2024年1月26日、SEGAの人気ゲームシリーズ「龍が如く」の最新作「龍が如く8」がリリースされた。

2022年夏からコツコツ過去作を追いかけてプレイしていた新参プレイヤーの私(佐藤)は、昨年3月発売の「龍が如く維新! 極」でようやく最新タイトルに追いつき、今作も発売初日からプレイを開始していた。

プレイ時間数120時間を超えてようやくメインストーリーをクリアしたわけだが、この作品を多くの人にオススメしたいと思っている。だが、シリーズ未プレイの人はコレを最初にやってはいけない。その理由と、作品の魅力についてネタバレなしでお伝えしたい。

・龍が如く8とは

龍が如くは2005年に1作目を発売し、現在まで続くSEGAの人気タイトルの1つ。国内はもとより海外でも絶大な支持を誇っており、作品の主な舞台のひとつ「神室(かむろ)町」が新宿歌舞伎町をモデルにしていることはあまりにも有名である。

「6」(2016年12月)までは、伝説の極道「堂島の龍」と呼ばれた桐生一馬が主人公をつとめ、「7」(2020年1月)から春日一番が主人公として活躍している。ちなみに「7外伝」(2023年11月)は「7」の前日譚であることから、桐生が主人公を担っている。

そして本作は桐生・春日のダブル主人公で物語が進行している。シリーズ最大規模のプレイフィールドを誇ると共に、初の海外(ハワイ)を舞台にして、重厚な物語が紡がれていく。


・せめてこの4作を

今作ではじめて龍が如くシリーズに関心を持った人もいるかもしれない。高評価の感想を目にしたり、「シリーズ最高峰」という売り文句を目にすれば、やってみたいと考えるのも自然だろう。

だが、シリーズ未経験でこの作品を最初にプレイすることはオススメしない。というのは、今作の半分は過去作の振り返りの要素を含んでいるからだ。


発売前から公式のトレーラー映像で紹介されていたのだが、桐生一馬はガンで余命宣告を受けている。それゆえに桐生パートには「エンディングノート」という要素が設けられていて、過去作の登場人物とのエピソードがふんだんに用意されているのだ。

古くから作品をプレイしてきた人にとっては、懐かしいだけでなく胸が熱くなり、場合によっては涙してしまう可能性すらある。近年ナンバータイトルを全部プレイした私でさえ、感じ入るものがあった。


その感動と興奮を知らずしてプレイするのは、もったいない! もったいなすぎる!!


久しく作品に登場していなかったキャラが出てきたりすると「生きとったんか、ワレー!」と叫びたくもなってしまう。それこそが本作の醍醐味のひとつだろう。


……とはいえ「8」をやるために、9作品(0、7外伝含む)を全部やるには、途方もない時間がかかるので、せめて以下の4作品はやって頂きたい


龍が如く極
龍が如く6 命の詩
龍が如く7 光と闇の行方
龍が如く7外伝 名を消した男


本当は「0 誓いの場所」「極2」もやって欲しいところだが、いくら時間があっても足りなくなるので、せめてこの4作はぜひ!

ちなみに3・4・5はリメイクされてない上に、ストーリーも粗い時代のものなので、私はやっててツラくなった。よってそこまでオススメはしない……


・桐生一馬を身近に

シリーズに興味を持った人にオススメを紹介したわけだが、本当はすべての人にこの作品、並びにシリーズをやって欲しいと思っている。

というのは、私自身、こんなに重いゲーム体験をしたことがないからだ。龍が如くは2025年に発売から20周年を迎える。それに先立った今作は、その歴史の集大成とさえ思える。

ゲームシステムもさることながら、物語としてのひとつの完成形を示しており、その内容は非常に成熟したものになっている。ネタバレを避けるために詳しくお伝えできないのだが、私は今作を通して、龍が如くの象徴だった桐生一馬に深い親しみを感じている

何度も単身で死地を切り抜けてきた無敵の男、桐生一馬。架空の存在とはいえ、私とは大違いである。ヤクザを題材にしているからそもそもあり得ない設定であり、何ひとつ私と共通する点はない。

だが今作では、かつてないほど人間らしさを感じた。そして「もし自分が桐生だったら?」と考えることができた。彼の姿に、励まされ勇気づけられる思いさえしたのだ。


反面、もうひとりの主人公・春日一番に対しては「自分だったら……」と考えることはなかった。その代わりに、「こんな友達がいたらいいのにな」と思えた。春日は私からすれば「こうはなれない」存在なのである。でも、身近に彼のような人がいたら心強いだろうって。

感じ方は人それぞれだと思うが、過去作にないほどキャラを身近な存在と感じることができた。年頃が彼ら(桐生:55歳、春日:46歳)と近ければ、より一層親しみを覚えるかもしれない。


いずれにしても、制作陣がキャラクターに並々ならぬ愛情を注いでいることは感じ取れる。その愛情の深さはゲームのみならず、映画やアニメやマンガや小説など、他のエンタテインメント作品と比べても、ずっと深いかもしれない。

とにかく、龍が如くをやってみたい人は「8」からはじめてはいけない。せめて先に挙げた4作品。可能なら他の全部をプレイして挑んで欲しい。きっと面白さが倍以上違うはずだから。


参考リンク:龍が如く.com
執筆:佐藤英典
Screenshot:龍が如く.com