皆さんは「ハラール」と「ハラーム」という言葉を耳にしたことがあるだろうか?

これらはイスラム教ではよく使う言葉で、我らムスリムの生活に深く関わるものだ。もちろん食事にもね。ということで、今回は「イスラム教の食事への規制」について触れてみたいと思う。

あっ、本題に入る前に、まずは「ハラール」と「ハラーム」が何のかぶっちゃけて説明すると、「ハラール」は「やって良いこと」で、「ハラーム」は「やって悪いこと」だ。我らは「ハラール」を進み、「ハラーム」を避けて生きている。もちろん食事にも「ハラール」と「ハラーム」がある。

今回は主に食事の「イスラム教が食べてはいけないもの」について触れるよ。このリストが全てではないことを先に注意しておく。


・豚肉(全部)

これはまぁもう広く知られていると思うが、我らムスリムは豚肉を食べることができないのだ。肉であろうが、出汁であろうが、何なら触れることさえダメ。

理由としてイスラム教で豚は「汚れた獣」として認識されている。生きている場所が汚かったり、雑食性が高かったり、多くの病原体が体内に潜んでいたりと、そんな理由。ちゃんと家畜や食用として育てられたものは多分もっとキレイなはず、それでもダメだ。僕たちは食べてはならない。

豚を調理したあとの道具も使ってはダメ、それほど豚肉に関してはとてつもなく厳しいのだ。あとそうそう、コンソメ味の商品もダメだ。美味しかったのに(?)

ちなみにこれはハラール和牛、とてつもなく美味かったよん


・アルコール(飲食用)

これも多分広く知られていると思う。我らはお酒を摂取することを禁止されている。お酒をそのまま飲むのもダメだし、何なら料理に使ってもダメ(意見が分かれるところ)。

理由として人間は酔うと理性を失ってしまい、人によっては犯罪や迷惑行為をしかねない。これに関してはおそらくお酒との付き合いが長い日本人が知っているだろう。イスラム教の礼拝も理性のある人しか認められないので、酔っている人はお祈りすら出来ないことになる。

ただ、アルコールといってもイスラム教では「Khamr(コマル、酔う目的で作られたアルコール)」と「Non-Khamr(コマルじゃない、自然発酵とかで酔うために作られていないアルコール)」と2つの種類に分かれていて、何がどこまで「Khamr」か意見が分かれている。

ワイン、ビール、その他の飲用酒はもちろんダメ。だが料理用の酒はどうか? 例えばみりんなど、度数が低く元から料理用に作られたお酒は使っても良いか? あっ、でもみりんはダメだったわ。でも別に摂取しても酔わないのに……

とはいっても、インドネシアでは「タペ」というもち米やキャッサバを発酵して作られたお菓子があって、発酵程度でアルコールは発生する。それはなぜか良いことになっていて、皆好んで食べている(僕は好きじゃない)。発酵程度で水分が出てくるが、それをいっぱい飲むと酔うとかなんとか。みりんはダメなのになんでやねん。

ちなみに殺菌用など、度数が高く飲食ではないものは別に使っても問題ない。


・死体、または神の名のもとで切られていない動物

動物を横にして、神の名を唱えながら鋭い包丁で首をサッと素早く切って、動物への苦痛を最小限にするとともに血を抜く、これがイスラム教での動物を切る絶対的なルールだ。これらの方法以外で切られた動物は、例え牛だろうが鳥だろうが、全部「ハラーム」になってしまう。

動物はまだ元気な状態で切らないといけないため、予め気絶させるのはダメ。切る前に既に死んでいた場合、それもダメになる。我々は動物の血を摂取することを禁じられているため、ある程度血抜きされていないとダメ。血も飲んじゃダメ。

インドネシアとかイスラム教が大半を占めている国に住んでいたら問題があって、日本だと「ハラール肉」を探すのは困難極まりない。見つかったとしても値段が高くて泣いてしまう。牛肉だって知ってるのに食べられない辛さよ……


・牙を持つ動物、鋭い爪を持つ鳥

犬や猫をはじめ、トラ、ライオン、狼などなど、肉食で食物連鎖の頂点に立っているような動物は食ってはいけない。鳥もそう。肉は鶏肉、牛肉、海の幸で十分だよなぁ


・乳化剤、ショートニング、ゼラチン、コラーゲンなど

これらは豚由来が多いとかなんとか。おそらく全部じゃないだろうが、豚由来という可能性が0%ではないので、やはり気をつけたいところ。厳格なムスリムはこれらは全部避ける。そう、ケーキも場合によってはダメなんだ。厳しい世界


・ちなみに僕は…

僕は豚と酒と謎肉以外ならOKにしてるよ。日本などにいるとハラール食品を確保するのは困難極まりない、なので自分への規制をゆるめて和食をできる限り楽しむことにした。神様はそんな僕を許してくれるのだろうか、それでもうどんは美味い。

ちなみに昔、1回だけ豚肉を口にしたことがあった。それは幼少期とあるスーパーでのこと、そこでは時折試食を提供していて、僕もそれを楽しみスーパー内を歩き回った。ある日カツの試食があったので、僕は考えもなく口にした。赤身だったので牛肉かと思ったら味が鶏肉よりだったので不思議だった。

クソガキだった僕はもちろんもう一個取りにその場所に戻ったら、さっきまでは目に入らなかった看板が目に見えた。そこに書いてあったのは「トンカツ」。怖かった僕はすぐさま父さんの元へ駆けつけて話した。お父さんは笑いながら「しょうがない、二度とそれ食うなよ」と言った。

何が言いたいかというと、豚肉美味かっ……ちがう。要は、もし何も知らず口にしてしまったら、全然問題ない。二度とそれを食べなかったらそれで良い。神様は慈悲深いからね、神は偉大なり。

ちなみに豚肉由来だと知らず、ポテチのコンソメ味を昔はよく食べてた。豚肉を使ってると知ったときはショックだったなぁ。大好きだったのに……

あと「柿ピー」も豚肉が入ってたりして、もう何がなんだか。


・まとめ

イスラム教って面倒くさい」っていうコメントを読んだことがあるが、たしかに第三者から見たらクソ面倒くさいかも。肉ダメ酒ダメ、人生の楽しみの半分以上を持ってかれたような感じ(?)。まぁでも酒知らずに楽しく今まで生きてきたんだ。

個人へのハーラルの基準は十人十色。僕みたいに豚肉酒以外ならOKな人がいれば、製造元、製造方法が確かじゃなかったら口にしない人もいる。誰が正しいかなんて神のみぞ知る。まぁ多分後者の方が正しいだろうけど。

もし、道端で困っているムスリムを見つけたら是非とも助けてあげてほしい。漢字の羅列から「豚肉」「みりん」などなどを探すのは本当に難しいので、ゲーム感覚で一緒に探してみてほしい。日本人にも新たな発見になるだろう。

というわけで、Sampai Jumpa Lagi!!

参考リンク:Wikipedia「ハラール」ハラル・ジャパン協会「ハラル基礎知識」
執筆:アキル
Photo:RocketNews24