カローラやクラウン、ランドクルーザーなど、数々の人気車を生み出してきた世界最大規模の自動車メーカーが「トヨタ自動車株式会社」だ。そのトヨタが近年、壮大なプロジェクトに取り組んでいるという。

その名は、「TOYOTA GAZOO Racing 5大陸走破プロジェクト」である。今回は従業員自らがハンドルを握って、過酷な道を走り抜くというそのプロジェクトについてご紹介したい。

・「5大陸走破プロジェクト」とは

まずはじめに「TOYOTA GAZOO Racing 5大陸走破プロジェクト」について簡単に説明しよう。同プロジェクトは、TOYOTAの従業員自らが “大陸を走る” という経験によって「もっといいクルマづくり」をするための人材育成を目的としたもの──つまり、本気の社員研修ともいえる取り組みである。

・2014年「オーストラリア大陸」

同社のホームページによると、2014年にプロジェクト第1弾としてオーストラリア大陸の走破に挑戦。社員80名が約2万キロを72日間で走りきり、砂埃の舞う悪路や世界最長の直線道路など、都会とは違った過酷な環境から様々なことを学んだという。

・2015年「北米大陸」

続いて2015年、140名もの社員が109日間かけて北米大陸の約2万8000キロの道のりを走破。夏季には灼熱の日光が照りつけるデスバレーを、冬季にはマイナス20℃を記録するアラスカを走り、クルマの持つべき性能を肌で実感したとのこと。

・2016年「南米大陸」

さらに昨年2016年には、南米大陸で78日かけて118名のメンバーが2万413キロを走破。強風が吹き荒れるパタゴニア大平原や、酸素不足でエンジンが停止するほどの高地であるチリ「アタカマ展望台」へ続く道を走行し、想像を超える経験を得たという。

・トヨタが掲げるキーワード「現地現物」とは

しかしなぜここまでやるのか? それはトヨタが掲げる「現地現物」というキーワードに由来する。現地現物とは、「実際に現場に足を運び、現場の事実に基づいて考える。問題を解決し、困難を乗り越えるための答えは、必ず現場にある」という考え方。まさに同プロジェクトそのものだ。

では、5大陸走破に参加した従業員は現場で何を感じたのか? トヨタが集約したアンケート結果を確認すると……

・5大陸走破に参加した従業員の感想(一部抜粋)

「クルマがお客様の命を預かっていることを認識した」
「自分の考えていた世界とは程遠い現実を経験出来た」
「我々の想像もできない環境でクルマは使われている」
「クルマのニーズを決めているのはトヨタでなくお客様」
「クルマづくりに対する期待感を肌で感じ、当事者意識で考える大切さを感じた」

こうして、いつもと違う土地で得た経験は、きっとかけがえのないものとなったに違いない。そして、どの国で作っても同じ品質であること、つまり「Made by TOYOTA」の実現がいかに重要か、身を持って知ったのではないだろうか。

従業員の “モノづくり” への情熱を高める大きなきっかけである、このプロジェクト。2020年までには全5大陸を走りきる予定とのこと。どんな険しい道が待っているのか、今後もトヨタから目が離せない。

・動画や写真も必見

なお現在、トヨタの特設サイトでは大陸走破についての詳細が記されており、数々の美しい写真や動画を見ることも可能だ。自動車ファンの方はもちろん、そうでない方もぜひ1度ご覧いただきたい。

参照元:YouTube [1] [2] [3]、TOYOTA GAZOO Racing「5大陸走破プロジェクト」
執筆:K.ナガハシ

▼「豪州走破 コンセプトムービー」がこちら

▼「北米走破コンセプトムービー」がこちら

▼「南米走破コンセプトムービー」がこちら

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