私(耕平)は先日、人生で3回目となる香川県を訪問した。しかし正直に告白しておこう。うどん県に3回も足を運んでおきながら、私は香川でうどんをほとんど食べたことがない。

そんな私が、観光名所の金比羅山に行ったときのことだ。参道を歩いていると、ふと1枚の看板が目に入った。その名も『中野うどん学校』。

しかも食べるのではなく、自分で麺を打つ学校らしい。思い立ったらすぐ行動するタイプの私は、速攻で申し込んだ。そして、人生初のうどん打ちを終えたとき、今まで当たり前に食べていた麺が神々しく思えてきた。その様子をレポートしよう!

・まさかの飛び込み入学

初めての金比羅山の参道を歩いていると、濃茶地に白抜きの毛筆体で『中野うどん学校』と書かれた袖看板に、強く惹かれた。


店内を覗いてみると、「本日の開講時間」という表があり、「第一教室 A館」「第二教室 B館」「第三教室(西館)」の3列が並んでいる。


そのうちB館の列にだけ「9:30」「13:00」と時刻のプレートが掛かっていた。つまり、この日の授業はB館だ。

さっそく受付に行って聞いてみたところ、体験時間は50分ほど。私は予約をまったく取っていなかったのだが、この日は空きがあり、13:00の授業を申し込むことができた。とはいえ満席の日もあるとのことなので、確実に体験したいなら事前に予約しておくのが確実だ。

料金は、私のように1人で参加して麺を持ち帰る場合が1980円。その場で食べるなら2530円だ。ちなみに2〜14名なら1人あたり1760円、15名以上なら1650円と人数が増えるほど安くなる。2名以上の場合は、持ち帰りでも店内で食べても同じ料金だ。1人でも2000円かからずに体験できるのだから、十分にリーズナブルである。

受付で説明を受けると、2種類あるお土産のどちらかを選べるという。麺棒にも使える「秘伝帳」か、うどん2人前か。私は迷わず秘伝帳を選んだ。


ちなみに廊下の壁には「中野うどん学校卒業生サイン」と書かれた額が掛かっていて、24枚ほどの色紙がびっしりと並んでいた。「卒業生」という呼び方からして、もう完全に学校だ。


そして時間が来て、会場に向かったのだが……会場はまさに、学校の教室だった。


見渡すと、子ども連れを含めて20人以上。席はほとんど埋まっていた。紺の手ぬぐいを頭に巻いた男性講師がマイクを持って前に立ち……


キーンコーン♪ カーンコーン♪


と、学校でよく聞くあのチャイムが鳴って、授業が始まった。


・初めての手打ち麺づくり

最初に配られたのは、角が丸い長方形をした生地のかたまりだ。まずはこれを麺棒で伸ばしていく作業から始まる。


伸ばして、麺棒に巻き取って、また伸ばす。


あとは包丁で切っていくだけ。不慣れな手つきで切っていく。



うーん、どうだろう?


初めてにしては自分なりに上出来と思いきや、よく見ると太いのと細いのが交互に出てくる。

そして生まれて初めて切ったうどんの麺は、授業が終わった後に下の階の食堂で茹でて食べることもできるし、持ち帰って自宅で調理するかを選ぶことができる。私は自宅で調理する方を選んだ。


・足踏みでブチ上がる

そしてここからが本番。今度は粉から作る。まずは「計量」と呼ばれる工程で、麺の元となる小麦粉と食塩水を混ぜるところから始まる。


まずは「こね鉢」に小麦粉を入れ、赤いカップの食塩水を注ぐ。


これが「あわせ」と呼ばれる工程で、続いて「まぜ・こね」に入る。指を立ててかき混ぜていくと粉がだんだん、そぼろ状になっていく。


これをビニール袋に入れて平たくする。次はいよいよ「足踏み・団子作り」だ。

畳の上に袋ごと生地を置いて、靴下のまま乗って足踏みをする。ところが普通の足踏みではない。なんとBGMが流れてきて、リズムに合わせて3回にわたって踏んでいくのだが……


ここで会場はブチ上がり!


私の足元だけ見ると分かりにくいが、流れてくる曲は盛り上がる曲ばかり。曲に合わせて周りでも同時に、あちこちで生地が踊りながら踏まれている。大人が全力で童心に返る時間だった。


平べったくなった生地を折りたたんで、バームクーヘン状にして「熟成」という工程に入る。ビニール袋に入れて熟成させる。季節によって、熟成期間は異なるらしい。


そして授業が終了。その後、教室の奥にある卒業記念のプレートの下で、家族連れや友達同士のグループが記念撮影をすべく、列を成していた。


・食べ比べ

そして帰宅後。私は自宅で、中野うどん学校の売店で買ったうどんと、自分で打った麺を食べ比べてみることにした。


茹でて皿に並べた時点で、もう明らかに違う。売店の麺は断面が丸く、太さがきれいにそろっている。対する私の麺は平たくて幅広で、厚みもバラバラ。


味は……正直に言おう。売店の麺は、やっぱりコシがあって美味い。


対して私の麺は平麺に近く、茹で時間が長すぎたのかコシが微妙だった。


それでも、人生で初めて自分の足で踏み、自分の手で切った麺である。その感動は格別だった。

これから私は、人生で何度もうどんを食べるだろう。だが当たり前のように口に運んでいるあの1本が、小麦粉と塩と水だけから、こんなにも手間をかけて作られていた。そのことを、たった1回の授業でまるごと体感させてもらった。

そんなわけで、うどんは食べるだけじゃもったいない。ぜひ人生で一度でいいから麺を打つところから始めてみてほしいと、心から思える経験だった。


・今回ご紹介した店舗の詳細データ
店名 中野うどん学校 琴平校
住所 香川県仲多度郡琴平町796番地
時間 9:00〜17:30(A館) 9:30〜16:30(B館) ※うどん学校の開校時間は9:00〜15:00

参考リンク:中野うどん学校
執筆:耕平
Photo:RocketNews24.

▼自分で打った麺は格別! ぜひ体験してほしい。