
その音を擬音で表現すると「ガサガサ…、ガサガサ…」だ。信じてもらえないかもしれないけど、その音とは私(佐藤)の声である。ここのところ発作的に咳が出ていて、ある日、目覚めると自分の声が「ガサガサ…、ガサガサ…」になっていた。
後日お医者さんに診てもらったところ、幸い重大な症状ではなく、喉が炎症を起こしているらしいことが発覚。薬を処方してもらって、今ではちゃんと会話できるレベルまで戻っているのだが、とにかくあの日はすごかった。
そんな状況で、たばこに振られた番号に助けられることになるとは。
・天龍さんより本間さん
今回のように声が出なくなったことは初めてではない。若い時なら、部活で声出しをがんばり過ぎて喉が枯れてしまったり。最近だと2022年のコロナ感染当初、激しい咳で声が出なくなったりもした。
今回も前日くらいから咳き込んでいたが、いずれ治るくらいの気持ちでいたところ、翌日になってガサガサになっていた。
その枯れ具合は、ダミ声で有名な元プロレスラーの天龍源一郎さん……いや、天龍さんよりも少しひどかったので、引退を発表している本間朋晃さんの方が近いかも。余談だが、本間さんと私は誕生日が1日違い(本間さん11月18日、私11月19日)。
それで本間さんみたいな声になったのかもな~、うん。
それはさておき、いずれ声が出るようになるとは思いながらも、それがいつかわからない。運よくこの日は日曜日だったため、仕事等で人に会う必要もなく、やり過ごすことができる。運が悪いのはすぐに病院にいけないことだ。熱も鼻水もないものの、咳が困る。
・そうなって初めてわかる
出かけなければ人に会うこともなく、発話の必要もない。だが、1つささやかな問題が……。
たばこを買いに行かないとな。他のモノの買い物なら、最悪一言もしゃべらずに終えることができるけど、たばこはレジで銘柄を言う必要がある。
上手く伝えられるだろうか? たばこの銘柄はムダにやたら長かったりするんだよなあ。昔紙巻きたばこを吸ってたときに「マールボロ・メンソールライトのソフト」とか「マールボロ・クリア・ハイブリッドの3ミリ」とか、吸わない人からすれば、およそ呪文のような長い名前のものもあったなあ。
今は「プルームのキャメルのリッチレギュラー」だから、比較的短いんだけど、それでもお店によっては「キャメル」と言うと、紙巻きたばこを出されたりするんだよなあ。
ガサガサ声の今、「いや、違います。加熱式たばこの方のキャメルです」と伝わるように言える気がしない。だって、自分でも自分の声が、ラジオの断続的なホワイトノイズのように聞こえるんだもの。「プルームのキャメルのリッチレギュラー」って言えるだろうか?
最悪紙に書くか、スマホのメモに書いたことを見せればいいか。そんな風に思いながら、コンビニに行ってレジ前に立ち、長年オイル切れでサビだらけになったエンジンを起動するように、深く息を吸って、慎重かつ出来る限り丁寧に「プルーム」と言いかかったその瞬間、棚を見て私は安堵した。
番号が振ってあるじゃないか!
所望の品は「41番」だ。そこで指で4と1を作って、お店の人に伝える。「おいくつですか?」というので、また指を1本立てる。これにて購入完了! しゃべらずに買うことができたのだった。
正直、私は今までたばこの番号に意味がないと考えていた。というのは、お店によって番号が違うので、初めてのお店に入る度に「俺のたばこ何番だっけ?」と探すのが面倒だからだ。
でも今回、番号が振られていたおかげで自らの意志を伝えることができたし、口頭で伝えることによる言い間違いや聞き違いがなくなるメリットもある。こんな風になってようやく、「なぜそうなったのか?」を知ることができたのである。
翌日には8割近くまで声が回復し、普通に近い発話ができるようになった。誰がたばこの番号を考えついたのかわからないけど、助かりました。ありがとうございます! 近頃風邪が流行っているようなので、皆さんも体調管理に気を付けて!
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
佐藤英典























