時は数ヶ月前。私(耕平)は突然見舞われた不慮の事故で救急搬送された。具体的には自分の不注意で、階段から転落して身体を強打。意識はあり命の危険も免れたものの、全身を6ヶ所も骨折する大怪我を負い、緊急入院することになってしまった。

診断の結果、全治2ヶ月。まぁ、先日のぼったくり事件といい、ここ1年間は神社へお祓いに行った方がいいレベルの不運が続いているわけだが、奇しくもこれがアラフィフに至るまで、大病も大怪我も患(わずら)ったことがない私の初めての入院生活となった。

そんな初めての入院生活で困ったことや、予想だにしない事態が起きたことを赤裸々にお伝えしたいと思う。

・その1 搬送先が見つからない?

まず救急搬送されると、どうなるか? 私の場合、身動きが取れなかったものの、スマホを持っていたので満身創痍の中、119番に連絡した。その5分後、救急車が到着。その場で救急隊員によってストレッチャーで運ばれ、救急車に乗せられる。


全身の痛みが激しく全く身動きが取れないため、救急車の中では天井以外見ることは無かった。しかもその日は祝日。加えて世の中はまだコロナが2類だった頃で、事故のショックで発熱も併発した結果、受け入れてくれる病院が見つからない状況となった。

救急隊員も電話を一生懸命かけてくれていたが、10件問い合わせても搬送先は見つからない。そして1時間近く経過し、救急隊員から絶望的な言葉が告げられた。


このまま探しても、近場では見つからない可能性が高いから、今日は自宅療養で様子を見て、明朝に救急車を手配してもらう可能性が高いです


……いや、身動きできないくらいの痛みなのに1日どう過ごせと? と耐えられないほどの苦痛と闘いながら考えてしまったが、救急隊員の方も必死に手配をしてくれてこの結果だ。しかも自爆事故。自業自得だから、それもしょうがないのかも? と諦めていた。

そこから何分経っただろう。その後も何件も問い合わせてくれて、ようやく病院が見つかったとのことで最悪の事態は免れた。本当に救急隊員さんには感謝だ。


・その2 どこにいるかわからない

手配が終わり病院名を告げられるも、全く聞いたことが無い病院名だった。「どうしますか?」の問いかけに瀕死の状態の中、断る選択肢は無い。

「そ……そこでお願いします」と了承した後、救急車を走らせること約30分、病院に到着。救急車に乗り込んでから、当然外を見ることはできず、自分がどこにいるか意識があっても全くわからない。

その後、CTスキャンなどでひと通り検査を済ませ、診断の結果、緊急入院となる。なんと肋骨が5本、複雑骨折みたいな形でバキバキに折れていた。

病室までストレッチャーで運ばれて、事務的な手続きを口頭で行なう中で病院名がようやく分かるも、前述した通り聞いたこともない病院だったので、自分がどこにいるのかはいまだに見当もつかなかった。


相部屋は空いてなかったため、個室に運ばれた。


こちらは相部屋とは違い「差額ベッド代」というものが発生する。値段は1泊12000円ほど。痛い出費だがこればかりはどうしようもない。ただテレビもトイレも完備されていて、他の患者さんに気を使う必要がないので、値段分は快適だ。

そして緊急入院から2日目。かろうじてトイレに行けるくらいは体が動かせるようになるも、まだまだ病室から出られる状態ではない。そして個室の窓から初めて見るシャバの風景は病院の駐車場だった。


・その3 充電器が無いとアウト

病院内では私物のチェックはされるものの、基本的に持ち込みは可能だ。スマホはもちろん、持ち歩いていたノートPCも使用できた。しかし外出先での転落事故だったため、充電器を持ち歩いていなかった。

そして2日目になると、スマホもノートPCもバッテリーの残量が残りわずかとなる。そこで病院に充電できるか問い合わせてみると、貸し出しは行なっていないという。これは致命的だ。完全に情報がシャットアウトされるうえ、身内とも連絡が取れなくなる可能性がある。

私は独身で一人暮らしのため、家族に何か持ってきてもらうということもできず、途方に暮れていたがバッテリーが切れる前に何とか近くに住んでいて家の鍵を持っている母親に連絡。運良くその日に来てくれて、最悪の事態は免れることができた。


なので不測の事態に備えて、スマホにもPCにも使えるようなモバイルバッテリーは必携品だと感じた次第だ。


・その4 唯一の楽しみ「病院食」

入院3日目。テレビも見放題! ネットサーフィンもやり放題! って言ってもメチャメチャ暇である。いや、療養なんだから当たり前。それは分かっているがマジで暇だ。そんな中で唯一の楽しみと言っていいこと……


それが病院食!


