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2026年3月下旬、X(旧Twitter)に画期的な機能が搭載された。

AI「Grok」の自動翻訳機能によって、他言語の投稿が自動で翻訳されて「おすすめ」に表示されるようになったのである。

海外からのポストも日本語に自動翻訳されるし、日本語のポストも外国語に自動翻訳されて世界に発信されている。つまり、SNSで言語の壁がなくなったのである!

でも、この不安定な世界情勢でそんな機能をつけたら、世界中で言い争いが起こるのでは……? と最初は不安だったのだが、結果は全然違っていた!

・煽り合いになるかと思いきや……

英語からの翻訳
Grok が他の言語の 𝕏 投稿を自動的に翻訳して推奨する機能が動作し始めています。

最初は気軽な投稿と交流の場だったのに、アップデートのたびに余計な機能をつけては争いの種を撒き散らし、煽り合いをしてきたXである。

2026年、アメリカ・イスラエルのイランへの攻撃によって中東情勢は緊迫し、石油を巡って世界中が混乱の最中にある。ロシアとウクライナの戦争だって、いまだに解決の兆しを見せていない……。

そんな中で他国の人と言語の壁ナシで交流するだなんて、ますますヘイトが溢れる議論の場になってしまうのでは……? 最初はみんな、これ以上、タイムラインをぐちゃぐちゃにしないでほしいと反発していた。


・下らない「あるある」で盛り上がる

海外のツイートが日本語に翻訳されて流れてくるようになった結果、驚くほど言葉の壁がなくなり、盛んに世界中で交流が行われるようになったのである。

その結果、起きたのは民族間の争いごとどころか、謎すぎる世界共通「あるある」で盛り上がるという実に平和なことだった。この2週間ほどで盛り上がった話題は以下のとおり。


・どの国のおばあちゃんも家電にレースをかける
・どの国でもクッキー缶が裁縫箱になる(しかもなぜか青いクッキー缶)
・みんな猫が好きで自慢したいし、いいねしたい
・男性が妻に家で探し物の場所を聞くのは世界共通
・アメリカのおじさんがこだわりのBBQ画像を日本人に見せて喜ぶ
・ロシア人とブラジル人は共通点が多くて仲良くなる
・どの国でも読書好きはみんな積読している
・庶民はみんな世界平和を望んでいる
・みんなXとは呼ばずにいまだにTwitterと言っている


日本人、韓国人、ロシア人、トルコ人、ブラジル人、ポルトガル人、フランス人、イタリア人、アメリカ人が同じ話題について盛り上がるという奇跡が起き、なんとも平和なタイムラインになったのである。

煽り合いどころか、お互いの共通点を見つけてキャッキャと素朴に喜んでおり「Twitterを始めたばかりの頃みたいに楽しい」と言っている。


ロシア語からの翻訳
Xの海外ユーザー各位 教えてください、あなた方の祖母さんたちも、裁縫道具をお菓子(クッキー)の箱にしまっていますか?


ドイツ語からの翻訳
おばあちゃんの家で他に何を期待してたんだよ


韓国語からの翻訳
自動翻訳で知った世界の共通点
1. 女性たちが置かれている状況は互いに変わらない
2. 丸い缶ケースの筒は針箱
3. パスタを自由に食べながらイタリア人をからかいたい
4. Twitterをしている人たちはどこでも内向的で少しの憂鬱がある
5. ここをXと呼びたくない


・自然な翻訳のなせるわざ

この盛り上がりは、Xが搭載しているAI「Grok」によって、世界の「ツイ廃」たちのつぶやきが自然に翻訳されているというのがポイントな気がする。

よくある硬い翻訳文ではなくて、限りなくしゃべり言葉に近い形で、ネットスラングも正確に翻訳されてくるので、「翻訳」という表示を見ないかぎり、海外からの投稿だとは気づかないほど自然なのだ。

