いよいよ本格的な師走ムードになりつつある本日2020年12月7日。俺たちの「かつや」がおそらく今年最後と思われる期間限定メニュー『コクうま味噌カツ丼』を発売した。激動の2020年を締めくくるのはこの味噌カツということになる。

だが私(あひるねこ)を含め、こう思った人はきっと多いはず。「かつや」にしては最後におとなしめのメニューを持ってきたなと。冷静と狂気の間を行ったり来たりする「かつや」にしては堅実。言い方を変えれば、少々地味な選球だなと。今回はその理由について、私なりに考察してみることにしたい。

・かつや新商品

最初に基本情報を書いておくと、本日発売になったのは『コクうま味噌カツ丼(税抜590円)』『コクうま味噌カツ定食(税抜690円)』『コクうま味噌カツおかず(税抜490円)』の3つの商品。それぞれ、テイクアウトとデリバリーでも注文可能となっている。



・2回目の味噌カツ

実は「かつや」は今年1月に『青ねぎ味噌チキンカツ』という期間限定メニューを発売しており、そのため2020年は味噌カツに始まり味噌カツに終わる年だったという言い方も可能だ。は! まさか……これは何かの伏線では? 最後にキレイに回収して「かつや」スゲェェェエエエエ! となったりするのだろうか?

そんな淡い期待を抱きながら、私が注文したのが『コクうま味噌カツ丼』。1月に『青ねぎ味噌チキンカツ丼』を食べた時は、そのあまりにも真っ当すぎる仕上がりに困惑したものだが、果たして今回の出来はいかに。そこへ丼がドンと運ばれてきたので、私も負けじとドンと見返すと……


うわデカッッ!


・デカイ

デカ! そして茶色ッ!! 美術2か! この色塗ったの絶対男子だろ。いや、さすがにここまで単色で乗り切るヤツは見たことがないぞ。まさに「かつや」の真骨頂という雰囲気だが、と同時に、チキンカツの一風変わった盛り付け方も少し気になってしまった。四方に開くように配置されたカツに、一体どういう意図があるのだろう?

私は何の気なしに中央に添えられた玉子にそっと箸を入れてみる。すると。次の瞬間。



咲いたよ──。


花が、咲いたよ。


・満開

中から溢れてくるトロっとした玉子の黄身。そうか、このカツは花びらなんだ。改めて丼を見下ろすとそこには、味噌カツという名の大輪の花が見事に咲き誇っている。まあ花の蜜にしては味噌ダレは濃厚すぎるような気もするが、今はそんなことぁどうだっていい。

サクッとした歯ごたえが残ったチキンカツと、甘辛な味噌ダレの相性の良さは今さら言うまでもないだろう。無性にご飯がすすむ味付けだ。しかも食べても食べてもカツが減らない。一口大サイズにカットしてあるとはいえ、一体何個あるんだコレ。



・ボリュームも満開

さらに卵をどけると、なんとそこにもカツ! 向いのホームにも路地裏の窓にもいなかったのに……玉子の下からカツ!! これには山崎まさよしもビックリである。下にいたからか先ほどと違って味噌ダレが衣に染み渡っており、ちょっとした味変仕様になっているのも楽しい。



そうか──。丼をガツガツと食べ進めながら私は、「かつや」が2020年を『コクうま味噌カツ』で締めくくろうとした本当の理由に気が付き始めていた。



1月と12月。同じ味噌カツが発売された年でも、今と当時では世界は取り返しがつかないほどに大きく変容してしまった。2020年は人類史に残る受難の年として永く記憶され続けるだろう。誰かにとっては、もしかしたら辛く苦しい思い出でしかないのかもしれない。

しかしそれでも「かつや」は、あえて同じ味噌カツを発売し、そこに1月にはなかった “花” を添えることで、2020年のすべてを肯定しようとしたのではないか。いろいろ、本当にいろいろあった。でもあなたは、今年2回目の味噌カツを、あの時と同じように「かつや」で食べることができている。それはこの一輪の花のように尊く、そして美しいことではないのか、と。



さて、賢明な読者諸君はすでにお気付きかもしれないが、いま書いたことはすべて私のデタラメである。去年の『ラーメンコロッケ』とかいうバーサーカーと違って今年はあんま書くことねぇなと思い、勝手にでっち上げました。本当にすみませんでした。

・おいしいよ

でも『コクうま味噌カツ丼』がウマい上にめちゃくちゃボリューミーであることは揺るぎない事実だ。味噌ダレが超濃厚なので、人によってはキャベツか追加のご飯が欲しくなるかもしれないが、生粋の “かつや者” として食べる価値アリ&アリと断言する。キミも、今年最後の花を眺めないか?

参考リンク:かつや
Report:かつや者・あひるねこ
Photo:RocketNews24.

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