我らがロケットニュース24編集部がある新宿2丁目。

編集部から徒歩5分ほどの場所に新宿御苑があるのだが、長らく新宿門の横では工事をしていた。大きな塀に囲まれて中の様子は見えず、一体何の工事だろうと思っていた。

そういえばあの御苑の横の工事、いつの間にか終わったな……と思ったら、めちゃくちゃ大きな道ができていたのでビックリした。道ってできることあるんだ。

この道はいったいどこに続いているのか……歩いてみることにした。

・2022年12月に開通した道

長らく続いていた御苑の横の工事。てっきり新しいビルでも建てているものだと思っていたので、囲いが外れていきなり道が出現してビックリした。

少なくとも私が今の会社に入社した2016年にはすでに工事をしていたと思うので、ずいぶん長いこと工事していたことになる。

道が開通したのは2022年12月。実はもう1年近く経っているが、私はいまだこの道の先へ行ったことがない。


「この道を行けばどうなるものか。 危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし。 踏み出せばその一足が道となり、その一足が道となる。 迷わず行けよ、行けばわかるさ」


アントニオ猪木の名言が頭をかすめる。いったいどこに続く道なのか分からないけど……行ってみるか。



・歩いてる人、めっちゃ少ない

平日の夕方5時。御苑前の交差点は若者や外国人でいつになく賑わっていた。なんでも新宿御苑でライトアップのイベントがあるらしい。

信号が青に変わり道を渡るが……信号待ちの沢山の人の中で、新しい道に向かう人は私以外ほとんどいなかった。まるでこの道だけ誰の目にも入っていないかのようである。

たしかに一見すると、車しか走れない道のようにも見えるが、ちゃんと歩道があるのだが……。

歩道沿いに店などはなく、ただ御苑の暗く大きな森が静かに佇むのみ。さっきまで沢山人がいたのに、この道を歩いているのは私しかいない。

逢魔が時ということもあって、寂しさが増す。都会の真ん中でひとりぼっち。なんか時空が歪んだみたいだ。


・意外な場所に出た

このまま誰もいない道がずっと続いたらどうしよう……と不安になったのもつかの間。5分ほどで明るい場所に出た。

新しい道を歩いて出てきたのは……千駄ヶ谷であった。

というか、ここ、めっちゃ見覚えあるな……。これは……新宿タカシマヤの裏じゃないか……あれ?

地図を見たところ、新宿御苑横の新しい道は、新宿伊勢丹から新宿タカシマをつなぐ明治通りとほぼ平行に走っているように見える。

えっ、これは一体……!?



・渋滞緩和のために何十年も前から計画されていた道

なんで明治通りと平行した道をわざわざ新しく作ったんだ? と気になったので調べてみた。

この新宿御苑・新宿門の真横から千駄ヶ谷までをつなぐ800メートルほどの新しい道は「環状第5の1号線(千駄ヶ谷)」というらしい。

この環状第5号の1号線計画は明治通りや周辺の混雑緩和のために何十年も前から計画されたもの

新宿御苑の横の道はその一部にすぎず、実は港区南麻布から北区滝野川に至る長い区間に及ぶもので大部分が明治通りと重複している……とwikipediaに書いてあった。

ちなみに、御苑から千駄ヶ谷をつなぐ800メートルの道を作るにあたって新宿御苑の希少な樹木の保護や湧水への影響が懸念されて、1994年から何度も環境調査をしたり、2005年に計画が変更になったりと紆余曲折あって調整にめちゃくちゃ時間がかかり、2010年にようやく着工されて2022年に完成したとのこと。な、長い……。

現在、雑司が谷でも工事が行われているそうだが道路の開通時期は未定。他の工事予定場所にいたってはまだ着工していない場所もたくさんあるらしい。



・渋滞は緩和されたらしい

実際、新しい道は、人は歩いてなかったが車はバンバン走っていた。実際に新宿御苑の横の新しい道が開通してからは、明治通りの渋滞が緩和したと東京都が資料を出していた。

言われてみれば、いつも宣伝トラックが渋滞していた伊勢丹の前あたりの道路が、前ほどうるさくない気がする。

歩行者にとっては歩けば5分ほど。新宿三丁目から代々木までちょっぴり近道になる道って感じだったが、車にとっては大きな変化だったのだ。

しかし、800メートルほどの短い道を開通するために何十年もかかっていたとは。道路の開通っておそろしいほど時間がかかるんだな……。果たして、私が死ぬまでにこの環状第5号線は全部完成するのかしらと思って気が遠くなる思いであった。


参考リンク:プレスリリース東京都
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.