た、たいへんなことになってしまった……。意思の弱いデブがこう言い始めたということはリバウンドした以外に考えられないのだが、まさしくその通り。今の私はダイエットする前の体重に着々と近づいている。

クソッ……どうしてこうなった……と思いつつ、その理由は自分でも理解していて、目標を失ってしまったから他ならない。痩せるというより痩せなければいけないと思っていた。そう、あの日までは……。

・これまでの目標

もともと66キロくらいをウロチョロしていた私がMAXデブだったのは、1年ちょい前の2022年12月31日のこと。コロナ禍で外出も減ったことで体重は増えに増え、体重計のメーターは無情にも74.25キロの大台を表示した上に自己最高記録を更新していた。

体重の増加は体にも影響があってアゴの下の肉はたるみ、腹も見苦しいまでに出た。それでいながら私は危機感がありつつも意思が弱いから痩せられない。結果的にその絶望的な状況から7キロ落とすことに成功したが、第一歩を踏み出すに至ったのは目標ができたからだった。


そう、当編集部が2023年4月21日からAmazonプライムビデオで配信されている令和版『風雲!たけし城』に参加することになったのだ。しかも、参加するにあたりフンドシ姿になるとあって、ブクブク太った惨めな姿を全世界に晒すのは絶対に避けなければいけなくなった。

結論からいうと理想よりも減らせなかったものの、結果として74キロあった私は69キロで撮影に臨むことができたのを覚えている。これが去年の夏のこと。当時、情報規制があって『風雲!たけし城』のことを言えないながらも体重5キロ減に歓喜した記事を書いている。

正直、ここでダイエットをやめてもおかしくなかったが、同年秋に健康診断が控えていること、そして『風雲!たけし城』の撮影でなんと……


昔から憧れていたSASUKEのレジェンド・山田勝己さんに出会ったことで意思が弱い私に火がついた。そり立つ壁に立ち向かうあの姿……今でもなおバキバキの体を維持するプロの姿に物凄く心を打たれたことで「もう絶対に太りたくない」と決めたのだった。

第2の目標である健康診断に向けてお酒を断ったことで私のボディは理想形……若かりし頃に近い体へと加速。それに伴い “達成感” が生まれ、低糖質を食べる生活もキツいと思うこともない最高のサイクルを生み出せていた。今思えばダイエットハイと言える状態だったかもしれない。

気がつけば夢にまで見た67キロに突入した私は無敵モード。健康診断も視力を除けば悪いところが1つもない「完全体」で終えることができ、お腹もへこんだ自分を見てはニヤニヤが止まらない毎日を送っていた……が!!!!


・目標を失った結果

『風雲!たけし城』、それから「健康診断」の大きな2つの目標がなくなったこと、加えて「ここまで痩せたらもう太らないだろう」という慢心が再び私をデブの世界へと突き落とした。

手始めに昨年末の上司不在の忘年会で高級中華を死ぬほど食べると、そこからもう私の欲は止まらないし止まれない。晩酌でツマミは食べないと決めていたのに柿ピーを頻繁に買うようになり、おまけにカラムーチョ、さらには ばかうけ まで嗜むようになってしまった。

もう全てが美味しく、低糖質の食事を食べる回数は激減。そしたら私の体重は68キロから69キロ、そして70キロ……雪だるまが坂道を転げるようにして面白いように増えていき、わずか4ヶ月ほどで……

72キロが見える71.75キロの危険水域まで戻ってしまった。またしてもアゴの下に肉がつき、当然のようにお腹も出た。唯一、晩ご飯に米を食べないことだけは守り続けているものの、何の効果も得られていないのが現状だ。

食生活のハードルがだんだん下がっていくと怖いもので、とにかくブレーキの効きが悪い車のごとく何かしら甘えが出て自分で分かっていても止められない。お酒(いちおう糖質ゼロ)も毎晩飲んでしまっているし、食べたいものを口にしている。もう自分が情けない……。


・言ってくれる人の存在

あの頃の決意はどこ行った。そう自問自答するも、今の私は山田勝己さんに謝罪する方を選ぶくらい落ちぶれてしまった。MAX時の体重よりも軽いから大丈夫と自分に言い聞かせたときもあったが、もっとも減っていたときと比べたら4キロも増えているから現実逃避になる。

目標がなくなることで人はこうも脆いのか(私だけ?)……。しかし、そんな状態でもギリギリで待ったをかけてくれているのは仲間の存在だ。

当編集部はダイエット意識の高いオッサンたちがたくさんいるので「アゴに肉がついたんじゃないか?」「だからお前はダメなんだ」と容赦なくダメ出しをしてくれる。そう言われると、ここで何とかしがみつこうという気持ちが湧いてくるのだ。

まぁ断てと口酸っぱく言われている酒は聞く耳を持たず断てていないのだが……。はたして私はもう一度這いあがることができるのだろうか。配信が始まった『風雲!たけし城』を視聴し、ひとまずあの頃の気持ちを思い出したい。

参考リンク:風雲!たけし城
執筆:原田たかし
Photo:RocketNews24.