「トルティーヤ」はメキシコの伝統料理のひとつ。トウモロコシを粉状にしたものを薄くのばして焼くパンの一種だ。トルティーヤの上に具材を乗せて食べる、タコスが良く知られている。タコスチェーンの「タコベル」でもトルティーヤを食べることはできる。

そんなトルティーヤを自家製で提供するお店が、東京・代々木上原に存在する。そのお店「Tortilla Club TORTILLERIA(トルティーヤクラブ トルティレリア)」は、毎日トウモロコシを製粉して「コマル」と呼ばれる陶版で焼く、国内初の本格的なトルティーヤ専門店である。

・国内初の専門店

このお店は、2023年9月に誕生した複合施設「CABO(カボ)」の1階にある。小田急線代々木上原駅の南口を出てすぐの場所だ。住所地に行ってみると、看板はあるのだが~……


表からそれらしきお店は見えない。もしかして、住所違いだったか? と思ったら、1階のカフェのテラスのような通路を進んだ先にあるようだ。この先にお店があるとは……。


あ、ここか。店前のサボテンと店内の黄土(おうど)色の壁が、なんとなくメキシコを感じさせる。ここで間違いないようだ。


メニューを見ると、自家製のトルティーヤを使った料理が4種用意されており、価格は一律税込1100円。すべて2ピースで、3種の具材から好きなものを2つ選べるそうだ。


タコスは知っているけど、そのほか3種のメニューは聞きなれないモノだった。壁を見ると、写真付きの説明がある。「ミニソぺス」は厚めの生地を皿型にして揚げたもの。「トスターダス」はトルティーヤを揚げたもの。そして「ミニゴルディータ」は厚めに揚げたピタパン状のものらしい。


私(佐藤)は、トスターダスをチョイス。具材はミートとベジ―の2種類でお願いした。



・3種のサルサ

テラス席で提供を待っていると、最初に3種のサルサが出てきた。左端はパクチー、その隣が「サルサロハ」、緑色のものが「サルサヴェルデ」。1番右が「サルサマチャ」である。


ロハはトマト・にんにく・メキシカンチレ(メキシコの唐辛子)をローストしたソース。ヴェルデはアボカドや青唐辛子などを合わせて攪拌(かくはん)したもの。マチャは4種の唐辛子を揚げて、ローストピーナッツと合わせたものとのこと。

この中で1番辛いのは、さわやかな緑色をしたヴェルデなのだとか。辛そうに見えないのに意外だ……。


・フムスにやられた

これが2種のトスターダス。この日のトルティーヤはパープル(手前)とイエロー(奥)の2色である。


パープルの具材ベジ―は、ベビーコーンとインゲンにレッドソースを添えている。イエローの具材ミートは、豚肉を焼いて煮込んだもの。いわばメキシコ版チャーシューをほぐしたものといったところ。



料理の説明はこれくらいで良かろう。では、それぞれサルサとパクチーをトッピングして頂きます!


揚げたトルティーヤは少し持ちにくいんだけど、大口を開けて一気に頬張ると、サクサクの生地と具材が口の中で混ざり合って美味! 肉の甘さにサルサの辛味、それらをトルティーヤが包み込んでひとつにまとめ上げている。

複雑な味のなかでも、とくに際立っていたのが、トルティーヤの上に塗られていた豆のペースト「フムス」の味だ。


これがビックリするくらい美味い! さまざまな食材の味の主張があるなかで、フムスの旨味は飛び抜けている。ピーナッツバターを思わせるまろやかさとコクがあって、これだけでトルティーヤを食べたいとさえ思ってしまった。

ちなみにサイドメニューの「NCTCロール」(税込500円)はフムスをたっぷり使ったものだと、帰り際に教えて頂いた。次に来たときは絶対コレだな



・タコスってこんなに美味いのか!?

トスターダス2つを平らげた私は、自家製トルティーヤの美味さに感動して、さらに「タコス」(税込1100円)を注文。具材は先ほど選ばなかったミート & ベジ―(蓮根と合い挽肉のハニーマスタード炒め)である。


これもサルサで自分アレンジ。そのままもいいけど、トッピングした方が美味しそうだし、楽しいよね。


タコスを食べるのは、もちろん初めてのことではない。でも、自家製トルティーヤのタコスは初めてだ。しかも製粉してお店で焼き上げるフレッシュなトルティーヤ。

その味は、いまだかつて味わったことのないものだ。とにかくトルティーヤが美味い! トウモロコシの風味が生きていて、噛むごとに素材の自然な甘さと旨味が口に広がる。


タコスってこんなに美味いものだったんだね。今までそこまで興味なかったけど、コレを食べたら、タコスが好きな料理の1つになったよ。これから暑くなったら、絶対食べたい味。ビール片手に外で食ったら、テンション上がる!



・量り売りも

実はこのお店、トルティーヤの量り売りもしている。出来立てのトルティーヤは1グラム5円、100グラムでだいたい6枚分とのこと。冷凍トルティーヤも扱っているぞ。


店奥の火口にある丸い皿状のものが陶器の調理器具コマルだ。おそらく日本でも陶板を置いているのはここだけ。本場の味を提供するために、製粉する機械もプレス機(生地を延ばす機械)もわざわざ海外から取り寄せたのだとか。トルティーヤに対するこだわりがハンパではない


6枚(100グラム)分を購入したので、これでうちでも美味いタコスが食えるぞ!

なお、お店では冷凍トルティーヤやトスターダスを通販しているので、お店に来るのが難しい方はそちらでお買い求めいただきたい。自家製トルティーヤの味を1度知ったらハマるかも? 少なくとも私はもうハマってしまった


・今回訪問した店舗の情報

店名 Tortilla Club TORTILLERIA(トルティーヤクラブ トルティレリア)
住所 東京都渋谷区上原1-32-3 CABO uehara 1F
時間 11:00~18:00
定休日 月・火曜

参考リンク:Tortilla Club TORTILLERIA
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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