東京都墨田区錦糸町、ここは「お菓子の街」であると感じている。実際、JR錦糸町北口を出ると「エワタリ」という大きな問屋があり、近隣にはお菓子の製造工場が点在している。バームクーヘン製造一筋の「乳糖製菓」もそんな会社のひとつだ。

「下町バームクーヘン」というブランドで知られており、創業70年の歴史を持つ菓子製造販売業者である。本社工場のすぐそばには直売所を併設しており、ここに行けば出来立ての美味しいバームクーヘンを買うことができるのである。

・本社のすぐそば

お店は錦糸町駅北口から徒歩約3分のところにある。住所地のあたりを訪ねると、まず目に入るのが「(株)乳糖製菓」の看板だ。同社の設立は1975年、個人商店としては1953年から菓子の製造を生業としており、1960年頃(昭和30年代後半)から現在までバームクーヘン一筋なのだとか。


直売店は1軒挟んだ隣にある。「下町バームクーヘン」の看板が目印だ。


店頭に並ぶ商品は日によってラインナップが異なり、切り落としが販売されることもあるのだとか。あいにくこの日、私(佐藤)が訪ねたタイミングでは、それらしきものが見当たらなかった。ちょっと残念……。


このお店は楽天市場にも出店しており、2018年に「ショップオブザイヤー」を受賞している。通販の主力商品は、りんごを包んだ「あっぷるクーヘン」(店頭価格税込1200円)だ。

それが店頭にもあったので1つと、「生タイプ」のバームクーヘン(バニラ:税込450円)もあったので合わせて購入した。


ちなみに楽天ではあっぷるクーヘンを1620円(送料別)で販売している。店頭では420円も安く購入できた。



・年輪を刻む

それぞれ袋から出してみる。まずは生タイプを見てみると、刻まれた年輪が美しい。かすかに香る甘いバニラに癒される。


昔から洋菓子は好きだけど、どちらかといえばチョコやクリームでデコレートされたものが好きだ。したがって、積極的にバームクーヘンを食べようと思ったことがない。しかしこの商品の甘い香りと美しい年輪に、やたらと食欲をかき立てられる。


「生」とあったので、しっとり系をイメージしていたのだが、実際はふっくら系だった。口に入れると溶けるような柔らかい食感。甘さ控えめで後味はあっさりとしている。口当たりの軽さが「生」と名付けられた理由かもしれない。


そしてもうひとつのあっぷるクーヘン。こちらは中にりんごのコンポートが入っていてユニークな形をしている。


その形状ゆえに、外から年輪をはっきりと見ることができないが、カットしてみると……


りんごのフォルムに合わせてしっかりと等間隔。職人の技術の高さがうかがえる。


個人的に味はこちらの方が好み。果実を内包しているので、その水分を含んだ生地はややしっとり。コンポートに含まれる洋酒の香りが鼻をくすぐる。全体的に大人を感じさせる甘さである。シャリとしたりんごの歯ざわりも心地よい。



昔に比べて、この街の製菓工場は少なくなったのだとか。コロナや昨今の原材料費高騰を考えると、街の工場が事業を続けていくのは大変だと思う。それでもこれからも出来るだけ長く、この先の50年、100年と続いてくれることを願う。バームクーヘンの年輪のように、1年1年と歴史を刻んでほしい

なお、下町バームクーヘンは楽天市場でも購入可能なので、興味のある方は、歴史あるその味をご賞味あれ。


・今回訪問した店舗の情報

店名 乳糖製菓 本社工場店
住所 東京都墨田区太平3-3-11
時間 9:00~19:00 土曜10:00~18:00 日曜10:00~17:00

参考リンク:乳糖製菓楽天市場
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24