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私(佐藤)は日々、さまざまな飲食店で食事をしているのだが、本当においしいものは、繰り返し食べたいと思うものではないかと思っている。それはつまり、一度で終わる感動なら本当においしいとは言えないことを意味している。ふとその味を思い出し、自然にお店に足が向くお店こそ、本当の良店ではないだろうか。

今回紹介する東京・下井草のラーメン店「JIGENJI」(ジゲンジ)はまさしくそんなお店だ。決してアクセスしやすい場所にあるお店ではない。むしろ結構行きにくい場所にある。だが、「これこれ!」と思う安心の味を提供してくれる。ここのラーメンは一度で終わらない感動だ。

・主張が強いだけの味は……

個人的な意見で恐縮なのだが、私は極端に味の濃いラーメン・つけ麺が好きではない。というのは、必ずといって良いほど途中で味に飽きてしまうのだ。まるで、その力技をひけらかしたような、強烈な味の主張のものを、おいしいと感じたことがない。その手の店には繰り返し行った試しがないのである。

・味の組み立て

JIGENJI に好感を持てるのは、味のバランスを繊細に組み立てているところだ。今回オーダーしたのは、看板メニューの「旨味醤油中太麺JIGENJI 全部入り」である。豚・鶏ベースのとんこつしょう油で、どっしりとした旨味のあるスープ。しかし出汁に重さも臭みも感じない。滑らかな旨味だけが味覚を刺激する。

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・みかんの皮

食べていると、時折爽やかな香気に見舞われることがある。これは「陳皮」と呼ばれるみかんの皮が入っているためだ。深い旨味に浸ってスープをすすっていると、パッと目の覚めるような香気に見舞われ、再び新鮮な気持ちですべての味を楽しむことができる。みかんの皮がまるで舌をリセットしてくれるようだ。

・香味油にサツマイモ

もうひとつ隠し味があり、香味油だ。細かく刻んだ玉ねぎやニンニクと一緒に、鹿児島産のサツマイモを香味油に加えることにより、ほのかな甘さが出ている。これにより、香味そのものを引き立てると共に、食べ進むうちにより味に深みが増すようにできているのである。

・まったく飽きることがない

これらふたつの食材が効果的に働き、最後まで味に飽きることがないのである。角中太麺のモッチリとした食感も、うまく設計されたスープによく合っている。おそらくこのスープに太麺では台無しだったところ、主張しすぎない中太麺の選択は素晴らしい。

一見どこにでもありそうなラーメンである。しかし食べてみてはじめて、ここでしか味わえない味と知り、2度3度と足が向く。私は、JIGENJIとは長い付き合いになると予感した。

・今回紹介したお店の情報

店名 JIGENJI(ジゲンジ)
住所 東京都杉並区下井草4-32-18
営業時間 11:30~15:00、17:30~22:00
定休日 火曜日

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

▼JIGENJI「旨味醤油中太麺JIGENJI全部入り」900円
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