hanakuso

ごくたまに、図書館で借りた本のページにぺたりと鼻くそがついているときがある。古本で買った漫画の単行本などにも、ごくたまについている。あれは一体何なのか。一体誰がつけているのか。

知識の源である本に鼻くそをつけるなんぞ言語道断。バチがあたることマチガイナシだ。だが、彼らにはそれなりの理由があったらしい。ということで今回は、過去に「本に鼻くそ(以下、本鼻)」を実行していた人に話を聞いてみた。

・図書館の本につけるやつは地獄行きだ
最初に書いておくが、彼は図書館の本には決して鼻くそをつけたことはないと断言している。「それは人間として踏み越えてはならない一線。公共の本に付けるとは、なんたる非道。きっと地獄へ落ちるだろう」と彼は語る。本鼻は、あくまでも自分用に楽しむ行為であるらしい。

・あくまでも自分用
彼が鼻くそをつけていたのは、自分の持っているボロボロの漫画本。捨ててもいいくらい黄ばみまくった、表紙カバーも捨ててしまった単行本だ。そして、それを読んだとき、まるで「しおり」を挟むような感覚で、ペタリと本鼻するそうだ。

・鼻くそを見て思い出にふける
そして、忘れた頃に本を開くと……「ペリペリッ」と、ページとページがくっついているそうだ。そしてこう思うらしい。「この鼻くそは、いつの鼻くそなのだろう。小学校2年のころの鼻くそだろうか。なつかしいなぁ……」と。

・押し花の「花」が鼻くそになっただけ
決して人には見せない鼻くそ本。彼にとっての本鼻は、それすなわち「押し花」なのだという。鼻くそ本は、いわば花が鼻くそなだけの、思い出のつまった「押し花帳」なのだ。鼻くそアルバムと言っても差し支えないだろう。

むろん、そんな「押し鼻帳」を古本屋に流すことだけはやめてほしいが。

執筆:GO羽鳥
GOさんのシリーズコラム『あれは一体なんなのか。