃の子供が主に被害にあっている点は共通している。該当する年齢の子供を持つ親は、まず「世の中にそういったものがある」という知識を持った上で、子供のネット上での活動により注意深くなっておくべきだろう。

参照元:The SunThe Indian ExpressFox News(英語)、AFP BB NEWS
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.