
2026年9月25日公開の映画『ハート・オブ・ビースト』を見てきた。アラスカの奥地からの脱却を試みるサバイバルストーリーで、主演がブラッド・ピットということで関心を抱いた。……がしかし、はじまって間もなく、彼をじっくり見ている余裕がなくなってしまった。
なぜならば共演しているジャーマンシェパードがあまりにも魅力的だったからだ。勇敢で賢くて優しく、思わず画面の向こうの彼をぎゅっと抱きしめたくなった。果たしてふたり(1人と1匹)は還って来られるのだろうか。
・ふたりのじゃれ合いを永遠に見ていたい
アラスカ上空を飛行中、不意のアクシデントにより「魔の領域(ハート・オブ・ビースト)」と呼ばれる奥地に不時着した、退役兵のジェームズ(ブラッド・ピット)と義足の元偵察犬オーディン。次から次へと襲いかかる危険と困難を乗り越えながら、ふたりで生きて還ることを目指す物語だ。
冒頭はどこか牧歌的で、大自然の美しさとふたりの微笑ましい触れ合いに和む。「ふたりがじゃれ合っているこの光景を、永遠に見ていたい」と願ってしまうほどだ。しかし、これが過酷なサバイバルの序章であることは、予告を観た段階から承知していた。
やがて、ふたりに超がつくほどの難局が訪れる。それまで美しく思えていた大自然は、一瞬にして容赦のない脅威へと変貌を遂げる。苦しむふたりの姿に胸がぎゅっと締めつけられ、上映中に何度も目を覆った。手に汗を握り、息をすることさえ忘れてしまうほどの緊迫感だ。
本作には、ジェームズ以外の人間がほぼ登場しない。そのためセリフは極めて少ないのだが、それをまったく感じさせないのはさすがブラッド・ピットと言うべきだろう。目の動きや息遣い、そしてオーディンへの語りかけだけで、深く重厚なドラマを完璧に作り上げている。
・圧倒的な演技力を見せるオーディン
そんなブラッド・ピットの上をいく演技で、圧倒的に場を支配していたのがオーディンだ。以下、彼の生死に関する重大なネタバレを含むため、知りたくない方はここでページを閉じていただきたい。
……ただ、その点こそ真っ先に知りたいという読者も多いのではないだろうか。記者自身がそうだったからだ。
動物が登場する映画で、彼らが命を落とすことほど辛い展開はないと個人的にそう強く感じている。場合によっては、見ることをやめるまである。
世界的に同じ思いの観客が多いのかはわからないが、本作では開始十数秒で彼の安否がわかる描写がなされており、個人的には非常にありがたかった。結論から言おう。オーディンは最後まで生きている(拍手喝采)!
戦場で深く傷ついた彼は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱えながらもジェームズに寄り添い続け、共に戦い、過酷な大自然を潜り抜けていく。状況をじっと観察するそのつぶらな瞳は、どんな言葉よりも雄弁に多くのことを語っていた。
鑑賞前は「主人公はジェームズ」と思い込んでいたが、どうやら違っていたらしい。この作品の真のヒーローは、間違いなくオーディンだった。見終えた時にはすっかりオーディンの虜になること請け合いだ。
犬好きや動物好きはもちろん、そうでなくとも涙なしには観られない『ハート・オブ・ビースト』。それでも見届ける価値があると断言できる傑作だ。ひとりでも多くの人に、彼らの魂の生きざまを目に焼き付けてほしい。
参考リンク:ハート・オブ・ビースト
執筆:K.Masami
Photo:RocketNews24.
▼すっごく良かった……
▼オーディンが可愛すぎるのよ
▼本作はパンフレット(ほかグッズ)がないことが唯一の欠点。せめてポスター作ってほしい
K.Masami

































