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「霞ヶ関」と聞くとどういったイメージがあるだろうか? 私(中澤)の場合、なんとなく萎縮してしまう。この街に立ち並ぶ各省庁のビルの重厚な雰囲気に気圧されてしまうのだ。

ウマいそば屋を求めて色んな街を放浪する「立ちそば放浪記」。今回ご紹介するのは、中央官庁の社食そば屋である『日豊庵』だ。通常、一般人が用もなく立ち入ることができない省庁ビルだが、農林水産省の北別館にあるこの店は一般に開放されている。というわけで、さっそく訪れてみた。

・場所は絶対に間違えるな

大事なことなのでもう一度言うが、この店が開放されているのは “北別館” だ。誤って本館に突撃しようものなら、たちまち警察官に止められるので注意しよう。

北別館は本館の正面入り口を向かって左に進み、本館を舐めるように一個目の信号を右に曲がって、しばらく歩くと右手に見えてくる。……いいか、くれぐれも焦って本館に入るんじゃないぞ。さもなくば、本館の入り口に立つ警察官の不審者を疑う視線と質問が容赦なく突き刺さってくるからな。

・ミッションコンプリートするまで気は抜けない

無事に北別館にたどり着いたなら、9割方のミッションをコンプリートしたと言える。北別館の警備はザルだ。……そう、ザルそばのようにな。ただし、この店が一般開放されているのは、11時から15時の間だけ。それ以外の時間に凸しようとすると、ザルどころか塀の中に行きかねないぞ
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さあ、国家権力の怖さと時間のシビアさを理解したなら、さっさと入店してそばを食って帰るのみだ。なお、農林水産省は敷地内撮影禁止なのだが、店の人に聞いてみたら「そばなら写真撮っても良いよ」とのことだったため撮らせてもらった。

・良い味を出す店内

店内は、昭和の匂いを感じさせる昔ながらの食堂という風情を醸し出している。広い空間の中には使い古された椅子と机がゆったりと並んでおり、掃除が行き届いた店内には清潔さを感じた。壁に貼られた手書きのメニューも良い味が出ている。
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・人気のセットメニュー

私が注文したのは、2食そば(500円)。日替わりのそばと小冷し野菜そばのセットである。ボリュームがあり、この店で一番の人気商品なのだとか。本日はコロッケそばのようだ。
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出されたセットは、濃い色のつゆに大ぶりのコロッケが乗った大きめのそばと、モヤシやニンジン、玉ねぎが乗った小さめのそばの2つだった。確かにボリュームは申し分ない。なお、この店の食材はほぼ国産が使われているという。さすが農水省!
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・コロッケそばってこんなにウマかったか?

まずは、野菜そばを1口食べてみると、スッキリした甘い味わいがつゆと絡んで爽やかに口の中を満たす。野菜が絶妙にそばのうまみを引き出しており、冷やしそばにぴったりだ。これ夏は絶対最高だろ
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次にコロッケそばを食べてみると、濃いつゆがコロッケに染みてウマい。しかも、その “濃さ” がそばに対して良いオカズになっている。コロッケそばってこんなにウマかったのか……。
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・お役人さんはズルい

さらに、コロッケそばのメインディッシュ感のおかげで野菜そばのあっさり風味も引き立てられる。どっちも同じ店のそばなのに、まったく味が違う! 飽きねェェェエエエ!!
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気づいたら、丼が空っぽになっていた。ボリュームだけじゃなく、セットにする意味がある。こんなの500円で毎日味わえるなんて中央庁の人たちはズルい! なお、日替わりの内容は、月「コロッケそば」、火「カレー南蛮そば」、水「かきあげ天そば」、木「肉そば」、金「カレー南蛮そば」となっていた。

霞ヶ関近辺に勤務している人はもちろん、私のように霞ヶ関に威圧されてしまう人でもそば好きなら一度は行ったほうがいい。ひょっとしたら、このそば屋のおかげで、国家権力の恐ろしさを克服できるかもしれないぞ!

・今回紹介した店舗の情報

店名 日豊庵
住所 東京都千代田区霞ヶ関1-2-1 農林水産省北別館内
営業時間 月~金11:00~15:00
定休日 土、日、祝日

Report:立ちそば評論家・中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼農林水産省の本館に向かって左に進む
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▼一つ目の信号を建物を舐めるように右折
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▼まっすぐ行くと……
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▼右手に北別館が見える
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▼超絶コスパのそばセットで国家権力もへっちゃら!
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