香港といえばブルース・リー! いやいや、サモ・ハン・キンポー! 渋いところではユン・ピョウ! ちょっと待て、やっぱり大本命は「ジャッキー・チェン」でしょ!! ジャッキー・チェンは世界一ィィィイイイ!
そう、多くの日本人にとっての “香港アクションスター” と言えば、やはり「ジャッキー・チェン」であろう。ところがどっこい現地のガイドさんによると、ジャッキーは「香港では尊敬されていない」というのだ。
・あれ?
つい先日、人生で初めて香港に訪れたときのこと。メシはウマいし、12月でもTシャツ1枚でイケる陽気も最高! かつてよりは大人しくなっているようだが、香港は街自体も非常に魅力的であった。
一方で、私が大好きなカンフー系のショップやモニュメントが極端に少ないような……? 街中で見かけたのはせいぜいブルース・リーの銅像くらいで、特に我らがジャッキーの気配はゼロだったと言っていい。
ジャンルや歴史は違うものの、ジャッキーのネームバリューはそれこそ「大谷翔平」と同レベルではなかろうか? 極端な話、街中がジャッキーだらけでも私としては特に違和感ないどころか、むしろ自然とさえ思える。だってジャッキーやで?
・ジャッキーについて聞いてみた
今回の旅では珍しく現地のガイドさんに案内されていた私は、思い切ってジャッキーについて聞いてみることに。話を聞かせてくれたのは20代後半~30代前半の女性ガイドさん(日本在住歴あり)だ。
──そういえば、街中で全然ジャッキー・チェンの気配がしませんね?
「ああ、そうですね。日本の香港スターと言えばジャッキー・チェンですもんね。ただ、香港の人からジャッキー・チェンは尊敬されていません。むしろ嫌われていると言っていいかもしれません」
──え! なんかデリケートな話になりそうなのでやめておきましょうか……?
「いえ、大丈夫です。ジャッキーが嫌われている理由は政治絡みのセンシティブな問題ではありません。というか、あの人メチャメチャ女癖が悪いんですよ」
──むむ! そんなにですか?
「はい。今から7~8年前でしょうか? ジャッキーの隠し子問題が香港で大きなトピックになりました。ジャッキーは大物ですから、当時はその話題で持ち切りだったんです」
・スキャンダル
──ふむふむ。
「あれだけのスターですから、隠し子がいたこと自体は大きな問題にはなりませんでした。ただ、彼は娘(隠し子)を認知せず “男なら誰でもやっていることだ” と言い放ったのです。この言葉が大バッシングを浴びまして」
──なんか「不倫は文化」と通じるものがありますね……。
「当時は息子で俳優のジェイシー・チャンと隠し子が比較されたりして、もう大騒ぎでした。女癖が悪いだけならまだしも、娘を認知しないジャッキーを多くの香港の人たちは “人でなし” “情けがない人” と受け止めたんです」
──な、なるほど……。
「かつて香港の人にとってジャッキーは尊敬の対象でした。それだけに落差があったんですね」
・他のスターは?
──そうでしたか……ちなみに「サモ・ハン・キンポー」はどうですか?
「サモハンは非常に尊敬されています。今年公開された映画 “九龍城寨之圍城” が大ヒットしまして、もしかしたら日本でも公開されるかもしれませんね。まさに重鎮という扱いです」
──ではユン・ピョウは?
「ちょっとわからないですね……少々お待ちを。(スマホ検索)あ、何年か前にユン・ピョウさんのお子さんの結婚式にジャッキーが来たとありますね。あまり表舞台には出ていないような……?」
──それはちょっと寂しい。ではブルース・リーはどうでしょう?
「亡くなったのはかなり前ですが、初めてハリウッドに進出した香港人ですから変わらず尊敬を集めています。作品というよりも、そのスピリッツが尊敬されている感じでしょうか」
──さすがブルース・リー。
「細かいようですが香港の人の受け止め方は、ジャッキーやサモハンがアクション俳優。一方でブルース・リーは “カンフーの達人” です。どちらも映画スターではあるんですが、ややニュアンスが違うんです」
・それでも……
ご覧のようにジャッキーが香港で尊敬を集めていない理由は “スキャンダル絡み” なんだとか。なんかもっとデリケートな話かと思っていたが、そういうワケではないらしい。
また念のため記述しておくが、これはガイドさん1人からの情報であり、香港の人の総意でないことをご理解いただきたい。とはいえ私の見る限り、香港にジャッキーの気配が少しも無かったことは事実である。
というわけで、香港発のジャッキーネタをお届けした。今回こういう話を聞いたけど俺は今でも好きだぜ、ジャッキー。人生最高の映画は、きっと死ぬまで「プロジェクトA」である。
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.