小池百合子東京都知事が緊急の記者会見を開き、不要不急の外出を自粛するよう要請したのは2020年3月25日のこと。つまり、つい1週間前の出来事である。以来、都内ではかなり人が減ったように見えるが、リアルな現場はどうなのか? 今回は「新宿」のいまの様子をお届けしたい。

・眠らない街

2017年には新宿駅の1日の平均乗降者数が353万人を記録しギネス記録に認定されるなど、世界有数のメガシティとして知られる東京は新宿。ビジネス街と歓楽街の顔を持ち合わせる新宿はとにかく人が多い街であり、昼夜問わず人並みが途切れることはない。

中でも歌舞伎町は「眠らない街」の心臓部であり、アジア最大級の歓楽街としても有名だ。24時間365日、常に妖しい魅力と人間の欲が渦巻く街、それが「新宿歌舞伎町」である。

・歌舞伎町はかなり人が少ない

2020年4月1日、その歌舞伎町でさえ人影はまばらであった。それは歌舞伎町の中心部に向かえば向かうほど顕著になり、普段の歌舞伎町とは打って変わった様子である。シンプルに表現するならば、エネルギーが感じられなかった


観光客らしき人影はごくわずかで、買い物客らしき人もあまり見かけない。普段よりやや少ない客引きとサービス業の店員、加えてビジネスマンらしき背広姿の男性たちを見かける程度で、いつものギラギラした歌舞伎町とは程遠い印象だ。

・駅周辺はいつもより人は少ないが

ただし、JR新宿駅付近はそれなりに人がいた。もちろん普段ほど多くはないが、テレワーク6週目に突入した記者からすると「この期に及んでまだこんなに人がいるのか」と感じた次第だ。その多くはビジネスマンたちの姿だったので「仕事でやむを得ない」といったところなのだろう。

ちなみに、現在でもテレワークできない理由はなんなのだろう? 喫煙所に居合わせたサラリーマンに聞いてみたところ、以下のように教えてくれた。


「会社は製造業で私は営業職なんですが、正直テレワークにしようと思えば可能なんです。ただ、うちは大きな会社の下請けなので、そこがテレワークにしない限りちょっと厳しいのかな、と。みんな内心ではテレワークにしたいと思ってるんでしょうけど……」


当然、どうしても出社しなければならない企業もあるのだろうが、意外とこんな理由でテレワークになっていない企業も多いのかもしれない。また、久しぶりに電車に乗ってみたが「いつもとあまり変わらない」と感じたことも記述しておく。

歌舞伎町を見る限り、多くの人が外出を自粛しているように感じた一方で、新宿駅周辺や電車の中は普段とさほど変わらない印象を受けた。バーやナイトクラブへの立ち入り自粛も重要だが、それより先に手を付けるべきことがあるのではなかろうか。少なくとも、個人単位は外出の自粛を心がけているように見えた新宿であった。

Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.