2023年7月14日、菓子メーカーの湖池屋が「ワンハン丼」と名付けた新商品を発売した。「牛丼」味と「蕎麦屋のカレー丼」味の2種類があり、米パフをベースに、各々の丼の味を一口大に凝縮して再現した新感覚スナックらしい。ゲームや動画鑑賞のお供にお勧めとのことだ。

正直、筆者にはゲームをしたり動画を観たりしながら何かを食べる習慣はないが、ふと「猛烈に牛丼を少しだけつまみたい」と思うようなことはかなりある。「丸ごと一杯食べたい時」と「つまみたい時」が己の中で縄のごとく絡み合っている。カレーについても同様である。

湖池屋のターゲットからはいささか外れている気がしなくもないが、ともあれ興味をそそられたため、この謎多き新商品をレビューしてみることにした。

補足しておくと、「ワンハン丼」は湖池屋のオンラインショップ限定、かつ3000セット限定の商品だ。まだ実験的な販売を行っている段階と見られる。一応、8月10日現在でも入手可能なようだ。

1セットの内訳は、「牛丼」味と「蕎麦屋のカレー丼」味が各2袋ずつで、価格は1220円。

まずは「牛丼」味の方から開封してみると、触れ込み通り、一口サイズのスナックが12個ほど入っていた。見た目はわかりやすく言うなら、小さなポン菓子のような風情である。

たしかにこれなら片手で食べやすく、食べる際にスペースも取らず、手も比較的汚れない。「ゲームや動画鑑賞のお供」に丁度良い。「ワンハンド(片手)」という語に「丼」を足して「ワンハン丼」と名付けたのも中々に達者だ。開発者のしたり顔が目に浮かぶようである。

とはいえ、やはり重要なのは味だろう。果たして筆者の「牛丼及びカレー少量摂取欲」を満たしてくれるものなのか。

などと思いつつ「牛丼」味を口に含んだところ、サクサクとした食感ののち、噛むほどに甘辛い濃厚なコクと、紅しょうがのさっぱりとした風味が口の中に広がった。つまり、まさしく牛丼の味わいであった。

無論、完全にそっくりそのままというわけにはいかないが、再現度はかなり高い。本当に「牛丼をスナック状に押し詰めた」という感じだ。それでいて良い意味で後味が軽いのもポイントが高く、喉を潤す手間を省きながら2つ、3つと口に運んでいける。

驚きである。が、それをさらに飛び越えてきたのが「蕎麦屋のカレー丼」味であった。正直ただの「カレー」味かと見くびっていたが、違った。決してそうではなかった。しっかりと和風だしが利いた、他ならぬ「蕎麦屋のカレー丼」の味が、まざまざと舌の上で蘇ったのである。

こちらの再現度に関しては、ゲームや動画のお供に食べる前に、あらかじめ幾つか食べて慣れておくべきレベルである。いきなり食べてしまうと間違いなくゲームや動画がそっちのけになる。突如現れた蕎麦屋に吸い込まれて戻ってこられなくなる。劇薬である。



ちなみにお勧めの食べ方としては、「牛丼」味と「蕎麦屋のカレー丼」味を交互に食べるとよいと思う。こうすることであたかも「フードコートでめちゃくちゃにヤンチャな食事をしている」かのような気分を味わえる。筆者はこれによって童心に帰ったような充足感を得られた。

というわけで、その精妙な再現度によって筆者の心身ともども満たしてくれた「ワンハン丼」は、紛うことなきハイレベルな商品だった。筆者と同じく「少量摂取欲」をお持ちの方や、趣味のお供に口慰みを欲している方は、ぜひチェックしてみてほしい。 

いずれこの「ワンハン丼」が、巷のコンビニやスーパーにあふれ返るようになることを願う。その時は片手ではなく、諸手を上げて歓迎しよう。

参考リンク:湖池屋 プレスリリースオンラインショップ
執筆:西本大紀
Photo:Rocketnews24.
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