現地時間の2023年3月12日に開催された第95回アカデミー賞で、映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が、作品賞・監督賞・主演女優賞・助演男優賞・助演女優賞・脚本賞・編集賞……と7冠を獲得した。

現在エブエブは日本で絶賛公開中なので、この一報を聞いて「行ってみようかな?」と思った方は多いハズ。そんな方はぜひ「予告編」をご覧にならず劇場へ足を運んで欲しい。同作を1カ月ほど前に観た私(サンジュン)は、それこそがエブエブを楽しく見る秘訣だと確信しているからだ。

・予告編を観たくなる作品だけど

以前の記事でも申し上げた通り、エブエブは非常に熱がこもった作品であると同時に、ただ単純に面白いとは言えない複雑な作品である。そもそも難解な “マルチバース” をテーマにしていることもあるが、1度観たくらいで理解が追い付くような易しい作品でないことは確かだ。

とはいえ、作品の熱量という意味では「気合いの入った作品」であり、観客が圧倒される気持ちはよくわかる。……が、エブエブを観終えた後、私はいまいちスッキリしていなかった。それは作品が理解できなかったからではなく「感動が想像を超えてこなかったから」である。

こんなにイイ話なのに、なぜ俺はそこまで感動しなかったのか……? 記憶を辿っていくうちに辿り着いた答えが「予告編を観ちゃったから」というもの。そう、予告編で知り得たエブエブに関する知識が、私を劇場で感動させなかったのだ。

・予告編で出しすぎ問題

簡単に言えば「予告編でイイところを出しすぎているせいで、本番の感動を邪魔した」ということなので、もしこれからエブエブをご覧になる方はグッと我慢して「予告編」を観ずに劇場へ足を運ぶことをオススメしたい。

ネタバレになってしまうため多くは語れないが、予告編では「エブエブの1番泣けるところ」もしくは「エブエブの肝」がサラリと映し出されてしまっている。予告編の1番泣けるところが本編でも1番泣けるところであるため、予告編を観ない方が純粋に本作を楽しめるハズだ。

具体的には予告編も1分9秒までは観てもOK。ただし、1分10秒以降は絶対に観ない方がいい。繰り返しになるがそれこそがエブエブの最も泣けるところなので、これから劇場に足を運ぼうとしている方は予告編の存在そのものを無視してしまってもいいだろう。

・5倍は楽しめる

もちろん感じ方は人それぞれで、特にエブエブは多角的に楽しめる作品なので「予告編も観たけど面白かったよ?」という方もいらっしゃるハズ。ただ個人的には「あそこさえ観てなかったらなぁ」と強く後悔している。いや、予告編なのに出し過ぎてるだろ。

もし私が予告編を観ずにエブエブを鑑賞していたら、きっと5倍くらいは感動したに違いない。アカデミー賞7冠で俄然注目される『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』だが、作品を楽しむ秘訣はズバリ「予告編を観ないこと」である。

参考リンク:エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
執筆:P.K.サンジュン
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