日本はおそらく、世界で一番のインスタント食品先進国である。「お湯を入れればできる」「レンジでチンしたらできる」といった食べ物があふれていて、しかもどれをとっても完成度が高くて美味しいのだ。

しかし、生もの……もっと言うと、刺身のインスタント食品を見たことがあるって人はほとんどいないんじゃないだろうか。

どうしてこんな話をするかって? 筆者は見つけてしまったのだ。水をかけるだけでできる“タコの刺身” を! どんな味か気になるよね? めちゃくちゃ気になるよね??

・北海道産のタコがインスタントに!

筆者がその商品を見つけたのは、北海道の北西部に位置する町、天塩町にある 道の駅てしお。


地元の名物を販売する自販機の中、乾物や飲み物に紛れて並んでいた。

天塩産のタコをフリーズドライにしたものだそうで、価格は税込950円。海産物、しかも刺身がこの状態で売られているのが珍しかったこともあり、即決で購入したのであった。

北海道のタコといえば、よく観光地で天日干しにされているビッグサイズな足のイメージがある。一度は食べてみたいと思っていたけど機会がなかったんだよな。

常温保存で持ち帰りも楽だし、いいもの見つけたぜ!


・水入れ10分でピチピチのタコ!

パッケージ裏面の説明によると、袋にそのまま水を注いで10分待ち、水を捨てるだけで完成するのだという。

水道から直接水を入れるだけ……つまり、カップ麺よりも簡単じゃないか!


開封してみると、水分がすべて抜けて発泡スチロールのように軽くなったタコのチップが入っている。

乾燥した状態でも、大きいものだと直径4cmほど。さすがは北海道産のタコである!


好奇心からまずはそのまま食べてみると、パリっという音とともに割れる。現状は刺身というよりも煎餅。

噛むごとに濃いタコエキスが染み出し、このままおつまみにしても悪くないような気がした。


本当にこのパリパリがピチピチへと変化するのだろうか? 正直あまり信じられない。

水道水をそのまま袋に注いでチャックを閉めると、プカプカと水の中を漂うタコ足の輪切り。

本来タコは海水の中で暮らす生き物だが、輪切りになった状態で水に浮かぶことは通常あり得ない。「あるはずのないものが そこにある」というシュールさが面白い。


10分後、水を抜いて皿に並べたものがこちら。


か、完全にピッチピチやないかい!!!!

皮は鮮やかな赤紫で、白い部分にいたっては透明感があってプルプル。さっきまで煎餅状態だったとは思えない。

すごい吸水力! 肌の乾燥に悩む筆者としては、自分もこのタコたちのように水を吸い上げることができたらなんて 場違いなことを願ってしまったほどだ。


醤油をつけて、口に入れてみる。ひと噛み、ふた噛み……。

あ、刺身だコレは。


味の濃さ的な意味で言うと、通常のタコ刺しを食べている時よりも濃厚に感じる。

気のせいかとも思ったのだが、製造元の公式サイトを確認したところ「フリーズドライで旨味が増します!」というコメントが書かれていたので、おそらくガチである。

さすがに食感には少し水っぽさを感じるのと、吸盤などの歯ごたえが弱い気もする。しかし筆者が自分の手で水につけた先入観が手伝っているのだろう。黙って出されたら、まさか10分前までパリパリに乾燥していたなんて夢にも思わないはずだ。


食べる前はカップ麺に入っている具材ぐらいのクオリティを想像していたのだが、ちょっとレベルが違う。まさにインスタント食品界に革命を起こす商品じゃないだろうか!

常温保存可能で水さえあれば作れるということから考えると、キャンプ中に食べるのもいいんじゃないかな。水を捨てずスープに使えば、ほのかなタコ出汁が出て美味しいかもしれない。今度試してみよ~っと!

参考リンク:ヤマニ野口水産 10分でたちまち「本格タコ刺し」
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.