
日本最古の都 “奈良” 。「修学旅行で行った」というか「修学旅行でしか行ったことがない」という人は多いだろう。記者は大学に通うため奈良に住みつき、かれこれ6~7年が過ぎようとしている。長年住んでいても、外から来た立場としては違和感を覚えざるを得ないことは多い。
そこで「奈良県外出身者が奈良で暮らしてみてマジで驚く10の理由」を、ありったけの奈良愛を込めてお伝えしたいと思う。くれぐれも奈良を卑下しようだとか、現状にケチをつけようだとか、そういった気持ちで書いたのではないことだけご理解いただきたい。詳細は以下の通りだ!
その1:鹿が原因の交通事故がとにかく多い
神の使いとして、奈良市で大切に守られている「鹿」。シカしながら、この鹿が原因となる交通事故が非常に多い。奈良の鹿愛護会によれば、鹿の飛び出しなどが理由で年間約150件以上もの交通事故が起こっているそうだ。記者も実際に何度かその現場を目にしたことがあるが、飛び出した鹿も飛び出して来られた人間の方も気の毒でいたたまれない。
現状を危惧して、県が2013年に “鹿ゾーン” なるものを設置。事故が多いエリアの路面にカラー舗装をしたり、鹿野の飛び出し注意を喚起する看板を建てて注意を呼びかけている。どれほどの効果があるのか、まだ様子見の段階だとは思うが、個人的には運転中の注意力は以前より増した気がしている。
その2:京都より奈良が上だと思っている
生粋の奈良県民には「そんなこと思ってない! プンプン」と言われそうだが、外の人間からしてみたら、県民が “京都より奈良の方が素晴らしい街だ” と思っているように “見える” という話。
ちなみに記者は京都にも住んでいたことがあるのだが、京都は奈良のことを「あれはあれでイイ街」と思っている節がある。つまり……京都は奈良を、あまり相手にしていないのだ。
逆に奈良はかなり京都を意識していて、「どうすれば京都の真似ごとになるのでなく奈良らしさをアピールできるか」に粉骨砕身している。そして都があった時代的には奈良の方が古いのだから、当然奈良の方が歴史があってスゴイのだ! と思っているような気がする。
記者は、自分の住んでいる街に誇りを持っている県民が大好きだ。ただし誇れる街にするためには、現状維持のまま、受け身姿勢のままでいることからは脱却しなければ──と思わないではない。
その3:仕事がない
2010年の国勢調査で、奈良は県外就労率が日本一だったのだとか。最新の調査で変化があったのかどうかはわからないが、総務省の統計によれば約5割の人が県外に働きに出ているというデータが出ている。それもそのはず、奈良市から近鉄電車の急行に乗れば大阪難波駅まで約40分、京都駅まで50分しかかからない。じゅうぶん通える距離なのだ。
奈良に仕事がないと言うよりは、大阪や京都で働いた方が待遇がいい──というのが正しいかもしれない。都心部と比べれば地方なんてどこも似たようなものだろうが、奈良もご多分にもれず会社が少ない。そのため選択肢が少ない。何が何でも奈良で働きたい! という確固たる決意がない限りは、お隣へ働きに出かけた方が吉だ。
記者自身、ロケットニュースの前は奈良の企業で働いていたので、県外で働こうかな……という気持ちはイヤというほどわかるぞ。
その4:17時以降は店が閉まっている
こちらも「絶対そんなことない!」と反論する方は多いだろう。いや、わかっている。私だって奈良に住んでいるんだから、夜遅くまでやっている店が少なくないことぐらいわかっている。だがしかし、敢えて言わせてもらおう。奈良は5時以降、店が閉まっている “ように見える” のだ。
その理由は、おそらくメインとなる商店街のシャッターが閉まりすぎているから……ではないだろうか。商店街はお土産物屋さんが多いため、ブラつく観光客がいなくなれば閉めるのは当然。17時、遅くても18~19時に閉めるというのは妥当だ。ただ、その商店街の少し脇に入れば、それこそ深夜0時過ぎても開いている飲食店はいっぱいある。
奈良に来た際に「夜ご飯は大阪に行って食べればいいや~」と思わずに、お店を探して入ってみてほしい。どこに入っても心のこもったサービスと、美味しい食事を提供してくれることを保証する。
その5:若者の姿を見かけることが少ない
これは致し方ない。先ほどの県外就労率からも働き盛りの若者が昼間、奈良にいないことは明白。住民基本台帳による調査でも65歳以上は増加しているが、年少人口は減っていることが明らかとなっている。大学がいくつかあるとは言え、点在しているので若者がワイワイと街を歩く光景はあまり見かけないような気がする。
加えて、これは後の話にも関わってくるのだが若者が遊びに行きたくなるような場所がない。そのため、例え学生がいたとしても学校に引きこもっていたり、他府県へ遊びに出かけてしまうケースはどうしても出てきてしまう。
