新宿区役所と聞くと、西新宿の巨大なツインタワーが思い浮かぶ……いや、あれは都庁か。そういえば新宿区役所ってどこだっけ? 改めて調べたところ、どうやら新宿歌舞伎町のド真ん中にあるらしい。マジか! 何度も近くを通ってるのに大変失礼をした。

というか、よく考えたら編集部は新宿なのに、新宿区役所には一度も行ったことがない気がする。そこで今回、生まれて初めて入ってみたのだが、本庁舎の地下にある職員食堂「けやき」が意味不明な安さで驚愕してしまった。母さん、天国は歌舞伎町にあったようです。

・役所メシ

新宿・靖国通りから区役所通りに入り、少し歩いたところにある新宿区役所。地下街のサブナードからも行けるが、個人的には地上から入っていく方が歌舞伎町のド真ん中という特殊な立地を肌で感じられるためオススメである。


お目当ての職員食堂「けやき」があるのは本庁舎の地下1階。もちろん誰でも利用が可能だ。平日10時半から16時までの営業となっているが、食事ができるのは11時半から15時までなので注意してほしい(それ以外の時間帯はドリンクのみ)。


注文は食券制で……


メニューはラーメン、そば、うどん、カレー、丼などなど。まあ、一般的な食堂のラインナップと言えよう。日替わりランチ(税込610円)が2種類用意されているのは嬉しいが、中でも私(あひるねこ)が特に推したいのが……


オススメと書かれた『ゴロゴロ野菜のポークカレー』である。お値段なんと税込460円! まさかのワンコイン以下!! この時点でだいぶ天国ではないか。しかし、それだけではないぞ。


驚くことに「けやき」では、ご飯の大盛りが無料なのだ! おいおい、ここは本当にあの新宿歌舞伎町なのか? アジア最大級の歓楽街とは思えぬ超良心価格に身構えざるを得ない。厨房の奥からイカつい黒服が出てこないか心配だ。


白米を雑穀米にすることもできるぞ。


で、こちらがその『ゴロゴロ野菜のポークカレー』なのだが……ちょっと待ってくれ。実家かここは。見た目は完全に母さんが作ってくれた家カレーである。あまりにも家カレーすぎて、逆に新鮮に感じるレベル。味噌汁が付いてくるあたりも実に実家だ。

・ノスタルジックカレー

商品名に偽りなしとばかりにゴロゴロ入った野菜は、しっかりと煮込まれていてどれも柔らかく、大きすぎず小さすぎないそのサイズ感も含め、家カレー度が極めて高い。負けじとたっぷり入っている豚肉も大きなポイントだろう。よくある具がほぼない食堂カレーとは真逆のタイプだ。


さっそく食べてみると……うむ。なんというか、家カレーよりも家カレーでびっくりしてしまった。どういうことか? 一口に家カレーと言っても、実際は家庭によって材料や隠し味はバラバラだろうし、味もおそらく千差万別だと思う。


しかし、この『ゴロゴロ野菜のポークカレー』からは、そういった独自アレンジの形跡がほとんど感じられないのだ。寄り道を一切せず、ゴール目指してまっすぐ突き進んだかのような超スタンダードな仕上がり。ここまで王道な “THE 家カレー” は私も久しぶりに食べた気がする。


大盛りでお願いしたご飯は見た目よりもかなり多く、これ1杯だけで相当満腹になるボリュームだ。具がゴロゴロ入っているため食事としての物足りなさもまったく感じず。このクオリティーで460円ってのは、ちょっと意味不明な安さではないか。

・歌舞伎町の天国

「けやき」はサッと食べたらサッと帰るような場所で、一見それ以上でもそれ以下でもないが、よくよく考えるとこんな食堂が歌舞伎町のド真ん中にあるのはひたすらシュールである。本当の天国とは、実はこういった雑多でカオティックな環境の中にこそ存在しているものなのかもしれない。

・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 けやき
住所 東京都新宿区歌舞伎町1-4-1 新宿区役所本庁舎 B1F
時間 10:30~16:00
休日 土曜・日曜・祝日

参考リンク:新宿区役所本庁舎
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
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▼実家かと思った。

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