子供の誘拐ほど、親にとって辛いことはないだろう。子供はどこに行ったのか、無事でいるのか、誰に連れ去られたのか……そう思っては、身の内で怒りや悲しみが燃えたぎるはずだ。
あるインド人夫婦も、9年前に1歳だった息子を誘拐された。だがこの度、その少年が発見されたというではないか! 母親が偶然目にしたアルバムが決め手になったのだとか。
・2007年に誘拐された赤ん坊
2007年、インド・デリーのバブ・ジャグジーバン・ラーム病院で、1歳6カ月の男児が誘拐された。通報を受けた地元警察がすぐに捜索を開始したものの、男児の居場所を突き止めることができないまま約9年の月日が流れた。
しかし2016年5月、事態は突然動いた。男児の母親が、デリーの別地区に住む親戚の家でアルバムを見ていたところ、1枚の写真の中に見覚えのある顔を見つけたのだ。
結婚式の様子が写された数多くの写真の中に、息子にソックリな10歳くらいの少年が写っていたのである!
・警察の協力も得て、少年を発見
それから3カ月間、夫婦は息子だと思われる少年の行方を、結婚式が行われた周辺地区で探しまわった。そして、少年を連れた男女を見かけたという情報を耳にし、地元警察に協力を依頼。警察が調査を行ったところ、その少年は2007年に誘拐された子供であることが、判明したのだった。
警察の尋問に対して、少年を連れていた男女は曖昧な返答を繰り返し、自分の子供であると発言していたようだ。しかし近隣住民による “数年前に男女が突然子供を連れてきた” という証言もあり、男女は自分たちが子供を誘拐したことを認めたのだった。
・実は同じデリーにいた両親と少年
子供ができなかった男女は、9年前に病院で1人で座っていた赤ん坊を見て、とっさに誘拐を働いてしまったと話しているそうだ。
この9年間、同じデリーにいながら、ずっと会えないままだった親子。ちなみに約1480平方キロメートルのデリーは、東京の約4分の3ほどの面積だ。
『Hindustan Times』によると、少年はまだ本物の両親に打ち解けることができていないもよう。そんな少年を前にして、両親も複雑な気分でいるのかもしれない。
参照元:Daily News & Analysis、Hindustan Times(英語)、Twitter @dna
執筆:小千谷サチ
▼誘拐されていた少年
Nine years later, photo album helps parents find their kidnapped child https://t.co/HgbMDD2oca pic.twitter.com/8awtwl3dxt
— DNA (@dna) August 25, 2016