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牛丼といえば、どこのチェーン店を思い浮かべるだろうか? 吉野家かすき家か、それとも松屋という人もいるだろう。しかし私(佐藤)には、忘れられない味がある。それは、すでになくなってしまったチェーン店「牛丼太郎」だ。2012年に母体となる会社が倒産し、代々木と茗荷谷の店は「丼太郎」という名前で再出発。ちなみにこの名前は「どんぶりたろう」と読む。代々木はすでに閉店してしまったのだが。

現在その丼太郎は、茗荷谷のお店だけになってしまった。このチェーンの荒々しい味付けが好きだった。荒々しいというか、野性味のある味というか。そんな味を思い出させてくれる味を発見した。それが、東京・高円寺の「タブチ」だ。カレーと牛丼のダブル盛り合わせが650円。しかもボリュームもなかなかである。

・高円寺駅の高架下

お店は、高円寺駅から徒歩5~6分、高架下にある。お店の場所は以前から知っていたのだが、私が知った頃は高架の耐震工事をしていて、長らく休んでいたらしい。余談だが、以前は中野にもお店があったそうなのだが、現在はここ1店舗のみ。

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・親しみを感じる店構え

知る人によれば、工事後にリニューアルしてキレイになったとのことだが、外観も内装も、昭和の哀愁が漂っている。しかしそこがいい! 変に小ぎれいになって、どこでも見かける店構えよりも、私はずっと親しみを感じる。そう、以前通っていた牛丼太郎のように。手作り感が心地よく感じる。

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・牛丼とカレーのダブル盛り

店頭のディスプレイを見ると、カレー(400円)と牛丼とカレーのダブル盛り合わせ(650円)のサンプルがドーン! と目立つところに置いてある。これ、この量でこの価格ならかなりお得だぞ。これはダブル盛りを食うしかないだろ。

しかし、あとから気づいたのだが、ここは鳥野菜フライ定食(500円)が有名だったようだ。ワンコインとは思えないボリューム、コスパ最強はこのメニューだったらしい。

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・通える店

そうとは知らずにダブル盛り合わせ。まあ、いいか。次回は鳥野菜フライ定食にしよう。さて、カウンターに食券を出して、しばし待つ。時間は14時半を回っている。昼食には遅い時間だったので、客は私ひとりしかいなかった。高架下の小さなお店、何だか妙に居心地がいい。通える店だな~、なんて考えていたら注文の品が来た!

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・懐かしさと親しみ

いい! 懐かしい感じの家庭的昭和カレー。気取ったところが一切なく、一口食べるだけで童心にかえる気さえしてくる。若干甘いルウに親しみさえ覚える。

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そして、牛丼のルックスにも、どこか懐かしい感じがした。そう、牛丼太郎の肉の具合に良く似ている。

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口に入れると、野性的な味がする。肉の香りというよりも、牛の香りがしてくるようだ。噛めば噛むほど味が出る。ご飯にしみたツユの具合まで、牛丼太郎に似ている気がする。きっとそれは気のせいだろう。だが、食べている間、ずっとアノ店に通っていた時期のことが思い出された。

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西新宿5丁目の牛丼太郎に通っていた頃、私は本当にお金がなくて、500円のメニューにするか600円のメニューにするかで真剣に悩んでいた。そう大きな違いはないのだが、1食にかけるお金がその1カ月を左右するくらいだった。そういっても言い過ぎではない。死活問題だったが、あのお店があったおかげで、今までやって来れたと本当に思っている。

タブチの味に触れて、そんなことが思い出された。安くボリュームのあるお店は、お金のない若者の助けになっているはず。経営は大変だと思うけど、がんばって営業を続けていってもらいたい。がんばれタブチ! 次は鳥野菜フライ定食を食べるぞ!!

・今回紹介した店舗の情報

店名 タブチ
住所 東京都杉並区高円寺南3-67-1
営業時間 11:00~22:00
定休日 日曜日

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24