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世の中には思いも寄らないアイディアで、社会問題を解決に向かわせる優れた人がいる。いわゆる逆転の発想だ。一筋縄では行かない難問もコレで解決! となれば良いのだが、最近ドイツで実行されたプロジェクトが物議をかもしている。

そのプロジェクトとは、アルコール依存者や麻薬常習者に街の美化に協力してもらうというもの。その報酬として賃金とビールを提供するということなのだが、これが問題になっているようだ。アルコール依存者にビールを提供して大丈夫なのか?

・社会復帰のきっかけに

「Pick-Up」と名付けられたこのプロジェクトを実行しているのは、ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州の都市エッセンである。アルコール依存者の社会復帰はこの街だけでなく、世界的な問題である。復帰のきっかけを与えるために、街の掃除に従事してもらうという考えだ。

・1日4時間の掃除

その報酬として、1時間に1.58ドル(約168円)の時給と、ビールを提供している。彼らは1日に4時間、街を掃除することになっている。これは義務付けしたものではなく、希望者を募り彼らが午前に1ルート、午後に1ルートを回っている。

・ビールは最高3本まで

ビールは無制限に与えられる訳ではなく、最高3本までとのこと。プロジェクト関係者は提供されるアルコールの量は少ないので、依存者に与える影響は少ないと語っている。しかし、各所から批判の声が相次いでいる。

・オランダの成功例に基づいているのだが

このプロジェクトはオランダ・アムステルダムで成功しているプロジェクトにならって作られているのだが、まだ始まったばかりであり、本当に成功するのか不明なため懐疑的な意見が少なくないのである。

・反対意見も少なくない

街の住人は「本当にアルコール依存者の酒量を減らすことができるのか? 麻薬常習者も混じっているというのに」とプロジェクトの効果を疑っている。また地元の政治家の中にもビールの無料配布に反対している人がいる。「そもそもビールを配る必要があるのか?」というのだ。

・掃除に満足して公共の場で飲む

近年この街では、公共の場の飲酒が問題になっている。プロジェクト参加者は1日の仕事を終えると、仲間と駅で配布されたビールを飲んでいるという。掃除に従事した満足感に浸って酒を飲んでいるのである。

街を掃除することは良いのだが、その報酬が街の人を脅かしている可能性も否めない。はたして本当にアルコール依存を脱却させる手だてになるのだろうか? その効果には少々疑問が残る……。

参照元:ODDITYCENTRAL(英語)
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24.com