私(耕平)は、このアラフィフの歳になるまで、九州には今まで1回しか行ったことがない。その1回とは2泊3日で行った長崎観光だ。長崎県と言えば、真っ先に思い浮かぶのが「長崎ちゃんぽん」。チェーン店のちゃんぽんは飽きるほど食べたことがあるが、やはり本場で食べた味は、今でも頭に残っている。

ただ、それも20年以上前の話。昨今は沖縄ばかり行っているが、あの頃行った長崎にも行ってみたいものだ。「ハウステンボス」も楽しかったな……と思いにふけっていた時に、何気なく見ていた某女優さんのYouTubeで面白そうなものを見つけた。

それは『新長崎弁かるた』というもの。以前、沖縄の方言が詰め込まれた『うちなーぐちかるた』を取り上げて、思いのほか面白かったこともあり、速攻で購入した。ということで、長崎の温かくも難解な方言が詰まった、かるたの全貌をご覧いただこう!

・『新長崎弁かるた』の中身

私がこの『新長崎弁かるた』を知ったきっかけは、女優の仲 里依紗さんのYouTubeチャンネル。動画の内容は、川口 春奈さんをゲストに迎え、同じ長崎県出身ということで、急に『新長崎弁かるた』で遊び出すという展開のもの。

2人とも長崎県民にもかかわらず、ほとんどの札の意味がわからないという内容で話題になり、動画はこの記事の執筆時現在で480万回以上の再生回数を叩き出している。

このかるたを制作したのは、長崎県民なら全員知っていると言われるローカルテレビ局「KTNテレビ長崎」。五十音順でそれぞれ「読み札」と「取り札」があり、読み手は「KTNテレビ長崎」のアナウンサーが担当している。ちなみに ”新” ということは、前身の長崎弁かるたが存在していた可能性があったと思い調べたものの、ネットではヒットしなかった。


そして注文から、10日ほどで商品が届く。


袋を開けてみると、「KTNテレビ長崎」の包み紙に覆われている。


包み紙を開けると、『新長崎弁かるた』のパッケージが姿を現す。


パッケージの側面には、かるたの読み手を担当する「KTNテレビ長崎」のアナウンサーの紹介が。


別の側面を見ると「遊び方」が記載されている。その中でも特筆すべきは「標準語の読み上げ」で札を取る遊び方もあるということ。


長崎弁の普及がちゃんと考えられているな……と感心した次第だ。中身を取り出すと、説明書、CD、読み札、取り札の4種が入っている。



・取り札と読み札

それでは『新長崎弁かるた』のキモである、札の中身を見ていこう。まずは取り札から。


五十音順に、あ行から「ん」まで全て網羅されている。イラストに親近感が湧くが、ところどころにこのイラストのテイストと、読み上げる札の内容のギャップが深い “闇” が存在することは後述しよう。


そして、読み札がこちら。


前述の同県出身の人気女優2人ですら難解だった、濃い方言が並んでいる。その左側には「標準語」として、解説も書かれていた。


これは取り札にも書かれているが、「標準語の読み上げ」に対応しているということだろう。そして長崎県の中でも「主に話されている地域」として、6つの地域のどこで使われているかも記載されている。


ひと通り目を通したところ、沖縄の『うちなーぐちかるた』に比べると、難解度は若干低めのように感じた。が……それでも全部意味が解読できた札は1枚たりともなかった。



・印象に残った札5選

それでは、この難解な『新長崎弁かるた』の中でも、個人的に印象に残った札を5枚厳選したので紹介しよう。


「すんなよー うまそうやけんて」


「するなよー おいしそうだからって」という意味。何となくわかりそうな意味だが、注目すべきは取り札に書かれているイラスト。人の家の柿を少年が棒で取ろうとしているのを、かなりの至近距離で目にして、言っているこのセリフが「どんなシチュエーションだよ?」と笑ってしまった。


「とっとっと? とっとっと」


「とっているんですか? とっていますよ」という意味。これは何かのテレビ番組で見たことがあるような気がするが、言葉は一緒でもイントネーションの違いで、意味も違ってくるという、英語的な要素も兼ねそろえているところが面白い。


「ひょんかとのおんねー」


「怪しい人がいるなー」という意味だが、これは取り札のイラストのシチュエーションの方が意味不明だ。隠れもせず、あからさまに双眼鏡を使って覗いているであろう中年を職質もせずジッと見つめる警官。その前にあるスイカの皮で作られたオブジェのようなものも、よくわからない不思議さのインパクトが強いので選んだ次第だ。


「やあらしか服ば 着とんねー」


「かわいらしい服を着ているねー」という意味らしいが、言葉のイントネーションから肌露出度多めのセクシーな服を着ている若い女性に向けて、年配の人が注意しているような意味に取れてしまう。そのイメージとは真反対のイラストも注目度が高い。


「をーばんけなー こがんたくさんもろてー」


「こんなにたくさんもらってきたのー」という意味。「こがんたくさんもろてー」という言葉から、この意味は何となく連想できるが、その前の「をーばんけなー」が何に当たるのか? 解説を見ても全く検討がつかない。とにかく謎だけが残った札だった。


──ということで『新長崎弁かるた』の魅力が伝わっただろうか? ちなみに金額は「KTNテレビ長崎」の公式HPでは税込1800円と記載があるものの、販売ページでは税込1300円だった。これに送料が加わるので、もし興味があるようなら、一度手にしてみてはいかがだろうか?

参考リンク:KTNテレビ長崎「新長崎弁かるた」 
執筆:耕平 
Photo:RocketNews24.

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