いまや完全に1ジャンルとして定着し、多くのラーメン店で見かけるようになったつけ麺。そのつけ麺のジャンルも細分化し、最近では「昆布水つけ麺」が流行っているそうだ。

昆布水つけ麵──。ここ半年ほどネットでその名はチラホラと見かけるが、果たしてどんなつけ麺なのか? ラーメンよりもつけ麺派の私、P.K.サンジュンが、はじめての昆布水つけ麺にチャレンジしてきたのでご報告しよう。

・昆布水つけ麺とは?

まずはざっくりと「昆布水つけ麵」の概要を説明しておきたい。

多くの場合、昆布水つけ麵は「麺が昆布水に浸かっているつけ麺」のことを指す。昆布水は昆布ダシを冷やしたもの(もしくは水に昆布をつけたもの)で、特に味は付けられていないことが多いようだ。

また昆布水つけ麺を提供する店は、いわゆる「魚介豚骨系」といったコテコテのスープではなく、どちらかと言えばあっさり淡麗系のスープを提供する店が多いらしい。昆布水にはスープの旨味を補う役割もあるようだ。


・初めての昆布水つけ麵

さて、今回は各種グルメサイトでそれなりに評価が高い店で「昆布水つけ麵」を食べてみることに。価格は一般的なつけ麺とほぼ変わらず、特に昆布水に別料金などはかからなかった。

到着した昆布水つけ麺は、確かに昆布水に浸かっている。昆布水自体に粘度があるためか麺はキラッキラに輝いており、ビジュアル的には一般的なつけ麺よりかなり映えると言っていいだろう。

で、まずはネットで得た知識を駆使し、麺をそのまま食べてたところ……なるほど。粘度のある昆布水効果で “ドゥルルルッ” とした食感になっており、のど越しが心地よい。また麺のウマさを昆布水が引き立てていた。

ただし昆布水そのものに味は付いていないため、基本は無味である。麺本来の味は楽しめるが、これを美味しいと感じられるのは相当味覚が発達している人に限られてくるのではなかろうか? なお、お店によっては塩などが用意されているケースもあるそうだ。


お次にスープにくぐらせてから食べてみると……ふむふむ。例の “ドゥルルルッ” とした食感はやや弱まるが、少なくとも昆布水がスープの邪魔はしていない。むしろ理論的には昆布水の旨味がスープに加わっているのだろう。

この「麺を浸すごとにスープに旨味が移っていく楽しさ」が昆布水つけ麺の最大の魅力なのかもしれない。また〆のスープ割りも、スープの中に昆布水を入れるのがセオリーとのこと。スープ割りお上品で美味しゅうございました。



・好みじゃない人もいそう

で、結論を申し上げると、昆布水つけ麺には「向き不向きがある」と感じた次第だ。というのも、つけ麺の大きな魅力の1つにパンチ力がある。一口目からガツンとパンチを求める人に昆布水つけ麵は向いていないのではなかろうか。

逆に麺そのものの味や淡麗系スープを引き立てる意味で「昆布水」は発明と言えるハズ。どれだけ昆布水で旨味が補われようとスープと麺に誤魔化しが効きにくいため、お店側にはかなりの腕前が求められるつけ麺と言えそうだ。

それなりの頻度で「昆布水つけ麵」の名を見かけるようになったものの、上述した理由でジャンジャン昆布水つけ麵のお店が出来るということにはならない……と思う。ここでは昆布水つけ麵を「向き不向きがあるつけ麺」と結論付けたい。

執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.