正直なところ、私は今もよく分からない。700円の冷凍カツサンドが地下鉄の駅構内で売られていた意味が。なんでそこなんだという気持ちが、心の中でくすぶり続けている。

ただ、買ってみて分かったこともある。疑問がすっきり解けて晴れ晴れとした気持ちになったわけではないが、腑に落ちる部分もあった。以下で詳しく説明しよう。

・恵比寿で見つけたカツサンド

数日前、私は東京・恵比寿で冷凍カツサンドの自販機を見つけた。正確に言うと、地下鉄・日比谷線の恵比寿駅構内

自販機の筐体(きょうたい)には「とんかつ まるや」「食パン まるや」とあり、そこはかとなくお高いカツサンドのオーラが漂っている。

ラインナップを見ると、ヒレカツサンドが700円、ロースカツサンドが650円、黒豚ヒレカツサンドが1300円、黒豚ロースカツサンドが1200円、ハムチーズカツサンドが850円という感じ。

コンビニのカツサンドに比べたら明らかに高い。量にもよるが、駅の売店だったら半分くらいの価格でカツサンドを買えるのでは?

でも、それよりなにより気になったのは、「冷凍カツサンド」が自販機で売られているという事実である。冷凍ってことは、当然ながら解凍しないと食べられない。

だけど、自販機ってすぐに食べたい or 飲みたいから利用する人がほとんどじゃないだろうか?

時間的な余裕があるならば、自販機を利用しなくとも店で買えばいい。しかも、そこは恵比寿のど真ん中。美味しい店なら、周りにいくらでもあるだろう。

その状況で、自販機の冷凍カツサンドを選ぶ意味って……なんなのだろう? 一体だれが買うんだろう? なんで、そこでそれを売っているんだろう?

──と気になって仕方がないので、ヒレカツサンド(700円)を購入してみた。ちなみに、保冷パック&保冷剤が100円で売っていたからついでに買ってみたら……


保冷パックが透明のパックに入って出てきた。周りにゴミ箱はないので、このパックは持ち帰るしかない。なんだろ、このチグハグな感じは。



さて、家に帰り中身を確認してみると、明らかにお高めのカツサンド。


見るからにカツが分厚い。また、パンに挟まれているのはカツとソースのみで、キャベツのような野菜は無し。


袋には「さらに美味しく召し上がる方法」が記載されていたので、言われたとおりに温めて食べてみた。


すると……



_人人人人人人人人_
> メチャクチャ美味い!! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄


これはあれだ、まい泉クラスのカツサンドだ。いや、カツの分厚さ、全体のボリュームとしてはまい泉を超えているかもしれない。


この時点で、私は自分が無意識のうちに思い込んでいたことがあると気づいた。冷凍だから味はそれなりという思い込みが。

これまで何度も冷凍とは思えないほど美味い冷凍食品を食ってきたにもかかわらず、やはり冷凍=冷凍じゃないものに比べたら劣ると思ってしまっている。

だから700円という価格を高いと感じてしまったけれど、味を考えればまったく高くない。恵比寿界隈の美味いカツサンドの店と張り合えるだけのポテンシャルを秘めている。

グルメな人はそのことを知っており、なおかつ駅構内で買うことで少しでも時短になるから利用しているのだろうか? 

詳しいことはよく分からないが、とにかくマジで美味いカツサンドであった。それだけのために恵比寿まで行こうかと思うほどに。

執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.