
自分がどういう人間なのか、他人から本気で言ってもらう機会は中年になるとほとんどない。
私(耕平)は会社では役職がついて、成人した娘2人の父親でもある。なので現在、忖度なしに誰も「あなたはこういう人です」とは言ってくれない。
だったら、遠慮というものを持たない相手に聞けばいい。それはAIだ。そう思い立ち、AIに私という人となりを分析してもらい、最後にこう聞いた。
私のクズ度は何%ですか?
……と。結論から先に言おう。判定は57%だった。しかも、そう出た理由を並べられて、私は一言も言い返せなかった。以下、11年分の記録を一瞬でめくられ、中年男の心に刺さりすぎて、ぐうの音も出なくなった一部始終である。
・記事を全部読ませた
今回使用したAIはGrok(グロック)。あのイーロン・マスクが運営する「X」のAIで、Xの中の投稿をスピーディーに検索できるのが特徴のひとつだ。
このGrokに、まずは自分がどういう人間かを認識させる必要がある。ということで、ネット上にある私の情報を読み取ってもらうことにした。
まずは軽いジャブから入る。
自分の著者ページを渡して、「私という人間を把握するために、今まで書いた記事から読み取ってください」と入力した。
しばらくして返ってきた最初の一文で、私は早くも姿勢を正すことになる。
「薄毛のライターは入り口で、中身は会社員を本業に据えたまま、失敗と食欲と衝動を記事にする人」……いや、その通りである。
自分では11年も書いていながら、ここまで簡潔に言語化できたことがない。しかも褒めてもいないし、貶してもいない。ただ事実として置かれている。
そこからは怒涛だった。デビュー作の「【実録】私はこうして突撃ハゲアタックされました」の経緯、出身地と拠点、身体のこと、生活の雑さ。
こんぴらさんの785段で杖を無視して瀕死になった話も、財布をゴミに出して身分証を全部なくした話も、きっちり拾われている。締めの一文が「日常の穴をそのまま記事にする人」。
穴……たしかに穴だ。さらに文章から見える性格まで分析された。ここで引用されたのが、私が特に旅行先の記事で何度も書いている一文である。
「私(耕平)は思い立ったらすぐ行動するタイプだが、その代わり事前の下調べがいつも足りない」
自分で書いた文章を、自分の欠点の証拠として突きつけられる感覚は、なかなかない。ちなみにユーモアについては「上品ではない」と書かれていた。まったく反論の余地はない。
そして第1幕の締めがこれだった。
「昼間は都内に通う千葉の中間管理職。夜と休日は、下調べ不足のまま現地へ行き、盛りすぎた丼とローカルスーパーと詐欺メールを検証して、自分の失敗まで含めて記事にする人」
・Xを11年分めくられた
ここで思いついた。GrokはXの中を検索できる。ということは、記事より生々しいものが残っている場所を読ませられるのではないか?
「私のXのアカウントのポストをアカウント開設当初まで遡って、私の人間性を把握してください」
正直、無理だろうと思っていた。何せ11年分である。ただ画面を見てると、ものすごい勢いで調べている。
そして、本当に全部遡ることができた。私が11年かけて垂れ流したものが、なんと30秒ちょっとで整理されたのである。Grokやべぇな……。
最初に出てきたのは、私自身が忘れていた事実だった。アカウント開設日、2014年5月25日。当時は主に薄毛自虐の投稿ばかりだった。美容室の合わせ鏡を「軽い公開処刑」と呼び、後頭部を「北極の永久凍土ツンドラ」と書き、年始の挨拶は「ハゲましておめでとうございます」など、つぶやいていたらしい。
10年前の自分が何を発信していたか、正直まったく覚えていなかった。掘り起こされて初めて「こんなことを書いてたのか」と気づく。
そこから2019年、2023年と年代が進み、現在にたどり着く。
そして「11年通して変わっていないもの」として、こう並べられた。
自分を高く置かない。所属したがる。衝動のあとに記録が来る。改めたい自分と、改まらない自分を同時に公開する……全部当たっている。中立な立場から、誰よりも的確に指摘してくる。ここで少し感動していた。感動している場合ではなかったのだが。
そして第2幕の締めの一文が、これである。
「薄毛という名前で編集部に拾われた会社員が、11年かけて『薄毛』を肩書きから外し、代わりに娘・離島・AI・酒・詐欺対策を並べて、まだガキのまま50代を実況している人」
本質を突いている。が、ちょっとディスられている感じもする……面白い。
・判定は57%だった
ここまでで、Grokは私という人間をかなり正確に掴んだはずだ。ならば、本題の「私のクズ度測定」に入る。ただ「クズ度」というのは定義が曖昧だ。そこで自分でものさしを決めて渡すことにした。
「ナイチンゲールみたいな歴史上の聖人を100%、世紀の凶悪犯罪者を0%と仮定して、私のクズ度を判定してください」
Grokはまず、「クズ度」の前提の確認から入った。それは「点数が高いほど聖人に近く、低いほど犯罪者に近い。クズ度が高い=悪い、ではありません」というもの。
律儀である。逃げ道を塞がれた気もする。
そして、出た。
判定:57%。
「平均値の少し下、ただし『普通の善人』帯の中です。聖人ではない。悪人でもない。改心つきの、よくいる中年のクズ予備軍です」。クズ予備軍……予備軍という言葉が、これほど的確に刺さったことはない。
理由も添えられていた。100に届かない理由は、かつて情報商材の構造側にいたこと。私は薄毛対策のメルマガをやっていた時期があり、その世界に500万円を注ぎ込んだ側でもある。そして現在の自制の緩さ。酒を飲みながら断酒動画を見るような人間である。
一方で0に落ちない理由も書かれていた。暴力も搾取もない。むしろ同じ失敗を記事にして、同世代への注意喚起に転用している。
そして、内訳の表が出てきた。表の下に置かれた一文で、私は完全に沈黙した……。
「総合で57は、『隣に座って酒を飲む分には問題ないが、資産運用も育毛も任せたくない人』です」
正直さは高め、失敗を隠さないから。親密な他者も高め、家族や編集部や地元への所属感があるから。一方で自己規律は低め。酒、衝動、雑さが判断材料にされているらしい。
念のため、同じものさしの上での位置も出してもらった。ナイチンゲールが100。平均的な迷惑をかけない会社員が62〜68。私が57。悪質アフィリエイターのまま改心しない人が25〜35。
つまり私は、普通の会社員には届いていない。そして最後の一文が、これだった。
「クズではある。ただし業務用の大クズではなく、家庭用の中クズで、取扱説明書(失敗記事)が付いているタイプです」
正直ムカつきはするが、反論の余地が無い。「クズなんてことないですよ」みたいな、忖度だらけの慰めの回答より、過去の行動や言動をもとにしたストレートな分析に、なんとなく心地よさも覚えたくらいだ。
──そんなわけで自分がどう見えているかを本気で知りたい人は、一度やってみるといい。想像していたより具体的な数字が返ってくる。ただし、Grokの無料枠には利用制限があり、今回のように過去まで深く遡る検索は制限される場合がある。同じ結果になるとは限らない点だけ、先に言っておく。
参考リンク:Grok
執筆:耕平
Photo:RocketNews24.
▼ちなみに「書いてきたものの変遷」も整理された。11年分がジャンル別に並ぶと、我ながら一貫性がない
耕平
























































