早いもので2023年もあと数日。となれば……やはり今年も振り返っておくべきだろう。俺たちの「かつや」が2023年に放った様々な期間限定メニュー。そして、そのあまりにも無駄な熱き創意工夫を。

というワケで、勝手に毎年恒例としている「かつや」の暴走珍走まとめ記事を今年もお送りしたい。執筆を担当するのは、生粋の “かつや者” を自称している私、あひるねこだ。

これを読めば「かつや」の2023年が分かるが、分かったどころで何の意味もなさないので気軽に読んでほしい。それでは行くぜ!

・その1・タレカツ丼

先月発売でまだ記憶にも新しい『タレカツ丼』は、「かつや」自ら “2023年最高のボリューム感” と説明するほどの激烈揚げ物マウンテンであり、実際に私も登山途中で大量の油に足を取られ、おそらく人類として初めてカツの中で遭難しかけた。


ささみ、エビ、ヒレと食材自体はヘルシーにもかかわらず、その内容はヘルシーというよりは明らかに “Hell Sea(地獄の海)”。しかし本当にヤバイのは、この極めてエクストリームなメニューに対し、シンプルに『タレカツ丼』と名付けた「かつや」のセンスであることに異論の余地はないだろう。



・その2・かつやの海苔弁

いつも、何時でも必要以上に全力を尽くすのが「かつや」スタイルだが、全力を出しすぎるあまり、海苔弁の主役である海苔をただのエキストラに降格させるという斜め上の采配を下してしまったのが本商品だ。海苔が気の毒ったらない。


容器の隅っこに追いやられた海苔の代わりにイキり散らすのは、多種多様な揚げ物ダイバーシティの皆さんたち。全員が右手を挙げて「マイボマイボ!」とアピールしているような状態で、何というか普通にうるせぇ。体育の時のサッカー部かお前ら。


これを海苔弁と呼んでいいのかは神のみぞ知るところ……と思ったけど、さすがに今回ばかりは神も「海苔弁ではないやろ」と言いそうな気がする。ポリコレならぬノリコレ問題に発展しかねない、今年屈指の怪弁当である。



・その3・とんこつチキンカツ丼

数々の期間限定メニューと相まみえてきた私であるが、もしかすると本作は……歴代最強クラスの化物かもしれん。これまでギリギリのリアリティラインを保ち続けてきた作家が、ついに異世界モノに手を出したかのようなかつてない衝撃。あ、いよいよそこ行くんかと。そこに足を踏み入れるんかと。


なんせこの『とんこつチキンカツ丼』、カツ丼なのにほぼラーメンにしか見えないのである。ここで言う “ほぼ” とは、60%や70%などではなく、90%以上の大台に突入している状態を指す。つまり、限りなくとんこつラーメンに近いカツ丼なのだ。だったらもうラーメン屋行けや!


ラーメンでしかあり得ない具材を身にまといながら、そのすぐ隣にチキンカツを丸ごと配置するというギャンブルの如き魔構成。全国発売する新メニューを使って博打に興じるなと言いたい。


この丼と対面したすべての “かつや者” たちは、おそらくこう思ったことだろう。なぜいつもあさっての方向に本気なんだと。カツ丼がラーメンのコスプレすんなと。やるならせめて家でやれと。常人の理解をはるかに超えしミュータントカツ丼が、歴史にその名を刻んだ瞬間であった。



──以上、「かつや」の2023年の荒ぶりをダイジェストでお送りしたが、今年は『とんこつチキンカツ丼』が異形すぎるというか、一人だけ突出して意味不明だったせいで逆大谷翔平みたいな現象が起きていたような気がする。まさに1000億超えの「?」を獲得したカツ丼である。

私も長年「かつや」とじゃれ合っているが、ここまでブッチギリの商品がいた年は過去になかったはず。2019年の『カレーうどんカツ丼』に匹敵する不朽の迷作と位置付けて問題ないだろう。つーかどんだけ麺類に憧れてんだよ!

果たしてこれを超える混沌が来年も……出てもらっては困るので、願わくば「かつや」は少し大人しくしていろ。いいか、必要以上に張り切るんじゃないぞ。張り切るなよ! それでは “かつや者” の皆さん、来年もよろしくお願いいたします。

執筆:かつや者・あひるねこ
Photo:RocketNews24.

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