そうであるが故、奈良は修学旅行生以外で若い人があまり歩いていない……そんなイメージを受けてしまうのだ。
その6:デートと遊び場はイオン
奈良市内に遊園地や映画館があったのも今は昔。周りを見渡せば神社仏閣は多いものの、そうしたところへ行って楽しめる若者も少ないだろう。大人になればイイなと思うようにもなるが、まだ友達とはっちゃけたい時期の若者はどこで遊んでいるのだろうか。
カラオケやボーリング場はあるが、いつも行くと飽きてしまう。たまには違う刺激がほしい。そんな時の強い見方は、なんといってもイオンモール。そこへ行けば、買い物も食事も映画も見られる……まさにオアシス! しかも県中部・橿原市のイオンは関西最大級で一日いても、全部を回り切れないくらいの広さだ。
ちょっとデートで映画を見て食事をしたい、友達と買い物に行ってお茶したい……そんな時に県民が集うのがイオンモールだ。奈良県民のライフラインだぞ。
その7:買い物はネット
暮らしていて非常に困るのが、都会だと普通にある店舗がないこと。例えば東急ハンズやヨドバシカメラ、ビックカメラなど……。イオンモールがあるとは言え、それではカバーしきれないケースは多々ある。そこで役立つのがネットだ。ポチっとしさえすれば、奈良のお店では絶対に手に入らないあんなものやこんなものが家に届く。
便利な時代になったもので、パソコン一台あれば奈良にいても昔と比べて、さほど不便を感じることがなくなったのではないか!
その8:長いトンネルを抜けなければ大阪に出られない
車で移動するにせよ電車で移動するにせよ、奈良から大阪に行こうと思えば、とにかく長~いトンネルを抜けなければならない。トンネルを通過するたび、奈良と大阪の間にある壁を感じるのは記者だけではなかろう。抜ける前と抜けた後の景色の違いにも毎度驚かされる。
生駒山という山が間にあるため、そこを突破しなければいけない訳だが、トンネルを通る度に「あぁ、大阪に行くんだな」「奈良に帰って来たんだな」と感じる。ちなみに車用のトンネルは、正倉院に代表される校倉造(あぜくらづくり)倉庫内の大気汚染物質が屋外より少なくなる──という原理を応用した構造になっているとかいないとか。
その9:堂本剛さんの出身地であることが誇り
奈良ゆかりの有名人と言えば、福山雅治さんと結婚した吹石一恵さんが今一番、脚光を浴びているが、県民がなんといっても誇らしく思っているのは堂本剛さんの存在だ!
堂本さん自身も事あるごとに地元愛を発揮し、奈良への想いを口にしている。奈良市観光特別大使にも就任しており、奈良をアピールしてくれることを県民はとてもありがたいと思っている。
奈良でのロケも時折行われるようで「どこそこで剛さんを見た」という会話が、学校や会社で飛び交う。だがしかし、野次馬根性で騒いで剛さんに迷惑がかかってはいけないと県民はあたたかく見守っているぞ。剛さんに対して、県民はお母さんのようなお父さんのような気持ちでいるのではないかと思う。
その10:遷都1300年祭の余韻を今も引きずっている
平城京への遷都から1300周年を迎えることを記念して開催されたイベント、遷都1300年祭。大成功だったようで、これまでになく奈良はにぎわった。キモキャラとして一躍有名になった “せんとくん” が生まれたのも、このイベントがきっかけだ。
イベントが成功したことは確かかもしれないが、その余韻を引きずりすぎな感は否めない。やればできるはずなのに、観光客は減少しているのも事実。せんとくん人気も今やそこまでないだろうに、未だに県主体のイベントには登場してくる。本当に観光都市として頑張っていきたいのであれば次のステップに進むべきではないかと思うのは記者だけだろうか。
──以上、10の理由である!
かなり奈良のマイナスイメージばかり並べてしまったが奈良は素敵な街だ。こんなに日本を感じられる土地は、ほかにない。冒頭に書いたように、記者もモチロン奈良が好きだ。そうでなければ何年もここにとどまっていないぞ。
より良い街にという想いで「奈良を変えよう」と頑張っている人や団体は多い。変わらない奈良だからこそイイんだという人もいる。それぞれの立場や思いがあって今の奈良ができあがっている。願わくば、そんな奈良のことをもっと多くの人に知ってもらいたい……。ここで挙げた10の理由の真義を確かめるためにも、まずは奈良を訪れるべし!
執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.
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K.Masami




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