AliExpressで「電気漫画のおもちゃ(832円)」とやらを買った。正式な商品名はもう少し長く「子供のための電気漫画のおもちゃ、かわいい牛、フルートを演奏する子供〜」と続く。物語性のあるおもちゃと言えるだろう。
商品写真を見ると、牛に乗った男の子が笛を吹いている。調べたところ、おそらく『騎牛帰家(きぎゅうきか)』をモチーフにした人形っぽい。いわゆる禅の教えだ。そのあたりを説明しながら同商品の紹介をしたい。
・アリエクスプレスで買った人形
832円のおもちゃを楽しむために、牛に乗って笛を吹く子供の物語を調べてみた。その中で見つけたのが『騎牛帰家』である。
禅宗には「十牛図(じゅうぎゅうず)」なる教えがあるという。悟りに至る道のりを十枚の絵であらわしたものだ。んで、6番目の段階をあらわす画が “牛に乗り笛を吹く牧童” で、タイトルが『騎牛帰家』とのこと。
どういう場面かというと、ついに牛を見つけて家に帰る童子は、もはや牛を制御する必要もなく自在に操る境地に至ったため、牛の背に乗り悠々と笛を楽しんでいるらしい。悟りを得た後に世間に戻る姿を描いているのだとか。
そう思うと、実に深い。たしかに少年は悟りを開いた表情をしている……いやむしろ悟りを開きすぎた結果、目が死んでいる。心配になるレベル。涙をすべて流さないとこういう目にはならない。
とはいえ、予習をしなければ「牛の上で笛を吹く目が死んだ全裸の少年」にしか見えなかっただろう。やはり予備知識は必要。裸の少年が牛に乗ってフルートを吹く物語は読みたくない。
・動かしてみる
さて、動かすには単3電池が3本必要だ。電池を3本セットしてスイッチを入れたら音楽と共に動き出すという。
おもちゃのテーマが『騎牛帰家』だとすると、悟りを開いて家に帰る感動的なシーンを描いていることになる。だとしたら、壮大なミュージックが奏でられるに違いない。スイッチを入れてみると……
…………
モォ〜、モォ〜
牛が2回鳴いた後に明るく軽快なミュージックがスタート。爽やかに歩き出す牛、腹を光らせる少年。悟りを開いてテンションが上がっている様子を描いているのだろうか。かなり浮かれてやがる。
・夢の共演
せっかくなので、少し前に購入した「鯉にまたがる坊やの人形」と一緒に歩かせてみることにした。完全に同じシリーズの商品である。肌の色も髪型もほぼ同じ。もしかしたら、鯉にまたがる少年も悟りを開いていたのかもしれない。
とにかく一緒に歩かせてみると……
…………
どっちも好き勝手に動く。悟りを開いた者とは思えない好き勝手ぶり。2人とも牛と鯉をまったくコントロールできず、その場をグルグルとまわり続けていたので回収した。
ともあれ、それぞれ単体では可愛いので興味があればチェックしてみてほしい。悟りを開きたい方もどうぞ。
参考リンク:AliExress「電気漫画のおもちゃ」
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.
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