近年、日本国内で本場の味を提供する飲食店、いわゆる「ガチ中華」のお店が増えている。東京・上野のアメ横にもそんな本場のお店が続々と誕生しており、2023年8月10日には本場の火鍋と螺螄紛(ロースーファン)を提供する「柳州 螺螄紛火鍋(リュウシュウ ロースーファン ヒナベ)」がオープンした。

ロースーファンとは、中国広西地方のタニシ貝を使って出汁をとった麺料理である。タニシの麺ってどんな感じ? 気になったのでお店を利用してみたところ、メニューにちょっと変わった選択肢を発見した。

・タニシ麺の食えるガチ中華

お店は東京メトロ上野広小路駅のA3出口を出てすぐの「VORT上野広小路ビル」にある。この辺は飲食店が非常に多く、どこに何があるんだかよくわからない。建物を見つけるのに苦労した……。


しゃぶしゃぶ温野菜のある建物、ここの9階です。この立て看板が目印



開店時間の11時すぎにお店を訪ねると、私(佐藤)がその日1番の客だったようだ。出来たばかりの店内は非常に清潔で、若者ウケしそうなポップな装飾が印象的。

中国人スタッフに言葉が通じなかったらどうしよう……、と思っていたが、お店の人は流暢な日本語を話すので助かった! おまけにめっちゃ親切。しかも卓上のタブレット端末は日本語表示に対応している。迷わず注文できるな。


メニューを見ると、最初のページにロースーファンが並んでいる。ロースーファン(ルオスーフェン)とは、広西チワン族自治区の名物として知られるタニシでスープをとった麺(ビーフン)のことである。中国では若い世代の間でインスタント商品が人気なのだとか。


どれにしようかな~、ヨシ! デカい揚げ玉子の乗った「広西特色ビーフン揚げ玉子入り」(税込1480円)にしよう。

ちなみにこのメニュー、サイズの項目に「臭み普通」「臭み増加」という選択肢があった。臭み増加ってどのくらい増すのかな。初回なので臭み普通でお願いすることに。


このほか、ここはドリアン料理も充実しており、焼きドリアンや揚げドリアンなんてのもあった。焼きチーズドリアンに興味があったけど、売り切れだったので今回は「揚げドリアン」(税込980円)にトライ!


火鍋も種類豊富で1人でも注文できるのはうれしい。火鍋にもタニシ貝スープ・ドリアンスープがあるな。どちらもニオイがスゴそう。



少しすると、先に揚げドリアンが出てきた。あら、思ったよりもカワイイ見た目ですね


ドリアンといえば強烈なニオイで有名なのだが、食べてみると……。まずはその香りの洗礼を受ける。正直に申し上げてこのニオイは「こきたての屁」である。今まさにお尻から飛び出してきたばかりの、フレッシュな屁のように攻撃的な臭気が鼻を刺激してくる。

しかしそれは一瞬で、口に入れるとカスタードクリームを思わせるようなとろける甘さだ。ニオイを除けばスイーツといっても過言ではない。このニオイさえなければ……。


続けてビーフン登場。器がデカいな! 丼というより洗面器に近いサイズである。


揚げ玉子もまたデカいのね。これだけでもお腹が満たされそうだ。


メニュー写真だと、「どん兵衛」のサクサク天ぷらみたいに思ってたけど、かなりフニャフニャ。コシのない油揚げを食べている気分である。


ビーフンもまたコシがなく柔らかで、ツルツルモチモチとした食感。野菜もたっぷりと入っているので、かなり食い甲斐がある。実際食べ終えた段階で、腹がパンパンになって歩くのが苦しかったほどだ。かなり量が多いぞ。



さて、気になるタニシスープなのだが、「臭み普通」を選択したけど全然臭くない。普通でこれなら「臭み増加」でもそこまで臭くないのかもしれない。そういえば子どもの頃にタニシを食べたことがあるけど、とても泥臭かった記憶がある。だが、このスープにはソレがまったくない。

ベースの味はさっぱりしていて、山椒やラー油などのスパイスの辛味が強い。臭みよりも辛味の方が勝っているくらいだ。スープをすすると、合間に揚げピーナッツが口の中飛び込んできて、その食感がアクセントになって面白い。なるほど、これがタニシの麺なのか。


このお店がオープンした8月10日、中国政府は日本への団体旅行を解禁すると発表している。また以前のように爆買いの中国人団体客がやってくるのだろうか? そうなると、この手のガチ中華のお店の需要も高まりそう。また新たな中国の味に出会えるのかもしれないぞ。

・今回訪問した店舗の情報

店名 柳州 螺螄紛火鍋(リュウシュウ ロースーファン ヒナベ)
住所 東京都台東区上野2-1-9 VORT上野広小路ビル 9F
時間 11:00~23:00 (L.O.22:30)
定休日 なし

参考リンク:NHK
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24