よく病院食は味が薄くて、不味いうえに全然食べた気にならないというが、全くそんなことはない。栄養バランスがちゃんと考えられて、量も味も個人的には大満足。しかもメニューが毎回違うので、全く飽きない。


もし、病院食をコンセプトにしたレストランや定食屋なんかがあれば、おそらく通い詰めるだろう。そう考えると、世の中にある炭水化物や脂質の塊を提供している飲食店って、一体なんだろう? と考えてしまった。と同時に日本の経済を回しているのは、こういう産業なんだなぁ……とも変に悟ってしまった。

また当初は最低1週間の入院が必要と言われていたが、実際は5日間で退院した。理由は後述するが、その間の5日間きちんと3食食べて、なんと約4kg痩せることができた。運動なんか怪我で出来ないわけだから、間違いなく病院食のおかけだ。


・その5 相部屋が耐えられなかった

この頃から少しずつ自力で立って歩けるようにはなった。そして散歩がてら病室から出てもいいとのことだった。ただし同じフロアの病棟しか移動ができず……。

そんなわけで暇加減は変わらないが、それでも共有スペースに行けるようになったので、ここぞとばかりにパソコンだけで完結するフィッシング詐欺の記事なんかも書けるようになった。

そして看護師さんから「相部屋が空いたので移動しますか?」との連絡を受け、即答で移動のお願いをする。2日間お世話になった個室よ……快適だったぞ、さらばだ。


で、ここからがしんどかった……。


相部屋なので、もちろん他の患者さんも入院している。それでも昼間は共有スペースに居たので、特に苦になるとは考えていなかった。


問題は夜。


ここの病院の夜食は18:00で消灯は21:00。個室の時は、こういった時間制限は全く考えなかったが、ここは相部屋。当然他の患者さんにも気を使わなければならない。

部屋は4人部屋で当たり前だが、全員男性だ。相部屋1泊目、その苦悩は訪れた。夜もふけた頃、いびきや歯ぎしりの大合唱が始まる……それでもイヤホンもしてたし眠くなるまで動画などを見まくったが、結局その日は眠りにつけず天井をひたすら見つめる時間が続いた。


翌日になり入院生活は4日目。前日眠れなかったにも関わらず、昼間もなぜか寝ることができない。そのことを看護師さんに告げて担当医師に伝えてもらうも、睡眠導入剤のようなものは支給できないとのことだった。

その夜も前日と同じ、いびきと歯ぎしりの大合唱。個室を出て2日目にして、精神的にやられてしまった……・

そこで、担当医師に眠れない旨を伝え、その日も眠れずに一夜を過ごし眠れなさの限界を迎えた。翌日、担当医師が来て、「自力で生活できるのであれば……」という条件で退院を許可してくれた。


その日の午後に荷物をまとめて、帰宅準備を始める。


退院手続きを済ませて、久々にシャバへ。そして、5日ぶりに外の空気を吸って、こう思った。


「俺、ここで入院してたんだ……」


・まとめ 初めての入院を経て

そんな感じで半ば無理やり退院できたわけだが、初めての入院を経験して、万が一の時に備えておいた方がいいと思ったこと。それは……


1.モバイルバッテリーの必携
2.自宅近くで連絡を取れる家族、親戚、友人
3.ズバリ……「運!」


この3つだ。1つ目と2つ目は家族や親族が近くにいない人は、必ず意識した方が良いだろう。なぜかというと、保証してくれる人がいないと入院が出来ないケースがあるからだ。私の場合、たまたま母親が対応してくれたので入院手続きができたが、そうじゃなければどうなってたかわからない。

そして3つ目の「運」。実は4人相部屋に移動した日の午前中は、たまたま同じ部屋に入院していた患者さんが一気に退院して、数時間は私一人だった。要はその時点で個室と変わらなかったのだ。ところがその日の午後、一気に相部屋が埋まり、前述のようなことになってしまった。

こればかりは外的要因なので、コントロールできるものではないが、入院生活では結構重要な要素を占めると思った次第だ。

── そんなわけで、不慮の事故は誰にでも起こり得ること。普段の生活で意識することは無いと思うので、この記事が参考になるかわからないが、もし自分や近しき人が同じような事態になった場合に思い出して、いちオヤジの不幸な事例を活かしていただければ幸いである。

執筆:耕平 
Photo:RocketNews24.

▼不慮の事故は突然に

▼個室は最適! でもお金が……

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