フットワークの軽い “脚” として日本人の生活を支えてきた原動機付自転車(原付)。そんな原付に、2025年4月から「新基準原付」という新しい区分が追加された。

施行から約1年が経った2026年5月現在、すでに市場には新基準に対応した原付が続々と登場している。

しかし「新基準原付ってなに?」と聞かれると、意外と説明できない人も多いはず。新生活に向けて原付の購入を考えている人もいるかもしれないので、改めて解説していこう。

・原付免許で125㏄バイクには乗れません

はじめに、この記事でお伝えしておきたいことを明確にしておこう。それが以下の3点だ。


①すでに原付免許を持っている人は、免許を取り直す必要はありません
②原付免許では、125㏄クラスのバイク(原付二種)を運転することはできません
③原付特有の「法定速度30km/h以下」や「二段階右折」といったルールは従来どおり残っています


ここを誤解すると道路交通法違反につながる可能性があるため、まずは大前提として押さえておいてほしい。

それでは、新基準原付とは一体どんなものなのか。詳しく見ていこう。


・旧基準原付バイクが生産終了に

今回の変化の背景にあるのは、2025年11月から適用された新排出ガス規制だ。

排出ガス規制とは、エンジンから排出される有害物質(窒素酸化物、炭化水素、一酸化炭素など)や温室効果ガスの量を法律で制限する仕組みのこと。

これにより、従来の50㏄以下バイクでは対応が難しくなり、多くのモデルが生産終了へと向かうことになった。(すでに所有していたり中古で販売されたりしている旧基準原付は、今後も普通に乗れます)

しかし日本では、手軽に乗れる原付が通勤通学・配達・日常の移動手段などとして広く使われている。もしも「原付」そのものが廃止されてしまえば、今後たくさんの人が困ってしまうだろう。

そこで、新排出ガス規制をクリアするため、従来の排気量ではなく「出力(パワー)」によって区分する新しい仕組みが導入された。最高出力を4.0kW以下に制御した車両であれば、排気量が50㏄を超えていても「原付一種」として扱われる──それが「新基準原付」である。



・ユーザーの対応には変化なし

具体的に見ていこう。まずは旧基準原付の性能やルールをまとめると、以下の通りだ。

【性能】
・エンジン:49~50cc以下
・出力:一般的に 約4.0kW(約5.4〜5.5馬力)

【ルール】
・免許区分:原付免許
・制限速度:法定速度30km/h以下
・二段階右折:必要
・二人乗り:不可


対して、新基準原付の性能やルールは以下の通り。

【性能】
・エンジン:50cc超~125cc以下
・出力:最高出力4.0kW(約5.4馬力)以下に制御

【ルール】
・免許区分:原付免許
・制限速度:法定速度30km/h以下
・二段階右折:必要
・二人乗り:不可


旧基準と新基準の違いは、主にエンジンや設計のベースにある。ただし、車体のサイズや重量、価格などは変わる場合もあるため、まったく同じ乗り物というわけではない。しかし、性能やルール上の原付としての扱いは新・旧で変わらない。

つまりユーザー側の対応としてはこれまでと同じ。次に新車を買う時に「新基準対応」の原付を選ぶだけでOKなのだ。


(新基準原付は、排気量が50㏄を超えるエンジンを搭載している場合もあるが、出力を原付相当に制御した「原付カテゴリー」の車両である。通常の125ccバイク(原付二種)とは免許区分も扱いも異なる点に注意してほしい)


・車両の値上げは避けられない

ここまで読んで気付いた人もいるかもしれないが、新基準原付は製造コストが高い。出力を抑えるための制御などが必要になるため、従来の50ccモデルよりもコストがかかりやすいのだ。


例えば……ホンダの新基準原付『スーパーカブ110 Lite』は、34万1000円。(以下、すべてメーカー希望小売税込価格)

対して、旧基準原付『スーパーカブ50』は24万7500円だった。


他メーカーも同様で、ヤマハの新基準原付『JOG ONE』は25万9600円。

そして旧基準原付『JOG』は18万1500円だった。

こうなると、バイク好きとしては「いっそ普通二輪免許を取って大きいバイクに乗ろうぜ!」と言いたくなるが、原付ユーザーの多くは “単なる移動手段” として選んでいる。わざわざ免許を取り直すのは現実的じゃないのだろう。



・これから原付を買う人は要注意!

以上、少しややこしい話にはなってしまったが、2025年より施行された新基準原付について説明をさせてもらった。

すでに原付を所有している人は特に問題ないが、今後新しく購入しようと思っている人は要注意。

そして新基準原付を買ったとしても、原付特有のルールはこれまで通り適用される点も忘れないでほしい。

ルールを守って、安全で楽しいバイクライフを送ってくださいね!

参考リンク:警察庁「一般原動機付自転車の車両区分の見直しについて」
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.