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2015年4月、東京・新宿歌舞伎町に「TOHOシネマズ 新宿」がオープンした。私は、以前から問題になっていた飲食店などの客引きは、巨大な商業施設のオープンにより、多少は改善されると思っていた。ところがまったく変化はない。街は以前よりも明るくなったものの、客引きの減る気配はなく、むしろ観光客が増えた分、客引きもやる気を出しているように感じられる。

2013年9月に新宿区は「客引き行為禁止条例」を施行したのだが、これには罰則がないために、客引き撲滅にほとんど効果がなかったのではないだろうか。ところがこの条例が改定され、2016年6月1日から新たな罰則規定が施行されることに。客引きだけでなく、条例を違反した店舗にも罰則や公表の措置が取られることになったのだ。さらに飲食店検索サイトも、客引き撲滅に動き始める。今度こそ期待できるぞ!

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・新たな「客引き行為禁止条例」の禁止行為

条例の改正により、禁止される行為は以下の4つになる。

1.客引き行為
2.勧誘行為(路上スカウト)
3.客待ち・勧誘待ち行為
4.客引きを受けた客を店舗に立ち入らせること

1~3は従来通りだが、新たに4の「客引きを受けた客を店舗に立ち入らせること」が加わった。これにより、声をかけてお店に誘うだけでなく、誘った客を店に案内することも条例違反に当たる。これは店舗従業員であっても、店舗に依頼を受けたキャッチであっても同じだ。

・公表と過料

そしてこれまで指導だけで終わっていた罰則から、公表や過料などの措置がとられることになる。罰則は「指導 → 警告 → 勧告」と段階を経て、公表・過料となる。

公表は客引きの氏名・住所(法人名や所在地、代表者の氏名)だけではなく、違反店舗の名称や店舗の所在地、そして違反行為の内容が明かされる。また過料は5万円以下とされている。

・両罰規定

肝心なのは、今回設けられた「両罰規定」だ。これは、客引き行為を行ったものだけでなく、客引き使用者にも適用されることである。たとえフリーのキャッチであったとしても、そのキャッチを利用している店舗も、罰則を受けることになるのだ。

・立入調査と店舗場所の提供者への通知

このほかにも、指導・警告・勧告を行うに当たり、違反者の事務所・営業所への「立入調査」を行うという。これを拒むと、過料を科せられる。また、店舗の入っている建物の所有者・管理者に対して、違反行為にかかる通知を行うそうだ。この「店舗場所の提供者への通知」措置もかなり厳しいものになっている。

「店舗の賃貸借契約において、客引き行為等をした場合の契約解除の特約条項を設け、これに違反している場合には、契約の解除等ができるようにしています」(新宿区ホームページより引用)

実は客引き根絶の動きはこれだけではない。大手の飲食店検索サイトも、対策に乗り出している。

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・ぐるなび・食べログ・ホットペッパーグルメと連携

ぐるなび・食べログ・ホットペッパーグルメの3社は、2016年3月に豊島区・新宿区・港区・品川区・渋谷区・墨田区・大田区・千代田区の都内8区と、「客引き行為等の根絶に関する覚書」を締結している。具体的な連携は、大まかに以下のようになる。

まず、区は飲食店に「客引き行為等を利用した営業をしない旨の表明・確約書」を送付。店舗はこれに必要事項を記入して、提出する。区は店舗を審査した後に「客引きしない宣言店ステッカー」を提供するそうだ。店舗は飲食店検索サイトに、このステッカーの写真を掲載し、健全な営業を行っていることをアピールできることとなる。

・6月1日からどうなる?

振り返ると、「客引き行為禁止条例」が2013年に施行された当時、最初の1カ月間は効果を実感できた。しかし現在の状況を見ると、ほとんどこの条例の効果がないように思われる。今回も最初だけ、ということになりはしないか、気になるところだ。

もし仮に、飲食店検索サイトが条例違反のお店の掲載を取り止めたりすれば、かなり効果はあると思うのだが。いずれにしても、また一歩、客引き根絶に前進したことに違いないだろう。6月1日以降、新宿の街はどうなるのだろうか?

参照元:新宿区東京新聞
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24