というか、どこの国の人の発言かを見ないと、同じ日本人のつぶやきかな〜と誤解するほど本当に考え方も笑いのツボも似ていることに驚いた(特にお隣の韓国)。


韓国語からの翻訳
誰が見ても本人が犯人なのに、最後まで知らないふりしてる


・外国語で下らない話題を話すのは難しいけど……

個人的に、難しい国際問題の話などではなく、下らない話題で盛り上がった……というのも大きなポイントだと思った。

そもそも、外国語でジョークを言ったり、下らない会話を自然に楽しむには、かなりの語学習得度が必要だ。

外国語が話せないと、本当に必要なことだけを一生懸命、脳内で翻訳して「トイレはどこですか」「これは何円ですか」みたいなことを聞いて終わり、になる。本当に自分が考えてるどうでもいいことなんて、わざわざ翻訳してまで話そうとは思わないだろう。

ましてそれが、ロシア語とかトルコ語、ポルトガル語みたいな馴染みのない言語だったら、とてつもなくハードルが高いわけで。それが、私の下らないつぶやきが自動翻訳によって言語の壁を超え、世界の誰かのタイムラインに流れていく。

結果、肩肘を張らないコミュニケーションが可能になったことがめちゃくちゃ大きいと思った。


ポルトガル語からの翻訳
狩猟能力: 0%
精度: 0%
自信: 100%


・世界の人は自分たちとよく似ている

思えば、海外の文化について学ぶとき、言語をはじめとして「自分たちとは違うこと」ばかりを学ぶことが多くて「共通点」を学ぶことは少なかった気がする。

だからこそ、海外の人に対して「自分とは違う言葉を話し、違う考えを持つ人」だと勝手に思って壁を作っていたのかもしれない。ところが、言葉の壁がなくなったら、びっくりするくらい自分達と似ていることに衝撃を受けた。

私は2010年ごろからTwitterを使っている、けっこうな古参ユーザーだと思うのだが、今回のアップデートは今までで一番大きな変化だと思ったし、自分の人生観にも影響を受けるほどの体験だった。未来に生きているな……。

とはいえ、この平和なタイムラインがXのオーナーであるイーロン・マスクの意図した結果とは思えないわけで……。これからアルゴリズムの変更で、国際レベルの「不毛な煽り合い」が始まる可能性だって大いにある。

だけど、こんな混乱した世界の中で、一瞬でも世界の人と分かり合えた平和な瞬間があったことを忘れたくないな……と思うのだった。


スペイン語からの翻訳
自動翻訳が追加されてからのTwitter:


執筆:御花畑マリコ

▼ガザからの投稿(英語からの翻訳)「誰も私たちのことを気にかけていないと分かっています。ほんの数人以外は。私たちがただの投稿で、これが終わることも分かっています。でも本当に怖いんです。私たちが怖がっていると言っています。もしスクロールしているなら、ぜひドットを残してください。ただのドットです。」

▼(ロシア語からの翻訳)「親愛なる外国人のお友達! あなたたちは想像もつかないでしょう、私たちロシア人がVPNのブロックを突破するのにどれだけの努力を要するかを。ただこうやって、グーグル翻訳や他の翻訳ツールなしで、純粋にあなたたちと交流できるようにするために。」

▼(ロシア語からの翻訳)「親愛なる新しい外国人の友人たちへ、ロシアからのツイートが何倍も減ったとしても、それは私たちがあなた方を愛さなくなったわけではありません。それは、私たちに結局インターネットを切断されたということです。私たちの政権は私たちを北朝鮮にしようと試みています、なんとか悲しみを紛らわしながら持ちこたえていますが、それはますます頻繁で、ますます広範になっています」

▼インスタ派とツイッター派の違いは世界共通?(スペイン語からの翻訳)「もし、週末を家でゆったりと過ごせて、あまり何もせず、ただ寝たり、音楽を聴いたり、シリーズを観たりできて、退屈したり空虚を感じたりせず、インスタグラムと自分を比べたり、刺激を求めて慌てたりしなくて済むなら:勝ちだ」

▼ブラジルの人〜、聞こえますか〜!日本も同じです!
(ポルトガル語からの翻訳)「ブラジルには気候が2つしか存在しない クソ寒い気候とクソ暑い気候」