喫茶室ルノアール」といえば、東京を中心に関東で店舗展開しているコーヒーチェーンである。少し前のレトロ喫茶ブームでブランド価値を再評価され、安定した支持を得ている。私(佐藤)も以前は頻繁に利用していたが、新宿周辺の都市型店舗は現在ブレンドコーヒー1杯900円前後。気やすく利用できなくなった……。

そのルノアールの「ザッハトルテ」が美味いと噂されている。いつの間にそんなオシャレなケーキの提供を始めたんだ!? 美味いといわれると食ってみたくなる。実際にその味をたしかめると共に、ザッハトルテで知られる洋菓子店「デメル」のものと比較してみた。

その結果、デメルには及ばないが、ルノアールのこの商品が評価される理由が見えてきた。

・テイクアウトできない!?

2つを食べ比べるために、まずはルノアールへ。たしかテイクアウトできるはずだったから、2つを並べてそれぞれをじっくり味わってみたい。公式サイトを見ると「ケーキのテイクアウト」って書いてあるもんな。


ところがお店に行って「テイクアウトできますか?」と尋ねると、店長さんらしき方が「テイクアウトはコロナの頃のサービスで、現在は行っておりません。申し訳ございません」とのことだった。

もしかしたら店舗によって違うのだろうか……。仕方がないので、この場で食べるとしよう。脳裏にその味を焼き付けるぞ。


・ルノアールのザッハトルテの秘密

気を取り直して、さっそく注文。今回訪れた店舗だとザッハトルテは単品税込860円、ホイップクリーム追加で+80円となっている。それにルノアールブレンド(税込900円)をお願いした。2つで1840円ってなかなかだ……。


さて、高評価を得ているザッハトルテは、たしかに見た目からして本格的だ。ルノアールのスイーツといえば、20層のミルクレープやレトロプリンが知られているが、それらと比べても見た目のインパクトは頭ひとつ抜けている印象がある。


分厚くて食い甲斐がありそうだ。とくにチョコ好きには堪らないルックス。


さっそく頂いてみよう。表面のチョコレートが固く、フォークを突き立てて、ザクザクと切り分けなければならない。


中にはココアスポンジ、その合間からラズベリージャムのアクセントが顔を出す。


スポンジ層の合間にジャムを挟むことで、甘さの中にすっきりとした果実味があらわれる演出を施している。それによってチョコとジャムの一体感を狙っているようだ。

実はこのメニューは明治の「ザ・カカオ プロフェッショナルズ」を使用している。これは明治の業務用スペシャリティ・チョコレートである。

SNSで専門店並みの美味しさであることが評価されるのは、おそらくこのチョコレートに由来するのではないだろうか。たしかに、喫茶チェーンのスイーツというよりも、洋菓子店の味と感じさせるだけの説得力がある


・デメルのザッハトルテと比べると…

では、ザッハトルテでその名を知られる「デメル」と比べると、どんな違いが見えてくるだろうか? その足で高島屋新宿店に行って、ザッハトルテを購入して帰った。


看板商品のザッハトルテは1個税込896円。こちらもかなりのお値段。名店だけに高級洋菓子といって間違いないだろう。実際、その見た目は芸術品。


表面のチョコレートは艶やかで陶器のようにさえ見える。


周囲には継ぎ目が見えず、パティシエの技術の高さがうかがえる。凹凸(おうとつ)すら見当たらないので、正直ルノアールのよりもこちらの方が格上と言わざるを得ない。さすが専門店だ。


分厚い表面のチョコレートにフォークを刺して半割にしてみよう。


こちらはアプリコットジャムを使用している。ルノアールのラズベリーは酸味の主張を感じるのに対して、アプリコットジャムは甘味と果実味が強く、比べるとこちらの方がより華やかに感じる。


それからスポンジ層にはジャムを挟まずに、スポンジの上と周囲にジャムを忍ばせている。これによって、ジャムの甘さをダイレクトに感じることができ、チョコとジャム、それぞれの味が引き立っている。


ルノアールはチョコとジャム、スポンジの味の一体感を。デメルはチョコとジャム、スポンジ、それぞれの味を楽しむタイプと考えて良いだろう。

あえて上下をつけるとすれば、デメルの方が圧倒的に美味しい。有名洋菓子店と喫茶チェーンの格の違いは明らかで、『鬼滅の刃』の鬼で例えるなら、ルノアールは下弦の壱(魘夢(えんむ))くらいで、デメルは上弦・参(猗窩座(あかざ))くらい力の開きがある。

しかしながら、ルノアールはお店の雰囲気やサービスも込みでこの値段なので、それらを踏まえると妥当。むしろザッハトルテだけを考えると安いくらいかもしれない。またスペシャリティ・チョコレートを使っている点も十分に評価できる。

いずれにしても、まだルノアールのザッハトルテを食べたことがないという方は一度試して頂きたい。そのクオリティの高さに驚かされるはずだ。


・今回訪問した店舗の情報

店名 喫茶室ルノアール 新宿中央東口店
住所 東京都新宿区新宿3丁目28-13 B1
時間 8:00~22:00

参考リンク:Togetter銀座ルノアール鬼滅の刃
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24