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今やクリスマスやバレンタインデーと並び、市民権を得た感のあるハロウィン。街中にお化けがあふれるこの季節、否が応でもワクワクしちゃうぜ!! ただ、日本で盛り上がるイベントって、どうしてこうも外来のものが多いのか不思議だ。もっと日本的なイベントで盛り上がってもいいのにな。

そんなことを思っていた時、和風なハロウィンがあるとの情報を聞きつけた。なんでも、軒先に置かれたお菓子を子どもたちが自由に持って行くことが許されている『お月見泥棒』というものらしい。なにそのルパン三世が出てきそうな素敵ネーミング。これは調べてみるっきゃない! 

・決行日は中秋の名月

そもそも「お月見泥棒」とは、どういった内容なのだろうか。記者が暮らす奈良県でも執り行っている地域があったので、関係者に話を聞いてみた。それによると、決行されるのは中秋の名月。つまり、旧暦の8月15日。前述したように、子どもたちはお菓子を自由に持って行ってイイよというものだ。

「お月見くださーい」とか「あげたなさげたな名月くーれんな」とかなんとか言いながら、ちょうだいするのだとか。昔は月見団子を置いていたものが、次第にお菓子になったという話も聞いた。ふむふむ、確かにハロウィンに似ているじゃないか! 

・SNSで集めた情報によると……

いつごろから始まったものなのか。もしかして、ハロウィンの歴史より古いなんてこともあるかもしれない。ハロウィン日本起源説とか唱えられちゃうかもしれない! ワクワクしながら記者もいろいろと調べてみたのだが、あいにく詳しい経緯や詳細などはよくわからなかった。

そこで藁(わら)にもすがる思いでSNSで助けを求めたところ、いくつか情報が得られた。まず実施エリアは、ほぼ全国的であると言ってよし。北海道から九州まで実施されているとの声が聞かれたぞ。時期については大方が中秋の名月のようだが、中には「十五夜と十三夜と年に2回行う」とか「お盆に似たようなことをしていた覚えがある」との声もあった。なるほど。

・研究者にも話を聞いてみた

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とは言え、もう少し詳しい事情がわからんものかいな。ということで各地の風習など民俗学的なことに詳しい、奈良民俗文化研究所の代表を務める鹿谷勲さんにも話を聞いてみた。すると「細かく調べてみないことには、今の段階ではどういったものかわからない」とのこと。むむむ。

ただ奈良県に限れば、中秋の名月時期に子どもたちが参加する行事 “エンマラタタキ” というものがあると教えてくれた。子どもたちが藁を束ねたものを手にし、それを地面に打ち付けるというもので、供えてあるお菓子をもらえるのだ。やはり中秋の名月と子どもとお菓子は、密接な関係といったところか。

要するにこういった習俗的なことは、時間をかけて調査してみないことにはハッキリしたことは言えない……という結末だが、和製ハロウィンと呼ばれるに納得な行事であることは、おわかりいただけたかと思う。ハロウィンと時期は異なるが、中秋の名月はウサギさんのいる月を見てお団子食べる以外にも興味深い風習があるようだぞ。

執筆:K.Masami
Photo:奈良県生駒市役所、Rocketnews24.