店のドアを開ける前から、いい予感しかなかった。初めて入る店なのに不安はゼロ。むしろ、「自分のためにあるような店なんだろうな〜」くらいに感じていた。なぜなら……

店の前に、このような看板が掲げられていたからだ。


「おひとり様来店率85%」


これほどまでにボッチの心に刺さる売り文句が他にあるだろうか? まぁ、なかなか無いだろう。

そもそも、焼肉屋とお好み焼き屋はボッチにとって入店のハードルが高い2大スポットとして知られている。

ラーメン屋は余裕でも、焼肉屋はちょっと……というボッチは意外と多い。

そのあたりのハードルの高さを考えれば考えるほど、85%という数字もちょうどいいように思うのだ。

60を下回るとちょっと不安になるし、100だと「どんな店だよ」となってしまう。

ちなみに、私は1人でハネムーン用のホテルに滞在できるくらいボッチ耐性が強い方なので、ファミリー向けの焼肉屋でも “おひとりさま入店” は割と余裕である。

だがそれでも、85%には心がグラッと来た。「おひとりさま歓迎」と掲げた店は多いが、実際の数字を出すことで生まれる説得力には到底かなわないことを思い知らされた次第である。



・ドアを開けてみた

思わずボッチについて熱く語りすぎてしまった。申し訳ない。本題へ行こう。


その店は「美そ乃」といい、池袋の西口を出たところで発見した。


繁華街のど真ん中にあり、店内はカウンターのみ。ショーケースの中にお肉が並んでおり、それを1枚から注文できるのが特徴だ。壁に掲げられたメニューを見ると……


・スネA5(200円)
・ウワミスジA5(350円)
・カメノコA5(330円)
・ザブトンA5(370円)
・シャトーブリアンA5(660円)


……書き出したのは ほんの一部だが、まぁこんな感じ。どれも1枚の価格で、お店の人によると「お肉のランナップは日によって変動する」とのこと。

で、上のメニューを見ればおわかりのとおり、この店は “いい肉” が普通に出てくる。表の看板によれば、「A5黒毛和牛専門店」だという。


じゃあ高級路線かと言うと、そういうわけでもなさそう。ドアの前には「ご予算3000円で1人焼肉デビューしませんか?」とあり、3000円くらいあれば普通に楽しめる店でもある。


実際、黒毛和牛だけじゃなく、外国産のお肉も扱っているし、ホルモンだってある。もちろん、シャトーブリアンあたりを攻めまくったら3000円では済まないだろうが、そのへんは自分のさじ加減でいくらでも調整できるだろう。



ちなみに、私が最初に注文したのはカルビ&ロースセット(200g)。ライスとスープと小鉢がついて1160円だ。


このセットは黒毛和牛ではない。せっかく黒毛和牛専門店に来たのだから黒毛和牛いっとこうと思ったが、メニューを見たら外国産のお肉セットの価格に心が揺れてしまった。


ただ、黒毛和牛ではないとはいえ、このカルビ&ロースも十分に美味いぞ


一緒にビールを楽しみつつ……



ある程度落ちついたところで……



シャトーブリアン!!


焼いて口に入れると……


あぁ……うまぁぁぁぁ……


──となってしまったら、誰だって「もう1枚」「次は別のお肉で」となるだろう。結果的に……


私の場合は3000円で収めることが出来なかったが、最高の時間であった。



そういえば、数日前に同じ池袋で「餃子の王将」を発見したときは最終的に別の意味で泣きそうになったが、今夜は歓喜の涙である。圧倒的勝利。

願わくば、この幸福を日常的に味わいたい。だから、将来的には(職場がある)新宿にも出店して欲しい。お店の方、どうぞよろしくお願いします!


・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 美そ乃
住所 東京都豊島区西池袋1-18-1五光ビル1F
時間 月〜木曜日・日曜日・祝日11:30〜14:00(L.O.13:30)、15:00〜24:00(L.O.23:30) / 金〜土曜日・祝前日11:30〜14:00(L.O.13:30)、15:00〜26:00(L.O.25:30)

参考リンク:X @misono_429(美そ乃公式アカウント)
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

▼なお、生ビールは590円、角ハイが510円……という価格帯。お肉以外のフードメニューも充実しており、カレーまであるぞ