あんまり楽しい話題じゃないのだが……最近、「チー牛」なるネットスラングが流行っているっぽい。


発端はだいぶ昔のネット掲示板の投稿。いわゆる「陰キャ」な「オタク」のことを、「チーズ牛丼を頼んでいそう」と表現して揶揄したところから来ているとのこと。


で、何故か知らんが最近になって、SNS上でこの用語が「キモオタ」や「非モテ」の、特に男性への煽り文句として使われまくっているのだ。


……が、筆者にはどうもピンと来ない。


悪口であることは分かるので じんわり嫌な気分にはなるが、どうも体感として腑に落ちない。考えていたところ、何故こんなにピンと来ないのか分かった。


「チーズ牛丼」を知らないからだ。

というか実は筆者、チーズ牛丼はおろか牛丼屋の牛丼をほぼ食べない。松屋だってこの間の忘年会で初めて入った。よって、「チーズ牛丼を頼んでいそうな人」と言われても全くもってイメージが湧かない。


だから食べてみることにした。


・すき家の「三色チーズ牛丼」

世に牛丼屋は数あれど、資料(Wikipedia)を見るに「チー牛」の元ネタはすき家が1番近そう。


というわけですき家にやってきたものの……


普通にめっちゃ怖い。


勝手がわからなさすぎて「すき家 利用方法」で検索してしまった。とりあえず入店、着席。


注文はタッチパネル。


元ネタは「温玉トッピング」らしいが、筆者は温玉がちょっと苦手なのでパス。


これで注文できた……んだよな。


なんかちょっと挙動不審になってしまう。店員さんは「うわっチー牛やんアイツ」とか思ってないだろうか(※そんなことはない)


とか考える間もなく運ばれてきた。早すぎる。

さて、これが問題のチー牛。正式名称「とろ~り3種のチーズ牛丼」、650円。

……美味そうなんだが。このシズル感、今のところ悪口にされそうな要素は見当たらない。まあ、食べてみるとしよう。



・実食

え? 美味いやん。


牛丼が美味しいのは周知の事実だが、チーズにも合うとは知らなかった。ともすれば ちょっとぶっきらぼうな牛丼に、チーズが加わることでまったり優しくなっている。


感動的な美味しさ! とか、驚愕のマリアージュ! というほどではないが、牛丼ではない「こういう料理」を食べているようで楽しい

筆者は辛いものが苦手なのでやめておいたが、一緒についてきたタバスコも合うに違いない。


・美味しかったんですけど

うむ、美味しかった。このご時世に650円でこんな満足が味わえるとは。


しかし何故これが侮蔑語になるのかは やはり腑に落ちないままだ。


……なんかだんだん腹立ってきたな。なんでこんなに美味しいものが、オタクへの蔑称として使われにゃならんのか。オタクにもチーズ牛丼にも失礼だ。


……いや。


もっと言えば、世の中に「特定のグループの人を軽蔑するための言葉」なんて あっていいはずがないのだ。


人に対してネガティブな感情を抱くのは、これはもうしょうがない。人間だもの、そりが合う合わないはある。


100歩譲って、その人の悪口を言いたくなってしまう気持ちも、まだわかる。褒められたことではないけれど、そうしないと自分の心を保てない日もある。


が。


不満を言いたいならせめて自分の言葉で紡ごうぜ。安易なスラングで誤魔化さないでくれ。他人の言葉を隠れ蓑にして、悪口を言う自分の醜さから逃げないでくれ。


チー牛とか、オタクとか、男とか女とか老害とか、十把一絡げで雑に嘲笑するな。チー牛も豚丼もスタバも、誰かにとっての大好物! オタクだってギャルだって、誰かにとっては大事な人! ジャンルで括るな! 目の前の! 人を!! 見ろーーー!!!



・美味しいから胸張って食べようね

というわけで(!?)みんな、チー牛は美味いぞ! 筆者は好き! でも確かに高カロリーではありそうなのでサイドに野菜とか付けると良いと思う!!!


さて、筆者もめでたく牛丼屋初訪問を果たしたことだし、行ったことないチェーン店めぐりでも始めてみようかな。もう何も怖くなんてないぞ!


参考リンク:Wikipedia「チーズ牛丼(ネットスラング)」
執筆:砂付近
Photo:Rocketnews24.